この記事をまとめると
■ホンダアクセスがリリースする「Modulo X」が今年で誕生10周年を迎えた
「上品さ」か「精悍さ」か? 新型アコードの「アクセス純正パーツ」が演出する2つのスタイル
■開発の聖地の「群馬サイクルスポーツセンター」で10周年記念イベントを開催した
■北は北海道、南は長崎からファンが駆けつけ、来場台数は175台、323名が参加
全国から「Modulo X」の聖地にファンが集結
ホンダ車の純正アクセサリーを発売するホンダアクセスが、車両全体をトータルで開発・プロデュースするコンプリートカー・シリーズが「Modulo X」だ。そんなModulo Xが、今年で誕生10周年を迎えることを記念し、2023年9月18日、群馬サイクルスポーツセンターにてオーナーズミーティングが開催された。
ホンダアクセスが企画開発および販売を行い、全国のホンダカーズ店舗で購入が可能なホンダ車向け純正アクセサリー。そのなかでスポーツテイストのパーツに与えられるブランド名が「Modulo」だ。主なラインアップとしては、エアロパーツやサスペンション、ホイールなどで、純正メーカーならではの高い製品クオリティや耐久性、スポーティさと上品さを両立したデザインなどがホンダ車オーナーから高い支持を集めている。
Moduloの製品コンセプトをさらに発展させ、車両1台をまるっとホンダアクセスがトータル開発したコンプリートカー・シリーズが「Modulo X」だ。Modulo Xの車名を掲げたモデルが初めて発売されたのは、2013年のこと。大ヒットとなった初代N-BOXをベースに開発されたN-BOX Modulo Xを皮切りに、これまで7車種が開発・発売された。
そのModulo Xが、今年2023年に誕生10周年を迎えたことを記念して、「Modulo Xシリーズ10周年記念オーナーズミーティングin群サイ」が開催された。Modulo Xの開発を担うホンダアクセスが主催するイベントで、対象となるのはこれまでに販売された7車種のModulo Xオーナーおよび同伴者。当日はModulo Xの開発エンジニアのほか、Modulo開発アドバイザーである土屋圭市さん、スーパーGTのGT500クラスで活躍する、現役レーシングドライバーの大津弘樹選手がゲスト参加するという豪華な内容。会場となった群馬サイクルスポーツセンターには、全国から合計175台のModulo Xが集結した。
週末や休日の関越自動車道は、温泉地やゴルフ場へと向かうクルマで早朝から交通量が多いことが通例だが、この日は少し様子が違っていた。取材のため群馬サイクルスポーツセンターへとクルマを走らせていると、圏央道と合流する鶴ヶ島ジャンクションを過ぎ、さらに北関東自動車道と接する高崎ジャンクションを超えると、明らかにホンダ車が増えてきた。とくに目立っていたのは軽オープン2シーターのS660であり、よく見ると専用エアロやボルドーのソフトトップから、S660 Modulo Xであるとわかる。
そして、筆者が運転するクルマが月夜野インターを降りるころには、S660 Modulo Xは6台ほど連なった車列となっており、その後も道すがらのコンビニでは多くのModulo Xが駐車場に停まっている姿が見られた。やがて群馬サイクルスポーツセンターへ到着すると、会場時刻である朝8時30分の時点ですでに多数のModulo Xオーナーが来場しており、続々と会場内へ入場していた。
参加車両の駐車スペースであり、イベントのメイン会場となるエリアには、全175台のModulo Xが集結。並んでいるModulo X各車のナンバープレートを見ると、本州の北から南はもちろん、なんと北海道から参加したと思われる車両も! 参加した全車両のうち半数以上を占めていたのがS660 Modulo Xで、台数は113台。以下、フリードModulo Xが15台、ステップワゴンModulo Xが14台、N-ONE Modulo Xが13台、フィットModulo Xが10台、ヴェゼルModulo XとN-BOX Modulo Xはどちらも5台が参加した。
駐車スペースは各モデルごとで分けられており、同型車両がずらっと整列した様子はなんだかクルマたちも嬉しそう。イベントの開会を前に、はやくも会場内各所ではModulo Xオーナーたちによるクルマ談義が始まっていた。
そして朝10時を迎え、会場内に設置されたステージトラック上にイベント司会を務めるピエール北川さん、カーライフジャーナリストのまるも亜希子さんが登場。続いてホンダアクセスでModulo X開発統括を務める福田正剛さん、Modulo X完成車性能担当の湯沢峰司さん、Modulo開発アドバイザーの土屋圭市さん、さらにはホンダアクセスの純正アクセサリーアンバサダーを務める、大津弘樹選手が登壇した。
ゲストたちは来場者からたくさんの拍手で迎えられると、さっそくトークショーがスタート。Modulo Xが開発コンセプトに掲げる「実効空力」とはなにか? に始まり、各モデルの開発エピソードなどがユーモアたっぷりに語られた。なかでも印象的だったのは、Modulo開発アドバイザーである土屋圭市さんの役割である。
「ホンダアクセスのModulo X開発メンバーで方向性を定め、ある段階まで仕上げたところで土屋さんに乗ってもらうのですが、なかなか運転席に座ってくれないんです。最初にリヤシートに乗って、乗り心地に納得してくれないとステアリングを握ってくれない。これじゃ車内でコーヒーも飲めないよ! って」。
そう笑顔で話してくれたのは、Modulo開発統括の福田正剛さんである。Modulo Xは、Moduloのコンセプトで仕上げたコンプリートカーであり、例えばタイプRのようにサーキットにおけるラップタイムを追求するモデルではない。あくまでストリートやワインディングがModulo Xの舞台であることを忘れちゃいけないということなのだ。そしてこのポリシーが、「群サイ」で車両開発を行う大きな理由でもある。
「群サイは、路面がかなりバンピー&スリッピーで実際の峠に近く、テストコースのように一定したキレイな路面ではない。穴が開いていたり、季節によっては路面に積もった落ち葉で滑ったり、ときには野生のサルなどの動物がコースを横切ることもある。こういったシチュエーションは、メーカーが所有するテストコースではなかなか味わえないけれど、これが一般ユーザーのリアルなんだよね」。
そんな土屋さんの言葉に、福田さんやModulo Xの完成車性能を担当する湯沢峰司さんが大きくうなづく。
「ブラインドコーナーも多くて、とにかく走るのが大変。テストコースはもちろん一般道で試乗して良いと思ったクルマでも、群サイに持ち込むと印象がガラッと変わることもある。もちろん、プロドライバーだって群サイをあれほど高い速度域で走れる人は多くないよ。それでもModulo Xの開発陣は拘るんだ。それほど徹底してクルマを煮詰めているから、絶対にModulo Xオーナーには納得してもらえる自信があるし、オーナーには愛車を誇りに思ってもらいたいね」。
そのほかにも各Modulo X車両の開発時におけるさまざまなエピソードが披露され、オーナーたちは大満足。さらに、実際にフリード Modulo Xを所有している大津弘樹選手からは、生まれたばかりのお子さんも愛車に乗せてドライブに出かけるとすぐに泣き止んでしまうといった微笑ましい話が聞かれるなど、非常に楽しい時間となった。
思う存分「Modulo X」を楽しめる日に
その後は参加者全員での記念撮影を経て、しばらくはフリータイム。オーナー同士での交流を楽しんだり、またModulo X開発メンバーとの交流時間が設けられた。
展示エリアに置かれていたのは、今年で誕生10周年を迎えたModulo Xの歴代モデル。2013年に発売されたN-BOX Modulo Xに始まり、N-ONE、フリード、ステップワゴン、ヴェゼル、S660、そしてフィットe:HEVの全7車種だ。いずれも「実効空力」をコンセプトに掲げたエアロパーツや、「四輪で舵を切る」ハンドリングを実現した専用サスペンションや専用ホイールによって独自の走りを実現したモデルである。
さらにテント前には、開発車両として実際にテストコースを走行しているフィットe:HEVの姿も。ボディサイドに「実効空力”感”」と記されたこの車両は、車両の各部にパープルに塗装された補強パーツが装着されている。これらを脱着しながら走り込むことで、「クルマの変化」を感じながら開発が進められていくのだ。また、テストドライバーだけでなく、デザイナーやクレイモデラーもステアリングを握って車両の変化を感じるのがModulo流だが、助手席には往年のW124世代メルセデス・ベンツの純正シートが装着されていた。もはやクラシックといえる世代の車両だが、これを超えるデキの純正シートは存在せず、もっともクルマの声を乗員に届けてくれるシートなのだという。
そして午後からは、事前に申し込みをして抽選で選ばれたオーナーの体験型コンテンツ「群サイTAXI」と「実効空力デバイス試乗」が行われた。トークショーでも語られた、Modulo Xの走りを磨いた舞台でもある群サイ=群馬サイクルスポーツセンターのコースを、ホンダアクセススタッフが運転するステップワゴンModulo X、またはフリードModulo Xに同乗して巡るのがコースTAXIだ。なんと終盤には、大津弘樹選手がドライバー役として登場するサプライズも! 前日にはSUPER GT第6戦を戦った、現役バリバリのレーシングドライバーが運転するModulo Xに乗れる大サービスというのもあって、クルージングスピードとはいえ、助手席に乗った来場者は感動の面持ちだった。
いっぽう、参加者が自ら運転できるコンテンツとして用意されたのが「実効空力デバイス試乗」だ。Modulo Xのキモといえる「実効空力」コンセプトとは、デザイン性だけでなく機能を持ち合わせたエアロパーツを意味し、さらに限界領域ではなく日常の市街地走行においても違いを感じされることを掲げている。
試乗車には現行N-BOXが用意され、シビック・タイプR用リヤスポイラーなどに装着されている鋸歯(シェブロン)形状の実効空力デバイスをルーフに装着、群サイのコース内を参加者自らが運転して体感できるというもの。助手席にはホンダアクセスの湯沢さんが同乗し、参加したModulo Xオーナーは実効空力デバイスの解説を聞きながら、デバイス有り/無しの違いを実際にステアリングを握って感じることができた。
やがて楽しかった1日も終盤が近づき、ふたたびホンダアクセスのModulo X開発メンバーがステージ上へ。15時から開催された閉会式では、土屋圭市さん、そして福田正剛さんがこの日に参加したModulo Xのなかから「印象に残った1台」を発表。それぞれのオーナーには記念品がプレゼントされた。
また、閉会式では、Modulo開発統括としてチームを見守ってきた福田正剛さんが、ホンダアクセスを定年退職されることが発表された。今後は湯沢さんにすべてを託し、また新しい純正アクセサリーのModulo、ならびにコンプリートカー・シリーズのModulo Xを作っていってもらいたいとのメッセージには、来場者からも大きな拍手が贈られた。
閉会式のあと、この日の最後のコンテンツとなったのは、全国から参加した175台のModulo Xが群サイのコースを1周するパレードランだ。各車種ごとに隊列を組み、ホンダアクセスのスタッフが運転する車両を先導車として1列で走行。同乗走行や体験試乗といったコンテンツは参加者が限定されていただけに、このパレードランで初めて群サイを走ったというオーナーも多く、楽しかった1日を惜しむようにゆっくりと走行が行われた。
コースにはホンダアクセススタッフがお見送りに立ち、目の前を走っていく車両へ手を振るたびにオーナーや同乗者も手を振って返答するなど、メーカーとオーナーの暖かい繋がりを感じさせるイベントとなった。
2023年に10周年を迎えたModulo Xシリーズ。残念ながらこの秋の時点で新車ラインアップに名を連ねているのはフリードModulo Xのみと、やや寂しい状況となっている。しかし今回、湯沢さんが後継者に指名されたように、Modulo Xの魂は次世代の開発者へと確かに受け継がれている。この日、たくさんのオーナーと交流して充実した表情を見せる開発メンバーの姿を見ていると、近い将来に必ず新たなModulo Xは誕生するだろうと確信を抱いた。
これだけ多くのオーナーに笑顔を届けてくれるコンプリートカー・シリーズなのだから、10周年に止まらず20周年、30周年と続くことを期待したい。まずは現行N-ONE RSをベースにしたModulo Xなんていかがだろうか? S660以来となる6速MT車が設定されれば、きっと多くのファンが喜ぶだろうと思うのだけれど……。
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