カーライフ・ドライブを楽しむ [2025.11.13 UP]
気になるEV、1週間徹底試乗レポート![ホンダ N-VAN e:]
文と写真⚫︎ユニット・コンパス ※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
「憧れ続けた1台。独特な乗り味がお気に入り!」【ローバー・ミニ】|こだわりの愛車探訪
自身も「ホンダe」オーナーである編集部 大塚が、さまざまな電気自動車に乗って何を感じるのか? いろいろなEVを1週間ほど借り出して、シチュエーション別にテストしていきます。テーマはもちろん「徹底的にユーザー目線」で!
前回の記事はこちら▼
https://www.goo-net.com/magazine/knowhow/265235/
【今回のテストモデル】ホンダ N-VAN e: e: FUN
全長3395mm全幅1475mm全高1960mmホイールベース2520mm車両重量1140kg乗車定員4名駆動方式前輪駆動(FF)サスペンション(前/後)ストラット/車軸式ブレーキ(前/後)Vディスク/ドラムバッテリー総電力量29.6kWhバッテリー種類リチウムイオン電池最高出力47kW(64PS)最大トルク162N・m(16.5kgf・m)一充電走行距離245km(WLTCモード)タイヤサイズ 前後145/80R13車両本体価格(標準):291万9400円(消費税込み)
オプション(消費税込み):
車体色オータムイエローパール 3万3000円
8インチ Honda CONNECTナビ 15万1800円
取付アタッチメント 6600円
GNSSアンテナ 2200円
ETC 2.0車載器 1万9800円
取付アタッチメント 1万1000円
フロアカーペットマット プレミアム 2万6400円
ドライブレコーダー 前後3カメ 6万7100円
充電ケーブル 7M 6万6000円
AC外部給電器 2万9700円
ホンダ N-VAN e:の新車情報を見る
実用も遊びも両立する、新しい「働くEV」
今回試乗したのは、ホンダが2024年秋に発表した軽商用EV「N-VAN e:」。ガソリン仕様のN-VANをベースにしながら、単なる電動化ではなく、ゼロから設計を見直して開発された「新世代の道具」というべきモデルだ。
もともとN-VANは、軽バンの概念を変えたクルマとして2018年に登場。助手席側のBピラーを無くす大胆な構造によって生まれる広大な開口部、荷室のフラットなフロア、そして軽自動車とは思えぬ高い天井などの斬新さをアピールしている。「荷物を運ぶための道具」でありながら、あらゆる業種のプロや商店のオーナー、さらにはキャンプ愛好家までもが愛用する、「人の暮らしに寄り添うクルマ」として異例の人気を博した。
そのN-VANで築いた「使える軽」の価値をベースに、走る・積む・給電するという3つの実用機能を高次元で融合し、新たな時代のモビリティとして再構築されたのが「N-VAN e:」なのである。
試乗車のグレードは「e: FUN」で、N-VAN e:シリーズの中で最も「暮らし寄り」の1台。実用性を損なわず、快適性とデザイン性をアピールし、LEDヘッドライトやHonda CONNECT対応ナビ、スマートキーシステムなど、日常ユースで便利な装備が標準化されている。また、外部給電機能を備えたことで、キャンプやアウトドアでも活躍。「働く軽」から「遊ぶ軽EV」へ、という一歩先の提案を感じさせる仕様になっている。価格は291万9400円(税込)。一方、商用から個人ユースまで幅広く対応する万能型の「e: L4」(269万9400円)、法人リース向けの「e: G」、荷物運搬に特化した2人乗り仕様の「e: L2」など、用途ごとに最適化された全4グレードをラインアップしている。編集部大塚は、以前N-VANを所有していたことがあるため、興味津々! 実際に1週間乗ってみてどうだったのか、さっそく見て行きましょう!
【通勤テスト】自宅~勤務先の片道約25km(往復約50km)をテスト! 普段使いの電費や乗りやすさをここでチェック!~まずは引き渡しで第一印象を~
埼玉県の自宅から都内の勤務先まで、片道約25km(往復約50km)の通勤ルートを想定してテストを実施。都市部の一般道と高速道路が半々という実走環境で、N-VAN e:が日常の“移動道具”としてどれほど使えるかを検証した。
編集部 大塚「まず、最初に懐かしいなって思いました。以前ガソリンのN-VANに乗っていたので、商用車らしい乗り味が残っていて親しみを感じました。でも走り出すと、静かさとスムーズさがまるで違う。Honda eとは性格がまったく別ですが、このバンらしさが逆に心地よくて、ゆったり運転したくなるんです」
通勤の足として、扱いやすさはどう?
編集部 大塚「車幅感覚は軽のままで扱いやすいですし、見切りもとにかくいい。また、今回ガソリンのN-VANと比較して素晴らしいと感じたのは、朝の住宅街でもエンジン音がないので静かに出発できること。いや、冗談抜きでここはEV最強ポイントのひとつだと思っています(笑)。あとペダル操作に対しての反応が素直で、ストップ&ゴーの多い街中でも扱いやすい。急がず焦らず、で走るのがちょうどいいクルマです」
N-VAN e:はEV専用のプラットフォームを採用し、床下にバッテリーを一体化しています。結果として、低重心化による安定した走行と、電動車ならではの静粛性を両立。モーター駆動のスムーズでリニアなトルク特性によって滑らかな加速はもちろん、街中での取りまわしやすさ、段差を越える際のしなやかさも実現しています。最高出力72kW、最大トルク180N・mは軽商用車として十分以上の性能といえると思います。
編集部 大塚「電費は往復50kmで平均5.9km/kWhくらいでした。これなら1回の満充電で200km前後走れますね。週2回の充電で十分通勤できますし、静かで疲れない。ACCが全車速でないのは少し惜しいですけど、全体としてはマジメな通勤車としても合格ですね」
WLTCモードでの航続距離は約245km。通勤のような短距離反復運用に最適で、家庭充電のみでも十分に実用的。商用ベースながら、乗用車的な快適性を備えているのがN-VAN e: FUNの魅力といえます。
【寄り道テスト】会社からの帰り道、買い物やちょっとした寄り道での、使い勝手やワクワク感をチェック!
編集部 大塚「帰りにスーパーへも寄りましたが、すごく使いやすいです。スライドドアの開口が広くて、駐車場でも荷物の出し入れがラク。しかも手動ドアって、今の時代ちょっと新鮮ですよ。7歳の息子が“ギミック好き”で、自分でドアを開け閉めできて喜んでました。こういう「人の手で動かす」感覚が残ってるのは、ホンダらしいと思います。いいですね」
今回充電状況はどうでしょう?
編集部 大塚「基本は自宅の200Vコンセントで夜に充電して、朝満タン。あとは君津PAと市原SA、それにホームセンターで1回ずつ急速充電しました。30分で80%くらい入るので、トイレ休憩やコーヒーを飲んだりするのにちょうどいい時間です。『充電しなきゃ』ではなく『ついでに充電』という感覚です」
CHAdeMO急速充電対応で、約30分で80%充電。普通充電はAC200V/6.0kWで約4.5時間。EVカーナビアプリによる最適ルート・充電案内も充実していて、家庭中心の運用でもストレスが少ないといえますね。
編集部 大塚「夜のドライブはとくに静かで快適ですね。雨の日も窓を少し開けても雨が入らないし、重心が低いからしっとりと落ち着いた走りで、もう少し遠まわりして帰ろうかと思うような、そんな心地よさがあります」
【お出かけテスト】ロングドライブでの電費や、快適性などを同乗者の意見も交えてチェック!
今回はキャンプも!
編集部 大塚「はい、最大積載でした(笑)。ストーブ、電気毛布、セラミックファンヒーター、厚手の衣類、それに雨具や食材も積んでいたので、正直「入るかな?」と半信半疑でした。でも結果的に、すべて収納できました。家族3人がしっかり座れて、積載量はディフェンダーの95%ほど。荷室のフラットさと開口の広さのおかげで、無駄なく積めました」
キャンプ場はあいにくの雨天、、、。
編集部 大塚「いや、それがリヤゲートが上に開くので、雨を避けられる屋根になるんですよ。横開きのクルマだと濡れながら設営する羽目になるんですが、今回はポンチョを着て快適に作業できました。しかも、オプションのAC外部給電器が大活躍でした! 電源のないキャンプ場だったので、電気毛布やセラミックヒーターが使えて本当に助かりました。音も静かだから、夜でもまわりに気を遣わずに給電できるんです」
N-VAN e:の外部給電機能は最大1.5kW(AC100V)に対応。家庭用コンセントと同等の電力を屋外でも安定して供給できます。キャンプや屋外イベントでは電気毛布やIHクッカー、照明器具の電源としても活躍。スマートフォン充電などが同時に行える実用性を備え、災害時やレジャーシーンにおける移動電源としての価値も高く、あらゆるシーンで頼もしい存在といえますね。
~試乗を終えて~
編集部 大塚「自宅を満充電で出て、往復260kmほど。行きは君津PA、帰りは市原SAで急速充電を各1回。それぞれ30分で80%近く入るので、休憩時間にちょうどいいです。今回の走行距離は約335km、平均電費は5.9km/kWh。航続・充電ともに実用レベルであり、軽商用EVとしてはトップクラスの性能を示した感じです」
雨天走行時の安定感も高く、静粛性と重厚感のある乗り味が好印象ということで、「仕事にも遊びにも使えるEV」という開発コンセプトを実走で裏付ける結果ですね。
編集部 大塚「N-VAN e:で過ごしたキャンプを通して感じたことは『EVって便利だな』という素直な気持ちですね。充電も苦じゃないし、給電ができるからキャンプの自由度が増します。あと、息子が『お父さん、N-VAN e:最高!』って言っていたのが印象的でした(笑)。Honda eとは違う方向で、すごくホンダらしい1台だと感じました」
軽EV市場では日産サクラや三菱eKクロスEVが先行しているが、N-VAN e:はそれらとは明確に立ち位置が異なる。「働く軽」にEV技術を融合し、日常と仕事、趣味と実益の垣根を越えた使い方を提案しています。華美ではないが誠実、派手さよりも信頼感を重視したEVだ。その思想の根底には、ホンダが長年掲げてきた「人のための技術」が息づいているのを感じる結果になりました。
今回のまとめ
〇低重心化による安定した走行と高い静粛性
〇フラットで使いやすい荷室と広大な開口部
〇手動スライドドアの軽快さと使い勝手
〇外部給電機能が実用的(キャンプ・非常時でも安心)
〇家庭充電+スポット急速充電でストレスのない運用
〇商用バンでありながら、乗用車的な快適性
△ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が全車速対応でない
△サイドブレーキが足踏み式(オートホールド設定希望)
△低速走行時の電子音が車内に入りやすい
△収納スペースは少なめ(ルーフコンソールは必須オプション)
△高速走行での電費はやや落ちる傾向
今回の充電データ
急速充電(30分)残走行距離 19% → 84%急速充電(30分)残走行距離 29% → 86%急速充電(25分)残走行距離 33% → 87%貸与期間中走行距離:335.3km
電費:5.9kW
次回予告
次回は、新たにPHEVモデルをテストします!
編集部 大塚リポータープロフィール:自他共に認めるクルマ好き、キャンプ好き、ウインタースポーツ好きにして、気になることは徹底的に調べるのがモットー。今回は企画を成立させるために、ローンを駆使して自らEVを購入。これからEVにまつわる諸問題に体当たりしていきます! プロトコーポレーション 執行役員/2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。
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