自家用車の自動運転実用化の前に
トヨタと、グーグルなどを擁するアルファベットの自動運転部門、ウェイモの提携が発表された。ウェイモの自動運転技術とトヨタのクルマづくりの知見を生かし、自家用車の自動運転技術の向上に役立てていきたいとしている。
【画像】茨城県日立市を走る『ひたちBRT』の画像はこちら 全7枚
だが、この協業によって、我が国において自家用車の自動運転の実用化が近づいたと考えるのは早計だろう。
自家用車はいつでもどこでも自由に移動できる代わりに、交通のパターンは無限に近い。逆走や飲酒運転、ペダル踏み間違いなどによる暴走がニュースになるのは、これまで見たこともないシーンが次々に現れているからだ。
自動運転を司るAIは、こうした新しい事故にも的確に対応しなければいけないわけで、現時点ではそれは難しいと考えるのが自然だ。加えて日本はあらゆる機械に完璧を求める風潮がある。なので、遠い未来の話と考えるべきだろう。
では、日本の道路に自動運転のクルマが走る機会はしばらくないのかというと、そんなことはない。
ひとつは、昨年秋に国土交通省などの実証実験を紹介した大型トラック。そしてもうひとつが、路線バスなどの移動サービスだ。
いずれも走るルートが決まっているし、地域内の移動サービスは走行距離も短い。その部分だけインフラ対策を施せば、不測の事態に悩むことは少なくなる。加えて法整備も完了したことから、昨年から、国内でも移動サービスへのレベル4導入が増えている。
そのうち、茨城県日立市を走るひたちBRTのレベル4自動運転バスに乗るとともに、運行を担当する茨城交通の担当者に話を聞いたので報告しよう。
ひたちBRTに実際に乗ってみた
BRTとはバス・ラピッド・トランジット(バス高速輸送システム)の略で、専用レーンなどを用意することで、鉄道に近い定時性や速達性を実現したものだ。
似たような語感のLRT(次世代型路面電車システム)が、線路がなければ走れないのに対して、BRTは専用レーンが終わっても一般道に乗り入れて走り続けられるので、きめ細かいルート設定ができるというメリットもある。
ひたちBRTは、日立電鉄の廃線跡を専用道として活用している。海沿いにある道の駅日立おさかなセンターから、JR東日本常磐線の大甕駅を経由して常陸多賀駅まで約8.7kmを結ぶ。うち約6.1kmが専用道だ。
ここでは2018年にレベル2の実証実験を始めて以来、さまざまな技術検証を続けてきた。その結果、今年2月にレベル4での営業運行が開始された。
自動運転区間は専用道内にある南部図書館~河原子BRT停留所間で、国内最長のレベル4移動サービスにもなる。現時点では1台の車両が、平日のみ1日4往復する。当面は乗務員が運転席に座っての運行になる。
当日はおさかなセンターに向かい、始発のバスに乗った。南部図書館停留所に到着すると、乗務員が自動運転への切り替えを行い、すぐに発車した。ここからはハンドルを握らず、ペダルも踏まずに、専用道を進んでいく。
茨城交通の担当者によると、乗務員は特定自動運行主任者および保安員の教育を実施しており、自動運転区間では、主にシステムの監視業務を行うとのことだ。
専用道脇の歩道に歩行者がいると徐行するなど、安全性にはかなり気を遣っている様子。乗降客のいない停留所にも停車することも、普通のバスとの違いだ。ただし唐突な挙動はなく、ペダルやハンドルさばきはスムーズで、安心して過ごすことができた。
初心者マークが取れてきた?
僕は10年ぐらい前から、国内外で移動サービスの自動運転にいろいろ接してきたが、しだいに運転が上達していると実感している。運転免許取り立てのドライバーが、経験を積んでいくような印象だ。
茨城交通の担当者も、最初は加速やブレーキ、ハンドル操作などがぎこちなく不安もあったが、細かい動作ひとつひとつを改善していくことで、路線バスとしての営業運行が開始できるレベルになったと答えていた。
大甕駅では駅前のロータリーにある停留所に停車するが、その動きもまたスムーズだった。僕は自動運転区間の終点である、河原子BRT停留所で下車。車両と停留所との隙間がほとんどないことに気づいて、こうした部分まで自動運転が行き届いていることを教えられた。
帰りは普通のバスで大甕駅前まで向かい、後続の自動運転バスを撮影後に乗車し、おさかなセンターに戻った。
ひたちBRTでは今後、国内初の車内無人での路線バス営業運行を、2026年度中に実施することを目指していくという。乗務員がいなくなると、スマートフォンのアプリなどで乗車予約をすることになるので、車両とアプリを連動させることで、乗降客のいないバス停は通過するという制御はできるだろう。
車いす利用者の対応も、デジタル障害者手帳との連携で、自動でスロープを出し入れできれば、車両と停留所の隙間は小さいので、可能ではないだろうか。
人口減少と高齢化が続く中では、バスの運転士不足が解消されることは難しい。だからこそ移動サービスの自動運転レベル4は重要であり、一般道を含めて普及が進んでいってほしいと思った。
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