現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【英国版もマイルドHVに】スズキ・イグニス1.2へ試乗 燃費と乗り心地を改善

ここから本文です

【英国版もマイルドHVに】スズキ・イグニス1.2へ試乗 燃費と乗り心地を改善

掲載 更新 7
【英国版もマイルドHVに】スズキ・イグニス1.2へ試乗 燃費と乗り心地を改善

シティカーでもある小さなSUV

text:Kris Culmer(クリス・カルマー)

【画像】イグニスとジムニー、パンダほか 全110枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


スズキ・イグニスは、シティカーでもある小さなSUVだ。全長は3700mmしかなく、全幅は1690mmと細身。欧州では、コンパクトカーの中でも小柄な部類に入る。

タイヤが四隅で踏ん張ったスタンスで、悪路にも備える。スズキは、英国ではクラス唯一のSUVだと主張するが、フェイスリフトでその個性を強めたという。

フロントグリルとバンパーはデザインが新しくなり、ボディには新色を追加。試乗車は、英国の田園風景にもよく似合う、タフ・カーキという色だった。

デザイン以上にスズキを忙しくしたのは、機械的な改良。乗り心地を改めるため、テールゲートやルーフ、フロア、サスペンション・マウント回りに補強材を追加。ノイズを減らす目的で、新しい防音材も採用した。車重は895kgと軽いまま。

英国版ではエンジンも一新。デュアルジェットと呼ばれる、スズキ製の1.2L 4気筒ユニットはK12Dのコード番号を得ている。欧州でも、イグニスはマイルド・ハイブリッドのみが売られることとなった。

システムが採用する電圧は12V。リチウムイオン・バッテリーの容量が0.12kWhに増やされ、燃費効率を向上させている。

進化したエンジンと大きなバッテリー、パワフルになったスターター・ジェネレーター(ISG)により、最も効率に優れる仕様の場合、WLTP値の燃費は19.7km/L。CO2の排出量は114g/kmとなる。

5速MTからCVTに切り替えると、カタログ上の燃費は18.2km/Lへ落ちる。あるいは、前輪駆動から四輪駆動へ切り替えると、18.4km/Lへと落ちる。

初期モデルより乗り心地は改善

イグニスに搭載される四輪駆動は、パーマネント式。ビスカスカップリングを介して、必要に応じてリアタイヤへ伝えるトルク割合を変化させる。

普通に運転している限り、トルク割合の変化には気付かない。スズキによれば、コーナリング性能を向上させ、冬場での扱いやすさが高まるとしている。寒い地域に住む人にとっては、有用だろう。また四輪駆動でも、車重は1tを超えない。

マイナーチェンジを受けた2020年版イグニスを運転して、最初に気づくのは乗り心地の改善。2018年の初めにも、後部座席の乗り心地を良くするアップデートを受けていたが、さらに今回の変更で良くなっている。

低速域ではアスファルトの乱れを拾い、まだ乗り心地が素晴らしいとはいえない。しかし、初期のイグニスより間違いなく快適になっている。

高速道路での風切り音やロードノイズといった、洗練度も良くなった。ただし、毎日110km/hの速度で通勤するような場合は、違うクルマを選んだ方が良いかもしれない。

マイルド・ハイブリッド化により、最高出力は90psから83psへと落ちている。ただし、明確に気付くほどのパワーダウンでもない。そもそも、速いクルマではなかった。

0-100km/hの加速に要する時間は12.8秒で、従来どおり。高速道路の上り坂で、減速に悩むことはないだろう。ただしMTの方が、高速道路は走りやすいと思う。

優れた燃費に実用性重視のインテリア

今回の試乗では、高速道路や一般道などを交えて、1360kmほどの距離を走行した。得られた燃費は、18.3km/Lと充分に納得できるもの。ISGのアシストで、0.2Lのガソリン消費をアイドリング時に減らせたようだ。

筆者のこれまでの経験では、燃費は更に伸びる。前輪駆動モデルで気を使って運転すれば、23.0km/Lくらいは出せるだろう。

イグニスは、ハンドリングを楽しむタイプのクルマではない。それでも、郊外の道を運転すれば、クルマと穏やかな対話を楽しむことができる。シリアスなやり取りではないが、ドライバーにちゃんと応えてくれる。

インテリアは新しさに欠け、実用性重視。傷の付きにくい硬質なプラスティックを用いているが、スタイリッシュな車内のシティカーを探している人の目には、魅力的に映らないとは思う。

センターコンソールのパネルは、ガタツキが大きい。それでも、堅牢ではあるはず。エアコン用のコントローラーは大きく扱いやすい。ヒルディセント・コントロールや車線維持支援システム、衝突被害軽減ブレーキのスイッチ類も同様だ。

タッチモニター式のインフォテイメント・システムも、基本的には従来どおり。反応が鈍く、扱いやすいわけでもない。ステアリングホイール上に、ステレオの操作ボタンがあるのはありがたい。

気候変化の大きい地域では有力な選択肢

運転姿勢は、かなりアップライト。シートはランバーサポートの効きも良く、ステアリングホイールは上下に動かせる。多くの人が、丁度いい姿勢を見つけられるだろう。

ボディ高があるから、インテリアは開放的に感じられる。リアシートの足元は、それほど広いわけではない。

今回の試乗ではオフロード走行の機会はなかったが、AUTOCARでは以前、四輪駆動のイグニスの優れた走破性を確かめている。

英国での価格は、四輪駆動で一番上のトリムグレードでも1万7499ポンド(237万円)と、リーズナブル。フィアット・パンダの方が安価だが、内容は少々時代遅れにも感じてしまう。

スズキ・イグニスは、ジムニーに置き換わるクルマではない。しかし、雪が降るような気候変化の大きい地域でコンパクトモデルが必要なら、この小さなSUVは有力な選択肢となるだろう。

スズキ・イグニス 1.2ブースタージェット・ハイブリッド 4WD SZ5(英国仕様)のスペック

価格:1万7499ポンド(237万円)
全長:3700mm
全幅:1690mm
全高:1605mm
最高速度:165km/h
0-100km/h加速:12.8秒
燃費:18.4km/L
CO2排出量:123g/km
乾燥重量:940kg
パワートレイン:直列4気筒1197cc自然吸気+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:83ps/6000rpm
最大トルク:10.9kg-m/2800rpm
ギアボックス:5速マニュアル

こんな記事も読まれています

「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
くるまのニュース
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
AUTOCAR JAPAN
3/4サイズの「セブン」は50ccの原付きカー! ワンオフで製作してナンバー取得済み。左足アクセル仕様の理由とは【マイクロカー図鑑】
3/4サイズの「セブン」は50ccの原付きカー! ワンオフで製作してナンバー取得済み。左足アクセル仕様の理由とは【マイクロカー図鑑】
Auto Messe Web
「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽
「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽
AUTOCAR JAPAN
自動車のカタログ好きは集まれ! ACC・JAPANが東京交歓会を開催
自動車のカタログ好きは集まれ! ACC・JAPANが東京交歓会を開催
driver@web
B-Max Racing Teamが厚木基地の日米親善春祭りにレースカーを展示。乗車体験やサイン会で盛り上がる
B-Max Racing Teamが厚木基地の日米親善春祭りにレースカーを展示。乗車体験やサイン会で盛り上がる
AUTOSPORT web
ホンダ「ヴェゼル」マイナーチェンジ!アウトドアスタイルの新パッケージ「HuNT」登場!
ホンダ「ヴェゼル」マイナーチェンジ!アウトドアスタイルの新パッケージ「HuNT」登場!
グーネット
メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
レスポンス
マルチクラッシュ決着を突破したタイラー・レディックが今季初勝利。MJも現地で祝福/NASCAR第10戦
マルチクラッシュ決着を突破したタイラー・レディックが今季初勝利。MJも現地で祝福/NASCAR第10戦
AUTOSPORT web
藤原慎也、2026年にダカールラリー挑戦へ「自分史上最大のプロジェクト。果てしない過酷な道を走破したい」
藤原慎也、2026年にダカールラリー挑戦へ「自分史上最大のプロジェクト。果てしない過酷な道を走破したい」
AUTOSPORT web
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは
くるまのニュース
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
ホンダアクセス、新型ヴェゼル用・純正アクセサリーを発売開始
月刊自家用車WEB
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
これからの物流の要となる小型EVトラック普及の鍵! EV充電スポットが「小型EVトラック」にも開放された
WEB CARTOP
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着
くるまのニュース
スフィアライトから「純正LEDフォグパワーアップバルブ」が発売
スフィアライトから「純正LEDフォグパワーアップバルブ」が発売
レスポンス
明るい話題だけではやっていけない。メルセデスF1代表、終わらない苦戦から「チームが一歩踏み出す必要がある」
明るい話題だけではやっていけない。メルセデスF1代表、終わらない苦戦から「チームが一歩踏み出す必要がある」
motorsport.com 日本版
WRC育成2期生、初のターマック戦『クロアチア・ラリー』を完走。グラベルクルーとの連携も経験
WRC育成2期生、初のターマック戦『クロアチア・ラリー』を完走。グラベルクルーとの連携も経験
AUTOSPORT web
どこがどう違う?ボルボの最新コンパクトEV「EX30」とレクサス「LBX」を徹底比較
どこがどう違う?ボルボの最新コンパクトEV「EX30」とレクサス「LBX」を徹底比較
@DIME

みんなのコメント

7件
  • そう思わないのカウントが異常。
    なんでこんな事するんだろね。
  • ダイハツみたいにトヨタパワーを借りたら日本国内でもそれなりに売れそうだけどな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

160.1199.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.4208.0万円

中古車を検索
イグニスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

160.1199.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.4208.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村