現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ジャガーのEVコンセプトカー「TYPE 00」が提案するクルマの未来

ここから本文です

ジャガーのEVコンセプトカー「TYPE 00」が提案するクルマの未来

掲載 2
ジャガーのEVコンセプトカー「TYPE 00」が提案するクルマの未来

 米マイアミのアートウィークやパリでも公開されたジャガーのコンセプトカー「TYPE 00」が先月、東京でもメディア向けに発表された。実物の迫力というか存在感はとても強烈だ。低く、幅広く構えた巨大な2ドアボディは、これまでのどんなジャガーにも似ていないし、ライバルたちとも造形的な共通性は見当たらない。

超高級EV専業メーカーへ

EVモードで100km近く走るメルセデス・ベンツ「E350eスポーツ エディションスター」の高い実用性

「TYPE 00」はEV(電気自動車)のコンセプトカー。ジャガーは2018年から「I-PACE」というEVを製造していたが、それのモデルチェンジ版ではない。現在、ジャガーはすべての製造ラインを止めて、クルマを造っていない。2021年に発表された「REIMAGINE」戦略という新たなグローバル経営計画に基づいて超高級EV専業メーカーになるべく、まったく新たに出直す準備を進めている。

 その計画の骨子が「ジャガーはエンジン車の製造を順次止めていき、2025年にはEVだけを製造販売するEV専業メーカーに生まれ変わる」というものだ。「TYPE 00」は、その第1弾となるEV(電気自動車)のデザインイメージを提示している。発表会場や、その後のSNSなどでの反応は混乱していた。

「これがジャガーの新型車なのか?」
「ジャガーらしさが、どこにもないじゃないか!?」
「どこがカッコいいのかわからない」

 あくまでもスタイリングイメージなので、実車がこの通りで出てくるわけではない。それを了解したとしても、見る者を混乱させてしまったようだった。筆者は、率直な感想だが、素晴らしいと思った。違和感を感じるくらいに今までのクルマと大いに違っているところが良い。新車の宣伝の常套句で「革新的」という言葉があるけれども、これくらいやらなければもう革新的とは言えない。



 エンジン車からEVに移行するということは、クルマを動かすパワートレインだけが変わるのではなく、それに付随して使われ方や乗り方、社会での存在のあり方なども含めて大きく変わっていくのだ。だから、デザインもこれまでの延長線上になくてもかまわない。



ジャガーは、あえて見る者を戸惑わせ、揺さぶろうとしている

 もちろん、何十万台、何百万台と販売するようなコンパクトカー、大衆車などは馴染みやすさが求められるからコンサバになってしまうのは仕方がない。しかし、ジャガーは昔からプレミアムだったし、スポーティだったではないか。特別な存在だから、みんなジャガーをリスペクトしていたわけだ。ジャガーに乗るということは、メルセデス・ベンツやBMW、ポルシェなどに乗るのとは違うのだ。

 ベクトルは問わずに現在のクルマたちから大きく離れてしまった、離してしまったことは、むしろジャガーを賞賛すべきなのではないだろうか。冒険しているからだ。新時代の“特別感”の出し方に、戸惑ってしまった人が多かったのだろう。でも、それがジャガーの狙いなのかも、と勘繰ってしまいそうになるほど、新しい表現を用いてこれまでのジャガーやスポーツカー、プレミアムカーといった固定観念を覆そうとしている。ジャガーは、あえて見る者を戸惑わせ、揺さぶろうとしているのかもしれない。

 そう考えさせられたのは、チーフ・クリエイティブ・オフィサーのジェリー・マクガバン氏の言葉だ。

「TYPE 00は、EVの常識に沿ったものではありませんし、万人に愛されることを望むものでもありません。驚きを与え、シビレさせ、賛否両論を巻き起こすことでしょう。しかし、それはジャガーブランド本来の価値観に立ち返るという、私たちの決意を雄弁に物語っているのです」

「TYPE 00」のデザインについては「クリエイティブリスク」という言葉も聞いた。“時流に沿って、誰からも好かれるだけでは駄目だ。クリエイティブに於いてもリスクを恐れるな”というわけだ。とても刺激的な言葉で、示唆に富んでいる。「TYPE 00」のコンセプトカーは何種類も造られて、マイアミで発表されたものはドアが開いてインテリアも設られていたが、東京に来たものはドアも開かなかった。

 今年後半にはスペックなどが発表され「発売は2026年以降」ということだけしか決まっていない。まだまだ先のクルマなのだが、周到に準備されていることは間違いない。ひとつのプラットフォームから3モデル造られる予定で、最初に登場するのは、4ドアGTで、次が2ドアクーペ、その次は“まだ秘密だ”と昨年、インタビューをしたジャガーのトランスフォーメーションディレクター、サミュエル・ゴールドスミス氏は語っていた。そして、次のように続けていた。

「Reimagine戦略に変わりはありません。発表した時と変わらず、着々と進行しています。ジャガーはプレミアムEV専業メーカーとして再定義され、再出発します」

 造形でここまで驚かせてもらったわけだから、次は中身でも驚かせてくれるのだろう。これほど注目を集めるクルマも、なかなかない。

■関連情報
https://automotive-quantum.jp/special/3281

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

文:@DIME

こんな記事も読まれています

なぜ「ホンダジェット」は新型を造るのか? 親会社ホンダ“6900億円赤字”の逆風下でも“挑む”ワケ
なぜ「ホンダジェット」は新型を造るのか? 親会社ホンダ“6900億円赤字”の逆風下でも“挑む”ワケ
乗りものニュース
【正式発表】ホンダ/アキュラ、IMSAでのワークスGTP活動を2026年限りで「停止」へ
【正式発表】ホンダ/アキュラ、IMSAでのワークスGTP活動を2026年限りで「停止」へ
AUTOSPORT web
ドイツ版“イージス艦”登場!? 防空システム一新の「巨大フリゲート」米艦と連携強化へ
ドイツ版“イージス艦”登場!? 防空システム一新の「巨大フリゲート」米艦と連携強化へ
乗りものニュース
新車なのにビンテージの風格! 世界最古のメーカーとトライアンフが放つ最新クラシックとは? 英国ルーツの「並列2気筒バイク」3選
新車なのにビンテージの風格! 世界最古のメーカーとトライアンフが放つ最新クラシックとは? 英国ルーツの「並列2気筒バイク」3選
VAGUE
マクラーレン、ランビアーゼの獲得はプロジェクトの”総仕上げ”?「マクラーレンが魅力的な存在である証明」
マクラーレン、ランビアーゼの獲得はプロジェクトの”総仕上げ”?「マクラーレンが魅力的な存在である証明」
motorsport.com 日本版
期待を上回る好スタートを切ったアントネッリ。現時点でタイトル争いは考えずも「今年はチャレンジャーになれる」
期待を上回る好スタートを切ったアントネッリ。現時点でタイトル争いは考えずも「今年はチャレンジャーになれる」
AUTOSPORT web
どうなる?!ソニー・ホンダモビリティ アフィーラは白紙だが新たな事業形態を目指すのか
どうなる?!ソニー・ホンダモビリティ アフィーラは白紙だが新たな事業形態を目指すのか
Auto Prove
驚異の急成長を遂げるベトナムの国産メーカー「ビンファスト」を現地取材! 2045年に「先進国の仲間入り」も現実的と思えるクルマと交通状況に衝撃!!
驚異の急成長を遂げるベトナムの国産メーカー「ビンファスト」を現地取材! 2045年に「先進国の仲間入り」も現実的と思えるクルマと交通状況に衝撃!!
WEB CARTOP
【タイチ】のライダー用エアバッグ「T-SABE」の発売日が決定!
【タイチ】のライダー用エアバッグ「T-SABE」の発売日が決定!
モーサイ
今年は5月17日(日)に開催! ファッショナブルな装いで【The Distinguished Gentleman’s Ride】に参加しよう!
今年は5月17日(日)に開催! ファッショナブルな装いで【The Distinguished Gentleman’s Ride】に参加しよう!
モーサイ
人気イラストレーター・加藤ノブキ氏がリデザイン!【モトフィズ】から「HAVE A BIKE DAY.」コラボバッグが登場
人気イラストレーター・加藤ノブキ氏がリデザイン!【モトフィズ】から「HAVE A BIKE DAY.」コラボバッグが登場
モーサイ
加藤大治郎選手レプリカ最新モデルがSHOEI「X-Fifteen」に登場!カラースキームはシルバー×ブルー
加藤大治郎選手レプリカ最新モデルがSHOEI「X-Fifteen」に登場!カラースキームはシルバー×ブルー
WEBヤングマシン
スズキ「ワゴンR」に残された「5速MT」どんな人が買ってる? “実用的な軽自動車”に継続設定する意外なメリットとは!
スズキ「ワゴンR」に残された「5速MT」どんな人が買ってる? “実用的な軽自動車”に継続設定する意外なメリットとは!
くるまのニュース
【WEC開幕戦】トヨタがフェラーリの本拠地イモラで勝利!スピードと戦略を高次元で融合させた走りで逆転劇
【WEC開幕戦】トヨタがフェラーリの本拠地イモラで勝利!スピードと戦略を高次元で融合させた走りで逆転劇
AutoBild Japan
圏央道の下をズバッと横断! 神奈川の「ヨコ移動困難エリア」を貫くスゴい県道、延伸近づく!
圏央道の下をズバッと横断! 神奈川の「ヨコ移動困難エリア」を貫くスゴい県道、延伸近づく!
乗りものニュース
BMW『X2』に新グレード「sDrive20i Mスポーツ」追加、48Vマイルドハイブリッド搭載…592万円
BMW『X2』に新グレード「sDrive20i Mスポーツ」追加、48Vマイルドハイブリッド搭載…592万円
レスポンス
価格16万円! ヤマハ新型「JOG E」とは?  “バッテリー”と“充電器”が付属しない!? ホンダとの協業でうまれた「最新スクーター」の特徴は?
価格16万円! ヤマハ新型「JOG E」とは? “バッテリー”と“充電器”が付属しない!? ホンダとの協業でうまれた「最新スクーター」の特徴は?
くるまのニュース
赤旗法からBMC興亡まで波乱の歴史を歩んだ英国だが、オートモビル カウンシルでは希少なヒーレーのワークスカー4台が奇跡の集結!
赤旗法からBMC興亡まで波乱の歴史を歩んだ英国だが、オートモビル カウンシルでは希少なヒーレーのワークスカー4台が奇跡の集結!
Auto Messe Web

みんなのコメント

2件
  • ねこにごはん
    カウンタックのような革新性だったなら絶賛されただろう。
    奇をてらっただけのコンセプトカーなら腐るほどある。
  • cha********
    現経営陣のコメント聞いてても「その主張をジャガーブランドでやる意味あるの?」としか思えない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1517 . 1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

218 . 9万円 399 . 9万円

中古車を検索
ジャガー I-PACEの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1517 . 1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

218 . 9万円 399 . 9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村