現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「シャコタン」よりも世間の目も優しい! 軽自動車の「シャコアゲ」が流行るワケ

ここから本文です

「シャコタン」よりも世間の目も優しい! 軽自動車の「シャコアゲ」が流行るワケ

掲載 更新 131
「シャコタン」よりも世間の目も優しい! 軽自動車の「シャコアゲ」が流行るワケ

中途半端に下げるなら、逆に上げてみるという選択

 車高をアゲて乗るという文化は、四駆の世界などではずいぶん前から存在していたが、ことドレスアップカーという視点から見ると、数年前まではほぼ「あり得ない」と言ってよかったと思う。車高は落とすのが当然。ローフォルムで地を這う姿こそがカッコイイ、というのが長らくドレスアップ好きの定説であった。

軽トラ・軽バンをアゲるならタイヤがキモ! いま続々登場の泥系「ボコボコタイヤ」とは

 軽自動車カスタムもその流れに乗って、いかに低くするかに「しのぎ」を削ってきたものだったが、近年少し様子が変わってきたように思う。中途半端にサゲるなら、アゲてしまった方が格好いいんじゃないか、というムーブメントが発生。特に純正ショックのストローク量でギリギリまかなえる範囲で車高を上げる「ちょいアゲ」派が急増中なのだ。

 そんな軽自動車のリフトアップ文化は、間違いなく軽カー総合カスタマイズメーカーの「KLC」が推奨してきたと言える。同社が出した車検対応、約3センチ(車種により数ミリの変動あり)のリフトアップスプリング「轟」は、今や50車種以上のラインナップを誇る。

 だが同社は車高短が似合うオシャレで小振りなエアロで有名だったはず(今でもS660などはそのスタイルのエアロパーツ)。代表の川原さん自身もかつては車高短乗りで「正直車高短以外のクルマには興味が無かった」とも言っていたほど。だが、知人のショップに頼まれて、エブリイのリフトアップ車を作ったことをきっかけに、アゲの魅力に開眼した。

他の趣味にも似合うカスタムを求める時代に

「初めて車高が上がったエブリイを見た時に『あれ? 悪くないじゃん』と思ったんですよね。これはこれでアリなんじゃないかと」。 それがいまから約4年前。そこから色々な車種でリフトアップスプリングを作り始める。ただ当初は軽自動車をアゲるということ自体がさほど認知されておらず、反響はイマイチだったそうだ。

 その潮目が変わったのは、ハスラーの登場から。「ハスラーは元々純正でワゴンRよりも3センチぐらい車高が高い。つまりメーカーとしてもリフトアップをアリなスタイルとしているわけですよね。しかも当時、先代の23ジムニーなんかをリフトアップしていたショップたちが、こぞってハスラーに手を出し始めた。そこからリフトアップって仕様が少し浸透したというか。その後、エブリイとかの箱車をアゲる人が出始め、さらにはそれが軽トラにまで波及し、ブームが加速していった気がします」。

「遊べる軽」をキャッチフレーズに登場したハスラーの存在は、軽自動車の流れを変えた。「クルマと釣り、クルマとキャンプといったように、クルマと何か違う趣味を抱き合わせして楽しむ流れになってきたんですよね。キャンプをはじめとするアウトドアブームが来たこともあって、そうした場所に行くのにカッコイイクルマって何だろうという価値観がうまれてきた。そうなると、やっぱり車高短よりも断然車高がアガっていた方が使い勝手がいい。腹下も何も気にせず走れるのはやっぱり魅力ですから」。

ブーム後押しの要因にある「世間の目」

 その流れが大きくなるにつれ、先述したハスラーや軽バンからのオーダーだけでなく、ネイキッドのようないわゆる旧モデル、さらにはコペンやアルトワークス、ミライースといった、アゲたスタイルを想像しにくいユーザーからの問い合わせも来たという。「少し前にはとある県の消防署にも納品しましたね」。

 ではなぜそこまで「ちょいアゲ」が支持されたのか。そこには「世間の目」が確実にあるという。「若い頃に本気でシャコタンに乗ってた人って、年取ってもノーマルのクルマに乗るのが嫌なんですよ。ちょっとタイヤとホイール買えようかな、ノーマルよりは車高落としたいな、ってなる。かといって車高調入れてまで本気になる気もほどでもない。じゃあ中途半端に2~3センチ落ちてるなら、アガってた方がおしゃれなんじゃないかな、って。車高の低いクルマって、変な緊張感があって疲れるんですよ(笑)」。

「あと…これをメーカー側の自分が言うのもどうかと思いますけど、自分の歳くらいになって買った軽自動車をゴリゴリの『どシャコタン』にして、それを同級生に見られた時……なんていうか、恥ずかしいというか、やっぱり痛い感じが少なからずします(笑)。世間体が悪いというか。でもそれがアゲだと、不思議とオシャレなクルマ乗ってます、っていう感じになるんです」。

 確かに車高短はどうしてもワルっぽいイメージがあり、そこがまた魅力ではあるのだが、年齢を重ねると共に仕事や周囲の環境にそぐわなくなることも多い。

「リフトアップ車ってトゲトゲしくないから、一般の人から見ても抵抗感が少ないんだと思う。不良っぽいタイプのドレスアップカーとはまた違って、やり方によってはちょっとオシャレな感じに見えると思うんですよ。ウチなんかでも車高短のデモカー撮影している時と、ちょいアゲのデモカー撮影の時だと、周囲の人の視線が確実に違いますからね(笑)」。

足まわりだけでそれっぽく見える手軽さも魅力

 アゲブームのもう一つの理由は、その手軽さにもあるのではないかと前出の川原サンは言う。「少しだけ車高を上げて、タイヤ&ホイールを変えるだけで雰囲気が出る。そこからキャリアを付けたり、シートカバーを付けたりっていうプラスαで十分楽しめるから、無理せずドレスアップが出来るんです。しかも車高短にしてピョンピョン跳ねて、しかも行ける場所が限られるようだと家族からもクレームがつきますが、ちょいアゲならそこもほぼ問題ない。お小遣いの範囲で出来るから、結婚している人でも出来ちゃうと思います」。

 足まわりだけで完成する仕様だからこそ、タイヤ選びは重要なポイントとなる。4WD系の「ボコタイヤ」が主流だが、あえてラジアルタイヤにしたり、ホワイトリボンやホワイトレターといった選択肢もある。少し前まではサイズ的に限りがあったのだが、トーヨーや横浜ゴムといった主要メーカーからも軽自動車用サイズの4WDタイヤがリリースされ、色々選べるようになったのもブームへの追い風となっている。

  車高短同様、どうせやるならとことん上げたいという人もいるだろうが、同社が推奨するのは、あくまで車検対応内で出来る「ちょいアゲ」。

「もちろんもっと上げたいという問い合わせは頂きますが、うちはあくまでも純正ショックのストローク量で賄える範囲で、構造変更もいらない範囲でのリフトアップを提案しています。それ以上になると、敷居もグッと上がるし、それはプロショップさんの仕事になってくると思うので。ダウンサスでローダウンするのと同じぐらいの感覚で、オシャレに楽しめる。そのぐらいの『ちょいアゲ』がオススメです」。

こんな記事も読まれています

斬新デザインの上級7人乗りSUV ヒョンデ新型「サンタフェ」 約895万円から欧州発売へ
斬新デザインの上級7人乗りSUV ヒョンデ新型「サンタフェ」 約895万円から欧州発売へ
AUTOCAR JAPAN
GW渋滞、名神・新名神・中国道のピークは? 最大35kmの渋滞を見込む【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
GW渋滞、名神・新名神・中国道のピークは? 最大35kmの渋滞を見込む【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
くるくら
トヨタ“新”「アクア」発表! めちゃ上質ブラウン内装×斬新2トーン採用! 「小さな高級車」な新「Raffine」 内外装の特徴は
トヨタ“新”「アクア」発表! めちゃ上質ブラウン内装×斬新2トーン採用! 「小さな高級車」な新「Raffine」 内外装の特徴は
くるまのニュース
盗難の温床になることもある危険な場所! ヤードって何?
盗難の温床になることもある危険な場所! ヤードって何?
バイクのニュース
限定生産、MT設定なし? 軽量カーボンの高性能クーペ、BMW新型「M2 CS」2025年導入へ
限定生産、MT設定なし? 軽量カーボンの高性能クーペ、BMW新型「M2 CS」2025年導入へ
AUTOCAR JAPAN
ダイハツ「ハイゼット パネルバン」を「旅する小さなログハウス」に! 地産地消のおしゃれ軽キャンパーに込めた想いとは
ダイハツ「ハイゼット パネルバン」を「旅する小さなログハウス」に! 地産地消のおしゃれ軽キャンパーに込めた想いとは
Auto Messe Web
【新車価格情報】軽自動車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年4月20日時点
【新車価格情報】軽自動車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年4月20日時点
カー・アンド・ドライバー
GW渋滞、九州道のピークは5月3日に最大30km! 東九州道と長崎道も混雑か【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
GW渋滞、九州道のピークは5月3日に最大30km! 東九州道と長崎道も混雑か【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
くるくら
運転免許証「12桁の数字」どんな意味? 個人情報はドコまで分かる?最後の“1桁“に隠れているコトとは
運転免許証「12桁の数字」どんな意味? 個人情報はドコまで分かる?最後の“1桁“に隠れているコトとは
くるまのニュース
バイクのタイヤ交換した! 交換したタイヤのベストな保管方法とは
バイクのタイヤ交換した! 交換したタイヤのベストな保管方法とは
バイクのニュース
レンジローバー最初のEV、プロトタイプの写真を公開
レンジローバー最初のEV、プロトタイプの写真を公開
レスポンス
東京ディズニーの新ホテル、1泊34万円超の豪華客室も[新聞ウォッチ]
東京ディズニーの新ホテル、1泊34万円超の豪華客室も[新聞ウォッチ]
レスポンス
遂に試乗!原点回帰のランクル新型「250シリーズ」。「300」、「70(ナナマル)」、先代もイッキ乗り!!
遂に試乗!原点回帰のランクル新型「250シリーズ」。「300」、「70(ナナマル)」、先代もイッキ乗り!!
月刊自家用車WEB
フェラーリが大型スポンサー契約締結! 米テクノロジー大手とのタッグでチーム名も『スクーデリア・フェラーリ HP』に
フェラーリが大型スポンサー契約締結! 米テクノロジー大手とのタッグでチーム名も『スクーデリア・フェラーリ HP』に
motorsport.com 日本版
渋滞40kmも!? 関越道「イライラGW渋滞」今年はいつが酷いのか 「穴場の時間帯」知ればストレス全然違う!? 鬼門の「高坂SA」の状況は
渋滞40kmも!? 関越道「イライラGW渋滞」今年はいつが酷いのか 「穴場の時間帯」知ればストレス全然違う!? 鬼門の「高坂SA」の状況は
くるまのニュース
あの「ハチハチ」を再現!! ホンダ「NSR250R」が1/12スケール完成品モデルで新登場
あの「ハチハチ」を再現!! ホンダ「NSR250R」が1/12スケール完成品モデルで新登場
バイクのニュース
アストンマーティン『DBX』に改良新型、内装一新…707馬力仕様に一本化
アストンマーティン『DBX』に改良新型、内装一新…707馬力仕様に一本化
レスポンス
スバル、レガシィセダンの生産を2025年春に終了 セダンはWRXのみのラインアップへ
スバル、レガシィセダンの生産を2025年春に終了 セダンはWRXのみのラインアップへ
日刊自動車新聞

みんなのコメント

131件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

138.7183.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

24.8316.7万円

中古車を検索
ハスラーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

138.7183.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

24.8316.7万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村