現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > ヤマハV4エンジンに好印象。クアルタラロは「問題をすべて解決してくれると期待すべきではない」と喚起/ミサノ公式テスト

ここから本文です

ヤマハV4エンジンに好印象。クアルタラロは「問題をすべて解決してくれると期待すべきではない」と喚起/ミサノ公式テスト

掲載 更新 15
ヤマハV4エンジンに好印象。クアルタラロは「問題をすべて解決してくれると期待すべきではない」と喚起/ミサノ公式テスト

 9月15日、2025年ロードレース世界選手権MotoGPクラスのミサノ公式テストがイタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われた。ヤマハが実戦投入したV4エンジンを搭載したYZR-M1プロトタイプマシンは、レギュラーライダたちにどのような印象を与えたのだろうか。

 第16戦サンマリノGPではV4エンジンを搭載したYZR-M1プロトタイプマシンが初めて実戦投入され、テストライダーのアウグスト・フェルナンデスが走らせていた。決勝距離でのデータを収集するという参戦目的も達成し、テストライダーとしてしっかりと役割を務めただけでなく、決勝レースではポイントも持ち帰った。終了後には「V4エンジンのポテンシャルは確かにあるよ」とポジティブな印象を口にしていた。

KTM・アコスタが最速。ヤマハは3名のライダーがV4エンジン車両をライド/ミサノ公式テスト

 そしてレース翌日の9月15日(月)には、同地ミサノで公式テストが実施された。ヤマハ陣営はテストライダーは参加せず、レギュラーライダー4名のみがテストに取り組んだ。そのなかV4エンジンを搭載したYZR-M1は、ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)、ジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)の元にそれぞれ1台ずつ用意されていた。

 今回のテストでV4エンジンを搭載したYZR-M1の試乗を熱望していたというクアルタラロとアレックス・リンス。走行が始まるといち早く乗り込んだのは、クアルタラロだった。フィーリングの確認、そして今後の開発に向けたデータ収集とチームにより多くのフィードバックを供給するべく、午前中は入念に走行。午後にはシーズン終盤戦に向けて2025年型ヤマハYZR-M1を走らせ、比較も行っていたようだ。終了後には次のようにコメントしている。

「このバイクはまだ開発初期段階だから、やるべきことはまだたくさんある。バルセロナ(のテスト)でのフィーリングとは全く違う印象だったけど、改善の余地はあると思う。V4エンジンへの適応は全く問題ないよ。ただ、このエンジンがすべての問題を一気に解決してくれると期待すべきではないと思っているんだ。セッティングやエレクトロニクスなど、調整が必要となる重要な部分もあるから今はその可能性を探っているところだよ」

 ポジティブな印象もあるようだが、V4エンジンのみに頼り切るのはよくないと警鐘を鳴らしている印象が伺える。そしてチームメイトのアレックス・リンスは、午前にクアルタラロがライドしていたV4エンジン搭載車両に午後から乗り込む形となった。午後は34周をこなして、比較テストを行っていた様子だが、彼もまたプラスな印象を抱いていた。

「新しいバイクの挙動にはとても満足しているよ。多くの良いところ、そして改善の余地も十分にある。ブレーキングの感触も本当に良かったよ。まだ『最終的な完成系のバイク』ではないけれど、次に新しいバイクに乗る頃には、多くのパーツが変わっているだろう。ラップタイムではかなり差をつけたけれど、V4エンジン搭載のプロトタイプはグリップも良好なんだ。正しい方向に進んでいるよ」

 そして、今回ふたりに加えてV4エンジン搭載車両のテストの機会が与えられたミラーは「とても興味深い経験だったよ。マシンの長所と短所の両方を理解し、長所を最大限に活かして短所を改善する良いテストとなった。僕たちは正しい方向に進んでいる」とポジティブな印象を口にしていた。

 また、続けて「順調に機能しているし、今年のYZR-M1と比べると、すでにいくつか進歩も遂げているから良い方向に向かっている。コーナーリングスピードが最大の強みだった旧型のYZR-M1から移行し、現在はジオメトリー、重量配分など、あらゆる面で新たなバランスを見つけようとしているんだ。マシンはあらゆる面で期待通りの性能を発揮していると思う。あとは時間が必要だ。まだプロジェクトは初期段階だからね」と語り、期待も膨らませている様子。

 今回のテストでの順位としてはリンスが17番手、クアルタラロが18番手で終えており、両者ともに採用されたベストタイムは現行のYZR-M1でマークしたものだと思われる。またプリマ・プラマック・ヤマハMotoGPとしてもミゲール・オリベイラが16番手、ミラーは19番手と下位に沈む形となった。ただ、今回はあくまでシェイクダウンおよび多くのデータを収集し来季以降に向けて改善し作り上げるのが目的だ。

 そのため、順位こそ下位を占めているものの、現時点でライダーたちはV4エンジン搭載車両に対してポテンシャルの高さは実感しているようだ。モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのチームディレクターを務めるマッシモ・メレガリも「開発はまだ初期段階であり、ラップタイムをプロジェクトの進捗状況の客観的な指標として用いることはできない。今回のサンマリノGPとテストを客観的な視点から見ると、ベースマシンにはポテンシャルがあることは証明されている。得られた知見に基づいてプロトタイプを調整し、さらに開発を進めていく必要がある」と口にしていた。

 注目を集めているV4エンジン。改善の余地は十分にありそうだが、ライダーたちが口を揃えてポジティブな印象を語っているだけに、今後に向けても期待ができそうだ。今後どのように改善され、真の戦闘力がいつ発揮されるのか今後の動向にも注目していきたいところだ。

[オートスポーツweb 2025年09月18日]

文:AUTOSPORT web
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

さいたま市の「新駅」実現なるか? 駅周辺の新たな整備イメージが明らかに 延伸区間の開業と同時に街びらきも
さいたま市の「新駅」実現なるか? 駅周辺の新たな整備イメージが明らかに 延伸区間の開業と同時に街びらきも
乗りものニュース
アウディ『A3スポーツバック』、「アーバンスタイルエディション」を499万円で発売…限定500台
アウディ『A3スポーツバック』、「アーバンスタイルエディション」を499万円で発売…限定500台
レスポンス
“年末年始”クルマでのお出かけに要注意! どんなトラブルが多い? JAF「約12秒に1件」出動のデータも 気をつけたいことは?
“年末年始”クルマでのお出かけに要注意! どんなトラブルが多い? JAF「約12秒に1件」出動のデータも 気をつけたいことは?
くるまのニュース
交通違反してシカトしていた「269人を逮捕しました!」どれだけヤバい状況か知ってますか? しかしタフすぎる“再逮捕者”たちの実態
交通違反してシカトしていた「269人を逮捕しました!」どれだけヤバい状況か知ってますか? しかしタフすぎる“再逮捕者”たちの実態
乗りものニュース
1リッターで“40km”走る「ホンダ車」に反響殺到!「このサイズで700kgは衝撃…」「まるで未来のクルマ!」の声も! 斬新すぎる“ワイド&ロー”なボディ採用した「超軽量スポーツカー」IMASがスゴイ!
1リッターで“40km”走る「ホンダ車」に反響殺到!「このサイズで700kgは衝撃…」「まるで未来のクルマ!」の声も! 斬新すぎる“ワイド&ロー”なボディ採用した「超軽量スポーツカー」IMASがスゴイ!
くるまのニュース
JR「奈良駅」から徒歩7分 奈良公園や東大寺などの有名観光スポットへもアクセス抜群! 最大12名まで宿泊可能な3階建て“一棟貸し宿”の魅力とは
JR「奈良駅」から徒歩7分 奈良公園や東大寺などの有名観光スポットへもアクセス抜群! 最大12名まで宿泊可能な3階建て“一棟貸し宿”の魅力とは
VAGUE
「君のやり方を続けるんだ」ハミルトン、タイトル決定直前のノリスにしたアドバイスを明かす
「君のやり方を続けるんだ」ハミルトン、タイトル決定直前のノリスにしたアドバイスを明かす
motorsport.com 日本版
テスラ、浜松と岐阜に新店舗オープンへ…2025年末で全国29店舗体制に
テスラ、浜松と岐阜に新店舗オープンへ…2025年末で全国29店舗体制に
レスポンス
魅惑のハイブリッド──新型メルセデス・ベンツCLA試乗記
魅惑のハイブリッド──新型メルセデス・ベンツCLA試乗記
GQ JAPAN
スタイリッシュでエレガントな、ちょっと小さなセダン──新型メルセデス・ベンツCLA試乗記
スタイリッシュでエレガントな、ちょっと小さなセダン──新型メルセデス・ベンツCLA試乗記
GQ JAPAN
史上最強の雄牛 ランボルギーニがカリフォルニアで29台限定生産の1080馬力モンスター「ランボルギーニ フェノメノ」を公開!
史上最強の雄牛 ランボルギーニがカリフォルニアで29台限定生産の1080馬力モンスター「ランボルギーニ フェノメノ」を公開!
AutoBild Japan
【最もダークなレンジローバー】2026年モデルに『ボディ&ソウルシート』搭載の『SVブラック』登場!
【最もダークなレンジローバー】2026年モデルに『ボディ&ソウルシート』搭載の『SVブラック』登場!
AUTOCAR JAPAN
圏央道ができてきた! 「千葉唯一の未開通区間」18.5kmの開通見込みは盤石? 「4車線化」も視野に
圏央道ができてきた! 「千葉唯一の未開通区間」18.5kmの開通見込みは盤石? 「4車線化」も視野に
乗りものニュース
新車97万円で3人乗り! 全長2.2m級の「ちいさいトライク」に反響殺到! 「こういうの好き」「年を取ったら欲しい」の声も! 車検無し&AT限定免許でOKな「NEO-ONE」とは!
新車97万円で3人乗り! 全長2.2m級の「ちいさいトライク」に反響殺到! 「こういうの好き」「年を取ったら欲しい」の声も! 車検無し&AT限定免許でOKな「NEO-ONE」とは!
くるまのニュース
ジープ『ラングラーアンリミテッド』579台をリコール タイヤ空気圧監視システムに不具合
ジープ『ラングラーアンリミテッド』579台をリコール タイヤ空気圧監視システムに不具合
レスポンス
6角/12角の形状、そしてサーフェイス。作業内容で使い分けたいソケットシリーズ〈コーケン〉
6角/12角の形状、そしてサーフェイス。作業内容で使い分けたいソケットシリーズ〈コーケン〉
WEBヤングマシン
900ps超のハイブリッドSUV ロータス、PHEV版『エレトレ』導入 販売にテコ入れ
900ps超のハイブリッドSUV ロータス、PHEV版『エレトレ』導入 販売にテコ入れ
AUTOCAR JAPAN
ホンダの新基準原付「Dio110 Lite」発売 販売店への反響は? ユーザーの理解度は?
ホンダの新基準原付「Dio110 Lite」発売 販売店への反響は? ユーザーの理解度は?
バイクのニュース

みんなのコメント

15件
  • kor********
    ま、最初からうまくいくわけない。V4になったYZRが無双するのに三年かかったからな。
  • pnq********
    V4のパワーアップに期待します。マルモリーニならやってくれるでしょう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村