「最後のランエボ」となった三菱 ランサーエボリューションXも、来年秋で早くも発売から丸15年を迎える。そして今現在も、「最後の最後のランエボ」であったファイナルエディションの発売からすでに丸6年が経過している。
となれば、気になるにはその中古車についてだ。
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特別限定車であったファイナルエディションの新車価格は429万8400円だったわけだが、カタログモデルを含むランエボX全体の中古車相場は今どのぐらいで、どのようなコンディションの個体が流通しているのだろうか?
いろいろと調査してみることにしよう。
文/伊達軍曹 写真/MITSUBISHI、ベストカー編集部
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■ランエボX登場からファイナルエディションまでの進化
2007年10月発売、歴代最後のランエボとなったランサーエボリューションX
従来のエンジンである4G63型に代わって新たにアルミブロック製2Lターボの4B11型が搭載された。2008年10月のマイナーチェンジで最高出力が280psから300psにアップ
まずは、三菱 ランサーエボリューションXというクルマについてのおさらいから。
「10代目のランエボ」である三菱 ランサーエボリューションXが発売されたのは2007年10月。
搭載エンジンは、それまでの鋳鉄ブロック製「4G63」からアルミブロックの「4B11」2Lターボ(280ps/43.0kgm)に刷新され、トランスミッションは5MTのほかにツインクラッチの2ペダルMT「SST」も採用。また4輪のトルクコントロールも、エボIXまでのそれ以上にきめ細かな制御となった。
2008年10月のマイナーチェンジで「GSR」「RS」の高回転域でのエンジン出力が向上するとともに、GSRの内外装や足まわりなどに手を加えたプレミアムグレード「GSR-Premium」を新設定。
2009年10月にはボディサイドのエアダムを大型化するなどの一部改良を行い、2010年10月にも点火系などの一部改良を実施。そして2011年10月にはインテリアの質感をアップさせる改良を行った。
さらに2012年10月にはメーカーオプションナビが新型に変更されたが、その翌々年である2014年にはAT(SST)車の生産を終了。そして2015年4月、最後の限定車である「三菱 ランサーエボリューションX ファイナルエディション」が1000台限定で発売された。
ファイナルエディションは「GSR」の5MT車をベースに、プレミアム感を高めた内外装や最高出力を向上させたエンジン、より高性能なサスペンションおよびブレーキなどが搭載された最終限定車だった。
■中古車相場はじわじわと上昇中
さて、そんな三菱 ランサーエボリューションの中古車は今、どんな状況になっているのか?
まず全体の流通量は、大手中古車情報サイトによれば全国で約180台。5MT車とAT(SST)車の割合は、MTが約37%でATが約63%だ。
中古車価格は、底値が約120万円で最高値が約700万円といったところ。ちなみに底値圏の個体は走行10万kmを大きく超えているAT車である場合がほとんどで、最高値圏の個体は走行数千kmか1万km台のMT車がその大半となる。
こういった両極端な中古車ではなく「ちょうどいい感じのモノ」は、おおむね280万円から380万円ぐらいまでのゾーンに集中している走行5万km前後の物件。そのトランスミッションは、全体の比率と同じでAT(SST)車が多めではあるが、5MT車もまずまずの数が流通している。
仮に「2010年式のGSR エボリューションX/5MT/車両価格350万円/走行6.0万km」という物件を「ちょうどいい感じのモノ(代表的な1台)」とするならば、新車時価格からわずか8%ほどしか値落ちしていないという計算になる。
またここ1年ほどの相場は、専門店にヒアリングしたところによれば「急激に上がっているというほどではないが、じわじわ上がっている」という状況とのことだ。
■ランエボXの主要グレードと装備
写真はランサーエボリューションX GSRの5速MT車をベースに特別仕様を施したファイナルエディション
ファイナルエディション(5MT)のコクピット
ちなみにランエボXの基本的なグレード構成は、
●RS:競技ベース車両。5MTのみ。
●GSR:基本装備充実の一般向けグレード。5MTとAT(SST)あり。
●GSR-Premium:GSRに、シートヒーター付きレザーRECAROシートやビルシュタイン製ショックアブソーバー+アイバッハ製スプリング、ブレンボ製2ピースタイプフロントブレーキなどを加えたプレミアムグレード。
●ファイナルエディション:前述した最終限定車。
という3グレード+1限定車。
そしてもっとも一般的なGSRには、パッケージオプションとして下記の3種も用意された。
●ハイパフォーマンスパッケージ:ビルシュタイン製ショックアブソーバーとアイバッハ製コイルスプリング、1個あたり1.3kgの軽量化となるブレンボ製2ピースタイプフロントブレーキ、剛性・グリップ性能を高めたハイパフォーマンスタイヤを採用。
●スタイリッシュエクステリア:フロントグリルとベルトラインのモールをメッキ化し、フードとフェンダーのアウトレットをボディ同色に。加えてフロントフォグランプの装着など。
●レザーコンビネーションインテリア:レザーコンビネーションシート(本革+グランリュクス)と、ソフトレザー(合成皮革)をあしらったドアトリムおよびフロアコンソールボックスリッド、アルミ製フロントスカッフプレートを採用。
■GSRをはじめ約180台が流通
2008年10月のマイナーチェンジでは新たに上級グレード、GSR-Premium(5MT/6AT)が追加された
それぞれの2021年4月半ば時点での流通量は、おおむね下記のとおりである(●=5MT、◆=6速AT)。
●RS:約10台
●GSR(5MT):約30台
●GSR(5MT)ハイパフォーマンスパッケージ:5台
●GSR(5MT)スタイリッシュエクステリア:1台
●GSR(5MT)レザーコンビネーションインテリア:0台
●GSR-Premium(5MT):1台
●ファイナルエディション(5MT):約20台
◆GSR(6速AT):約70台
◆GSR(6速AT)ハイパフォーマンスパッケージ:約15台
◆GSR(6速AT)スタイリッシュエクステリア:約10台
◆GSR(6速AT)レザーコンビネーションインテリア:約5台
◆GSR-Premium(6速AT):約10台
この流通状況から考えると、「6速AT(SST)のGSRを中心にチェックしつつ、そのほかのトランスミッションやパッケージオプションは『いい感じの個体がたまたま見つかればラッキー』ぐらいに考えておく」というのが、ランエボX中古車の現実的な探し方にはなるだろう。
ただしランエボXの6速AT、というか2ペダルMTであるTC-SSTは、扱われ方によってはしばしば故障が発生し、その発生確率は「ファイナルエディションだから大丈夫」「走行距離が少ないから大丈夫」というものでもない模様。
平成19年12月14日~平成20年5月27日に生産されたSST車はリコールが出されたが、その如何にかかわらず、ランエボXの中古車は「ちょっと割高かつ流通量少なめであっても、できれば5MT車を探す」というのが得策であるように思える。
また同様に、AYCとアクティブセンターデフに油圧を供給するAWC用油圧ユニットの不具合も報告されており、三菱自動車はその保証期間を「新車時から8年」に延長した。
しかしランエボXの場合、今となっては8年落ち以上の中古車が流通大半であるため、ここについては「まだ保証期間内であるファイナルエディションを探す」か、もしくは「AWC用油圧ユニット交換歴の有無を整備記録簿で確認したうえで購入する」という姿勢が重要となるだろう。
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みんなのコメント
ランエボ7のRSをサーキットで走らせて20年以上乗ってるけど、頑丈で壊れにくくて非常に良い車。
さすがにボロくなってきたからもう一台買おうと思ったら、中古の値段が高すぎてヤバい。新車買った時と変わららない…。