ちょっとしたことが原因で車両火災は起こってしまう
バッテリー上がりやパンク、キー閉じこみ、燃料切れ、事故や故障でのけん引・搬送作業など、さまざまなロードサービスを提供しているJAF(日本自動車連盟)に、車両火災を未然に防ぐために知っておくべきことについて話をうかがった。
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──まず、車両火災が起こる際の前兆のようなものはあるのでしょうか?
「異音や異臭など、車両火災の前兆と考えられるサインはあります。電気系統であればビニールが焦げたような臭いがしますし、オイル関係であれば油が焼ける臭いですね。バッテリーの場合は硫黄のような臭いがすることもあります。いつもと違うな、と感じたら要注意ですね」
──配線が原因の火災とは、どんな状況で起きるのでしょうか?
「配線が燃えるのは、どこかでショートが起きるからです。クルマのボディ全体はマイナスアースになっていますので、DIY作業などでバッテリーのプラス端子から直接配線を取った場合、その配線がボディに触れてしまうことがあります。するとビニール被膜が少しずつ削れていきます。そこがショートすると、まず被膜が熱を持って燃え始め、その周囲の可燃物にも燃え広がっていきます」
──タンクに入っているオイルが原因というのは、ちょっと想像しにくいのですが。
「よくあるのが、ご自身でオイルチェックをしたあと、オイルの付いたウエスをエンジンルームに置き忘れてしまうケースですね。排気管は非常に高温になります。可燃物を高温部の近くに置くと、その熱で燃えてしまいます。そうして周囲の可燃物にも次々と延焼していきます。最悪の場合、燃料系にまで引火する可能性もあります。ガソリンの配管はすべて金属ではなく、途中にゴムホースの部分があるので、そこに火が及ぶと大変危険です」
──ウエスの置き忘れは、やってしまいがちなうっかりミスですね。
「エンジンオイルの漏れにも注意です。エキゾーストマニホールドやマフラーは高温になりますので、そこにオイルが付着すれば発火する可能性があります。予防策は、駐車場所にオイルのシミがないか確認することです。クルマを動かしたあと、地面にシミがあればオイル漏れのサインです」
──タイヤが原因で火災になるというのも耳にしました。
「空気圧が低い状態やパンクした状態で走行すると、スタンディングウェーブ現象が起きることがあります。それによってタイヤが異常発熱し、最悪の場合バーストします。バーストしたまま走行を続け、ホイールが地面に接触すると火花が出ます。その火花がタイヤハウス内側のプラスチック部品に当たると、そこから火災につながる可能性があります。またタイヤに関してですが、4WD車オーナーには気をつけていただきたい点があります。取扱説明書にも記載されていますが、タイヤ交換時は指定サイズの物を4本すべて交換するようにしてください。
──それはなぜでしょうか?
「1本だけ外径の異なるタイヤを装着すると、回転差を埋めるため、デファレンシャルギアがつねに作動し続ける状態になります。そのため熱が発生し、フロアカーペットを溶かしたり、最悪の場合は火災につながることもあるからです」
もし出火した場合はまずは避難が最優先
──クルマの発火物といえばバッテリーが思い浮かびますが、注意すべきことはありますか?
「タバコを吸いながらエンジンルームを見る、といった行為は絶対に避けていただきたいです。バッテリーからは微量ですが水素ガスが発生しているからです。精製水を補充するタイプのバッテリーでは、液量が減ると極板が露出し、内部で火花が出やすくなります。その火花が水素ガスに引火する可能性もあります。あとはバッテリーの取り付け金具の緩みですね。プラス側のカバーが外れた状態で金具が触れるとショートする危険性があります」
──冠水したクルマも発火の危険があるそうですが、どうして濡れたクルマが燃えるのですか?
「冠水したクルマ、とくに海水をかぶった場合は注意が必要です。海水には塩分が含まれていて電気を通しやすいんですね。そのまま放置するとショートして発火することがあります。実際、東日本大震災では冠水した車両が後日、発火した事例もあったと見られています。海水に限らず、完全に水没した場合はバッテリーのマイナスターミナルを外しておくことを忘れないでください」
──もし実際に煙が出ているのに気づいたら、どういう対処が望ましいですか?
「煙が出ている、あるいは火が見えている場合は非常に危険です。ご自身で消火しようとしないほうがいいですね。ご自身で対応できるのは、シートにタバコの火を落としてしまった、といった軽微なケースまででしょう。エンジンルームから火が出ている場合、ボンネットを開けるのは危険です。まずは安全な場所へ避難することが最優先です」
──備えておくと安心なアイテムはありますか?
「1.5リットル程度のペットボトルの水を積んでおくと、例えば配線がショートしているといった初期消火の応急措置には使えます」
──車両火災が発生した場合、JAFの対応範囲は?
「火災車両の応急修理は不可能な場合がありますが、タイヤが前輪または後輪2本のみの状態であっても搬送可能な場合もあり(注:状況によります)、修理工場やディーラーへ搬送することができます。完全に焼失し、フレームのみになっている場合はJAFのサービスカーでは対応が難しくなります」
──JAFでは車両火災の防止のため、どのような活動をされていますか?
「JAFのホームページで、車両火災発生時の対応について注意喚起を行っています。また、会報誌『JAF Mate』や『JAF Mate Online』などでも情報発信を続けています。交通安全啓発活動の一環として日常点検やマイカー点検の重要性もお伝えしています。こうした取り組みが予防につながると考えています」
──誰でもできる火災予防の方法を教えてください。
「火災を含め、すべてのトラブル防止の基本は取扱説明書を読むことです。技術の進歩によってトラブルは起きにくくなっていますが、記載され た内容を守らなければ万が一のときに困ります。そして、日常点検が重要です。JAFでは『日常点検15項目』を推奨していますが、そのなかから車両火災を防ぐ4つのポイントを紹介します。参考にしてみてください」
※本記事は雑誌「CARトップ2026年4月号」の記事を再構成して掲載しています
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みんなのコメント
みんな、電気関連のDIYは気軽にできる印象があるのか、簡単にやるが繋ぎ方を見ると、かなり危険なDIYをよく目にすると。
特に、取り回し時固定していなかったり、エンジンやエキマニなど高音になる場所の近くに平気で取り回したり、火災の危険性の高いものをよく目にすると言ってました。