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1年間しか生産されなかったシボレー「コルベット C2スプリットウインドウ」が約1990万円で落札!価格が伸びなかったのはヤレが原因?

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1年間しか生産されなかったシボレー「コルベット C2スプリットウインドウ」が約1990万円で落札!価格が伸びなかったのはヤレが原因?

希少性の高いC2コルベットのスプリットウィンドウ

業界最大手のひとつ、RMサザビーズ社が毎年5~6月に欧州本社と北米本社を競合させるかたちで開催する「Shift Online」。オンライン開催ということもあり、秘匿性が保ちやすい一方、出品へのハードルを低く設定されていることが多いです。それらの理由から個性的なクルマたちが集まっています。今回は「North America(北米)」版Shift Onlineの出品ロットのなかから、アメリカ車のコレクターズカーとしては最上位の人気を誇るモデル、シボレーC2コルベット・スティングレイを紹介します。

シボレー「コルベット スティングレイ」が約5000万円で落札! 高額の理由はホモロゲートモデル「L88」だったから…博物館に展示されていた1台でした

アメリカのクラシックカーのなかでも特別な存在、名作C2コルベットとは

1962年のパリ・サロンにおいて、それまでの5年以上にわたる研究開発の成果として、まったく新しい第2世代のシボレーC2コルベットが「1963年モデル」としてデビューを果たした。

この新生C2コルベットの設計者、GMデザイン部門の長であるビル・ミッチェルと、レース経験も豊富な伝説のエンジニア、「コルベットの父」とも呼ばれるゾーラ・アーカス・ダントフによる空力設計は、実利面と美的側面の双方を当時としては完璧に体現したもの。ふたりが開発したコンセプトカー「スティングレイ・レーサー」にちなんで「コルベット スティングレイ」と命名されることになる。

従来のX型構造に代わって新しいラダー型フレームとすることで重心が低くなり、ハンドリング性能も向上。堅固なリジッドのリアアクスルは、完全独立サスペンションに取って代わられた。

ボディは従来どおり軽量なファイバーグラス製であったものの、C2コルベット スティングレイは、鋼鉄製の上部構造を与えることで初代C1コルベットに比べ2倍近くの剛性をアップ。また徹底的な風洞試験の結果、C1時代とは大幅に異なるデザインが採用され、C5までのコルベットで定番となったリトラクタブル式ヘッドライトが導入された。

もっとも希少なアメリカンコレクターズカーの1台

コルベット史上初の試みとして、従来のコンバーチブルに加え、スタイリッシュなクーペボディの選択肢が顧客に提供されたのも、重要なトピックといえよう。この新クーペの流線型ファストバックは、ルーフの全長にわたり隆起した「脊椎」がリアエンドまで走り、リアウインドウを二分してカウルの上部で終了するという、極めて印象的なデザインとされた。

当時の顧客は「スプリットウインドウ」を熱望し、ときには納車まで数カ月待たされることもあったという。ところが、ほどなく後方視界を妨げると指摘する苦情が相次いだことから、一部のディーラーは後部窓の「脊椎」を撤去し、2枚のガラスパネルを1枚モノのポリカーボネート板への交換を提案するようになっていた。そして、その問題を重く見たシボレーは1964年モデルのデザインを改訂し、ワンピース式のカーブドリアウインドウを採用することにした。

このため、1963年型のコルベット スティングレイ クーペは、その象徴的な「スプリットウインドウ」と呼ばれる1年限定の驚異的なデザインと、アメリカンパワーの組み合わせで知られる。もっとも希少なアメリカンコレクターズカーのひとつとなったのだ。

ネットオークションでは、カタログ写真も重要?

今回のRMサザビーズ「Shift Online:North America 2025」オークションに出品された「スプリットウインドウ」C2クーペは、トリムタグに記載されているとおり、現在見られるとおりの美しい「タキシードブラック」。そのボディに、同じくブラックのビニールレザー内装という、工場出荷時と同じ状態で仕上げられている。

300psの327立方インチ(約5.4L)スモールブロック「ターボファイア V8」エンジンは、エンジンブロックの打刻にシークエンス表示されているシリアル番号により、ナンバーマッチングであることが確認されている。また、エンジン番号末尾の「SD」は自動変速機を指定しており、このコルベットには現在でも純正の2速ATが残されている。

今回のオークション出品者は、2017年にこのスティングレイ クーペを購入し、ブレーキの調整やエンジン周りの配線ハーネス交換など、いくつかの些末なトラブル箇所をすぐに修理した。その修理の請求書はファイルに保管されている。

また、2018年にはウインカースイッチとワイパーモーター、ヒーターシステムが修復され、2019年にはキャブレターとオルタネーターもリビルド。これらの作業の請求書と、修復または交換された部品の写真も、添付されるドキュメントファイルで確認可能という。

比較的リーズナブルな価格でオンライン競売は締め切りに

なお、現在の所有者のもとでは500マイル(約800km)未満しか走行しておらず、カタログ作成時に6万1461マイル(約9万8900km)を表示していたこのコルベットについて、RMサザビーズ北米本社は自社の公式カタログ内で

「出品者のコレクション内で良好な状態で保存されており、次なる幸運な所有者に楽しんでいただける状態です」

と謳ういっぽうで、現オーナーは14万ドル~16万ドル(邦貨換算約2015万円~2305万円)という、このモデルの市場価値を良く調べ上げたエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

そして、この5月28日から6月4日までの1週間を入札受付期間としたオンライン競売では、ビッド(入札)がエスティメート下限には一歩届かなかったものの、それでもオーナー側とRMサザビーズ北米本社側で定めたリザーヴ(最低落札価格)には到達したようで、終わってみれば13万7500ドル、現在のレートで日本円に換算すれば約1990万円という、ここ数年の国際マーケットにおける「スプリットウインドウ」としては、比較的リーズナブルな価格でオンライン競売は締め切りとなった。

2010年代中盤以降の国際市場、とくにアメリカでは20万ドル前後での売買実績が多く見られる「スプリットウインドウ」にあって、低めに終わった今回のハンマープライスは、写真から見受けられるヤレ感(とくにインテリア)が影響しているかにも感じられる。

オークション会場で現物を検分する間もなく、カタログ写真だけで入札せざるを得ないオンラインオークションの弱点ともいえそうな特質が、この出品ロットにも表れたのではないか……? と思われたのである。

文:Auto Messe Web 武田公実(TAKEDA Hiromi)

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