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なぜスバルは高性能ワゴンにこだわるのか?──新型レヴォーグSTIスポーツR試乗記

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なぜスバルは高性能ワゴンにこだわるのか?──新型レヴォーグSTIスポーツR試乗記

スバルのステーションワゴン「レヴォーグ」に追加された、2.4リッター直噴ターボ“DIT”エンジン搭載グレード「STIスポーツR」に小川フミオが試乗した!

大幅なパワーアップ

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スバルが、2021年11月にレヴォーグに追加設定したのがSTIスポーツRだ。速いステーションワゴンに、クルマ好きは惹かれるもので、このクルマに乗ると、その理由もわかる。スポーツカーなみに胸のすく走りが楽しめるモデルだったのだ。

いまのレヴォーグは2020年10月に発売された、スバルによると、「先進安全」「スポーティ」「ワゴン価値」の3つの価値を革新的に進化させたパフォーマンスワゴン、というのがコンセプト。じっさいに、1台でなんでも出来ちゃうような多機能性で人気を博してきた。

全長4755mmのワゴンボディは、ルーフの前後長がたっぷりとられていて、伸びやか。サイドウィンドウのグラフィクスも、後方で下のラインがキックアップしていて、“エレガンス”と“ダイナミズム”をうまく両立させている。

試乗した「STIスポーツR EX」はオプション設定の「イグニッションレッド」なるあざやかな赤色の外板色がうつくしかった。赤はめずらしい色であるが、このクルマの躍動感と、運転したときの気持ちの高まりを表現するのによく合っていると私には感じられた。自分でも選びそうだ。

STIスポーツRには、電動開閉式リアゲートや、「ドライバー異常時対応システム」機能が追加設定された「アイサイトX」などが採用されている。

同時に、パワーユニットがすごい。これが最大の眼目である。「R」がついたこのモデルのエンジンは、2387cc水平対向4気筒ガソリンターボ。592ccも排気量がアップし、最高出力は130kW(177ps)から202kW(275ps)に、最大トルクは300Nmから375Nmへと大幅に上がっている。いっぽう燃費はリッターあたり11km(WLTC)。パワーと燃費のバランスを目指してこの排気量に落ち着いたと、以前開発者が教えてくれた。

さらにつっこんで専門的なことを書くと、従来のエンジンで採用されてきたターボチャージャーにも手が入った。電子制御エアバイパスバルブ、電子制御ウェイストゲートバルブ採用で、作動の応答性が引き上げられている。

変速機もあたらしい。ひとことで特徴をいうと、エンジンをさらに楽しませてくれるようになった。基本的な構造は従来のリニアトロニックなる無段変速機であるものの「スバルパフォーマンストランスミッション」なる名称の専用の変速機は、うんと反応が鋭くなっている。

“キャラ変”で自分好みに

STIスポーツRは、こんなふうに、どんどんメカニズムの解説がしたくなってしまう。ドライビングすると、多面性が楽しめるようになったのが印象的だ。

ドライブモードセレクターで、「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」さらにその上に「スポーツプラス」がえらべる。エンジン出力のカーブや、ステアリング・ホイールの操舵力などが変わるのだ。

開発者が、試乗会の席で“キャラ変”なる言葉を好んで使っていたとおり、4つのモードでクルマのキャラクターは目立って変わる。しかもSTIスポーツRには電子制御ダンパーが組み込まれているので、足の動きも、快適志向からスポーティ志向まで、明確に変化するのだ。

スポーツプラスのモードは、たとえ首都高でもやりすぎ感がある。アクセルペダルの遊びはほとんどなくなり、加速しようかな? と、思った瞬間にクルマが猛ダッシュしているといえるほどの、応答性のはやさに驚かされるほど。

いっぽう、コンフォートモードは、全体の反応がゆるやかになり、これも悪くないけれど、エッジが効いたかんじのスタイリングにはちょっと合わない印象もある。

私は、5つめのドライブモードともいえる「インディビデュアル」で、「パワーユニット」は自分がもとめる加速感と合うおだやかな傾向の「I(インテリジェントモード)」、「ステアリング」はしっかりした操舵感の「スポーツ」、「サスペンション」はストローク感のある「ノーマル」を組み合わせるのが好みだった。思うままに加速して、かつ、適度にゆったりと。STIスポーツR、いいクルマだなぁと感心できるモードである。

ちなみに、ドライブモードで「スポーツプラス」を選ぶと、「パワーユニット」は「スポーツプラス」、「ステアリング」は「スポーツ」、「サスペンション」も「スポーツ」となる。「AWD」も後輪へのトルク配分が迅速に行われニュートラルなコーナリング特性が得られる「スポーツ」、クルーズコントロールの加速特性を決める「アイサイト」はもっとも強い加速度が体験できる「ダイナミック」に。広範囲にキャラクターが変わるのだ。

今回の2.4リッターエンジンは、新しい「WRX S4」にも搭載されている。かたやショートデッキの軽快な印象すらもつセダン、こちらはスポーツワゴン。揃い踏みである。どちらも剛性感が高く、性能を堪能できる。個人的にはバランスのいいプロポーションに、嵩のあるものも積める機能性を持つレヴォーグがより好みである。

なぜ、スバルは高性能ワゴンにこだわるのか? 編集部のイナガキ氏が興味深い私見を述べた。

高性能ワゴンというと、以前は日産「ステージア」や三菱「レグナム」などに設定されていたけれども、気づけばどれもなくなってしまった。レヴォーグも、標準車でさえ結構パワフルなのだから、はたしてこれほどの大パワーモデルが必要かどうかはわからない。

けれども、“スバリスト”はこういった高性能モデルを求める人が多いのだろう。かつての「インプレッサ・スポーツワゴン」や「レガシィ」に設定されていて、多くの人がこぞって購入した。こうしたファンを大切にするから、“さりげなく”2.4リッターのガソリンターボ・モデルを追加したのかもしれない。これかBEV(バッテリー式電気自動車)の「ソルテラ」などによって電動化を推し進めていくというのに……素敵な決断ではないか!

「レヴォーグSTIスポーツR」の価格は、438万9000円。今回乗った「アイサイトX」搭載の「STIスポーツR EX」は477万4000円だ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

6件
  • 結局レガシィと同じ道を辿るレヴォーグ
  • ワゴンというか、スポーツワゴンというか、ロングルーフのハッチバックというか………
    何にでも対応できそうなボディとエンジン。
    ………良いなぁ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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