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対話型AI搭載の最新「OS」採用 メルセデス・ベンツ「新型CLA」開発エンジニアに聞いた裏側

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対話型AI搭載の最新「OS」採用 メルセデス・ベンツ「新型CLA」開発エンジニアに聞いた裏側

■クラッシュテストは約150回! 新型「CLA」が“壊す場所”と“絶対に守る場所”とは?

 新世代プラットフォームの「MMA(メルセデス・ベンツ モジュラー アーキテクチャ)」を採用し、7年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたメルセデス・ベンツの新型「CLA/CLAシューティングブレーク」は、新開発のガソリンエンジン+マイルドハイブリッド搭載モデルに加え、同社が「with EQ Technology」と呼ぶBEV(バッテリーEV:電気自動車)モデルも導入されます。
 
 そんな新型CLAは、“目に見えない部分”も大きく進化しています。今回は「安全性」「効率化」「メルセデスの頭脳」の3つの観点について、それぞれの開発エンジニアから詳しく話を聞きました。

【画像】これが7年ぶり全面刷新のメルセデス・ベンツ「新型CLA」です!(70枚)

 まずは、メルセデス・ベンツのエンジニアによる技術ワークショップをもとに、新型CLAの「安全性」に注目してみます。

 新型CLAの開発において、メルセデス・ベンツが並々ならぬこだわりを見せているのが「安全性」です。

 同社には独自の事故調査部門があり、15年以上にわたって世界各地で“実際に起きた事故”のデータを収集。欧州だけでなく、中国やインド、米国などにも専門スタッフを配置し、それぞれ異なる交通環境で起きる事故の実態を開発部門へフィードバックしています。

 つまり、所定の安全基準をクリアするだけでなく、「現実世界では実際にどんな事故が起きているのか」まで見ているわけです。

 新型CLAのBEVモデルでは、高電圧バッテリーが車体構造の一部として組み込まれています。そのため、衝突時には乗員だけでなく、大きなエネルギーを蓄えているバッテリーを確実に守ることも重要になります。

 そこでフロントやリアには、あえて変形することで衝突エネルギーを吸収するクラッシャブルゾーンを設ける一方、乗員やバッテリーを守る部分には高強度の構造を採用。いわば、「衝撃を吸収・分散するために壊す部分は壊し、絶対に守りたい場所は意地でも守る」という考え方です。

 とはいえ、それを理屈通りに実現するのは簡単ではありません。開発段階では約150回ものクラッシュテストを実施するほか、車両全体やフロントレール、ルーフなどに対し、約1万5000回ものシミュレーションを繰り返したといいます。

 150回&1万5000回という数字だけでもお腹いっぱいですが、安全への執念を感じる数字は、まだあります。新型CLAには計11個のエアバッグが搭載され、その総容量は約306リットル。開発段階では約2000回のエアバッグ展開試験に加え、シートベルトについても約200回の作動試験を行っています。

 しかも事故が起きたからといって、11個すべてのエアバッグを一斉に「ドカーン!」と膨らませるわけではありません。

 車両に搭載したセンサーから得た情報を中央のエアバッグ制御システムが解析し、その事故で“本当に必要なエアバッグだけ”を展開します。すべてのエアバッグを使い切らないことで、その後に二次衝突が発生した場合に備える意味もあります。

 さらに衝突を検知すると、高電圧システムも即座に遮断。乗員だけでなく、救助活動を行う人への安全にも配慮されています。

 派手な装備ではありませんが、こうした“もしも”への備えにこそ、メルセデスらしさが色濃く表れているのかもしれません。

■BEV(電気自動車)なのに「2速トランスミッション」のナゾ!

 続いては新型CLAのなかでも、BEVモデルを下支えする「効率化」の裏側に迫ります。

 新型CLA BEVモデルでは、効率化を極限まで追求したドライブトレインが注目されます。

 BEVモデルには800Vの電気アーキテクチャを採用し、メインの電気駆動ユニット「EDU 2.0」には、永久磁石同期モーターと2速トランスミッションを組み合わせています。

「EVって、変速機がいらないんじゃなかったっけ?」

 そんな疑問を持つ人もいるでしょう。確かに多くのEVは固定された減速ギアを使っていますが、新型CLAが2速化した狙いのひとつは、モーターの“おいしいところ”を幅広く使うことです。

 内燃機関と同じく、電気モーターにも、回転数によって効率の良い領域とそうでない領域があります。そこで新型CLAでは1速と2速を使い分けることで、市街地から高速道路まで、できるだけモーターを高効率な領域で働かせます。

 もちろん走行性能にも恩恵があり、1速で最大トルクを発揮して力強い走り出しや加速を実現します。

 そしてスピードが乗ってきたら2速が主役となり、高速域で効率よく性能を引き出します。

 もちろん変速操作はクルマ側が自動で行うため、ドライバーが「さて、そろそろ2速かな」などと考える必要はありません。

 さらに800V化によって高電圧系の配線を細くできるため、軽量化にも貢献しています。

■EVライフを快適にする「たった8km」の積み重ね

 新型CLA BEVモデルの効率へのこだわりを強く感じられたのは、航続距離についてのプレゼンテーションです。

 開発陣によれば、航続距離を約8km伸ばすためには、たとえばパワートレインの効率を0.5%向上させる、Cd値を0.006改善する、転がり抵抗を低減するといった選択肢があるといいます。

 そして驚くことに、約8kmを“重量”で稼ごうとすると、約50kgもの軽量化が必要になるのです。

「そこまで頑張って、8km……!?」と思ってしまいますが、その“たった8km”の積み重ねこそが、BEV開発の肝なのでしょう。

 空気抵抗についてはCd値0.21を実現するため、ボディ形状だけではなく、サイドミラーや格納式ドアハンドル、ホイール、床下のカバー、ラジエーターシャッターに至るまで細かく最適化しています。

 さらには減速時のエネルギー回収、空調システム、タイヤの転がり抵抗などにも手を入れています。

 つまり最大771kmという新型CLA BEVモデルの航続距離は、大容量バッテリーによる“力技”だけではなく、「1Whたりとも無駄にしたくない!」という“チリツモ”の結晶でもあるのです。

■搭載する“頭脳”「MB.OS」は、購入後も随時アップデート

 そして最後は、“メルセデスの頭脳”ともいえる「MB.OS」に注目してみます。

 新型CLAの“頭脳”を担うのは、新たに導入された「MB.OS(メルセデス・ベンツ オペレーティングシステム)」です。

 従来のクルマは、エンジンやシャシーといったハードウェアが主役で、ソフトウェアはそれらを制御する補助的な存在というイメージが強いものでした。ところが新型CLAでは、その関係性が大きく変わっています。

 メルセデス・ベンツは、新世代のソフトウェア基盤を自社で構築し、インフォテインメント、運転支援、ボディ&快適装備、車両制御などを統合。ハードウェアとソフトウェアを切り離すことで、購入後も機能をアップデートしやすい仕組みとしています。

 中枢には複数の高性能コンピュータを配置し、インフォテインメント系にはQualcomm(クアルコム)、自動運転・運転支援系にはNVIDIA(エヌビディア)の高性能チップを採用。OTA(Over The Air)によって、車両のライフサイクルを通じて機能をアップデートできるのも大きな特徴です。

 つまり新型CLAは、「買った瞬間が完成形ではないクルマ」ということです。

■「ジャガイモとタマネギしかないんだけど……」とクルマに聞いたらどうなる!?

 個人的に筆者(のぐちまさひろ)が“未来っぽさ”を強く感じたのは、「MBUXバーチャルアシスタント」です。

 こちらはマルチエージェント型のAIを利用し、ドライバーからの質問内容に応じて、適切なAIへ処理を振り分けます。

 たとえば「家にジャガイモとタマネギしかないんだけど、何作ればいい?」と聞けば料理を提案し、さらに「足りない材料はどこで買える?」と尋ねれば、ルート上にある店舗の案内へと会話をつなげることもできます。

 もはやカーナビというより、気の利くパートナーとドライブしているような感覚。古くからのクルマ好きなら、1980年代の名作カーアクション「ナイトライダー」に登場する人工知能を搭載したクルマ「ナイト2000」がついに現実になった…! と、ある種の感慨を覚えるかもしれません。

 もっとも、背後に動作するAIをつかさどるGemini(Google)やChatGPT(OpenAI)、Microsoftなど複数の外部企業の技術を活用するとなると、個人データがどのように扱われるのか気になる人もいるでしょう。

 その点について開発担当のエンジニアは、「データはメルセデス・ベンツ側で管理(自社内で完結)し、Googleなどと個人データを共有する仕組みではない」と説明しています。

※ ※ ※

 新型CLAの技術ワークショップを通じて、目に見えない「安全性」と「効率化」、そして「MB.OS」について見てきました。

 こうして3つの技術を掘り下げてみると、新型CLAは単なるエントリーモデルではなく、これからのメルセデス・ベンツがどこへ向かうのか、その未来をひと足先に見せてくれる1台といえるでしょう。

 なかでも2026年7月29日に発表され、同9月より導入開始予定のBEVモデル、CLA with EQ Technology/CLA Shooting Brake with EQ Technologyの仕上がりには、大いに期待が高まるところです。(のぐち まさひろ)

文:くるまのニュース のぐち まさひろ
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みんなのコメント

1件
  • ポルポル
    千葉の様に水害の時、BEVは対策されているのでしょうか?感電等大変心配です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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