2013年末に3代目エクストレイル、3代目ハリアーがデビューして、ミドルサイズSUVカテゴリーが充実、熱いバトルを繰り広げている。そこで4代目フォレスター、初代CX-5も交えて、がっぶり四つ巴のSUV徹底比較を行った!(本稿は「ベストカー」2014年3月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部:撮影/茂呂幸正
いまだ中古車が大人気!! 3代目エクストレイル&ハリアー 4代目フォレスター初代CX-5 充実のミドルサイズSUV直接対決プレイバック【ベストカーアーカイブス2014】
【画像ギャラリー】3代目エクストレイル&ハリアー vs 4代目フォレスター vs 初代CX-5 充実のミドルサイズSUV直接対決プレイバック(17枚)
■市場傾向から見たSUVの売れゆき
日産エクストレイルが3代目へとモデルチェンジ! ライバルたちと徹底比較!!
ここ数年の市場傾向を分析すると、SUVの売れゆきは「基本横ばい」なのだという。しかし、2012年後半にはスバル フォレスター、三菱 アウトランダーがモデルチェンジし、マツダCX-5がデビューするなど、ミドルサイズSUVの魅力的なニューモデルが相次いで登場。
さらにひとクラス下のカテゴリーでは昨年(2013年)末にホンダヴェゼルが登場したり、ちょっと古くなったとはいえ日産ジュークが安定した人気を誇るなど、「感覚的」にはSUVマーケットが活況な印象。
そんなタイミングで昨年(2013年)10月には日産エクストレイルが3代目へとモデルチェンジを発表し、11月には、10年間継続生産された2代目が一時販売休止されていたトヨタハリアーが新型に進化して復活するなど、ガチンコでライバル関係となるミドルサイズSUVが出揃った。
というわけで、じっくりとミドルサイズSUVの最新ライバル関係を比較してみたい。
■スタイリッシュに変身した3代目エクストレイルはどんなクルマ!?
スタイリッシュなフォルムに変身した3代目エクストレイル。2代目よりも全体的にひと回り大きくなった
昨年12月に特設オフロードコースでの試乗レポートはお届けしたものの、一般公道での試乗のチャンスがなかなかなかった新型エクストレイルだが、やっと試乗がかない、インプレッションをお届けすることができる。
まずは概要。初代→2代目とスクエアなボディフォルムで存在感をアピールしたエクストレイルだが、今回の3代目ではガラリとイメチェンを図り、グンとスタイリッシュな印象となった。
ボディサイズは全長4640mm、全幅1820mm、全高1715mmで全長はプラス5mm、全幅はプラス30mm、全高はプラス15mmそれぞれ2代目に対し大きくなっている。2代目のほうが背が高いように思えるが、実は新型が高いのはちょっと意外。
全体に大きくなっていることと、曲線を使ったフォルムの印象により、さほど背を高く感じさせないのだ。CX-5、ハリアー、フォレスターなどと比較しても全高は最も高く、ホイールベースも最長。
全長、全幅はハリアーがちょっとだけ大きいのだが、実際に運転した時のサイズ感は各車ほぼ同じと考えていい。
フルタイム4WDを採用するスバルフォレスターは本格派SUVの雰囲気
エンジンは147ps/21.1kgmを発揮する直4の2Lガソリンエンジンのみ。2代目ではクリーンディーゼルをいち早く搭載したエクストレイルだが、新型にディーゼルの設定はなく、2代目を継続販売中。
クリーンディーゼルがアピールポイントとなっているCX-5、ハイブリッドも搭載するハリアー、2L直噴ターボを用意するフォレスターと比べると、パワートレーンのアピールはやや乏しいといわざるを得ない。
もちろん、2L NAエンジンは普通に一般道を走らせて何の不満もなく、実用上文句はいっさいないのだが、それでもディーゼルターボの圧倒的なトルクや、ハイブリッドがもたらす独特のドライブフィールと燃費、直噴ターボのパワフルな走りと比べると、「選択肢がない」のは残念。
エクストレイルには『1年後にハイブリッドが追加される』とアナウンスされているが、ハイブリッドの登場を心待ちにするユーザー予備軍も多かろう。
■SUVとしての実力は!?
トヨタ ハリアーにはハイブリッドも用意されている。後輪をモーターで駆動する電動4WDとなる
新型エクストレイルの4WDメカは基本的に2代目から継承したオールモード4×4i。いわゆるスタンバイ4WDだが、電子制御タイプで、オートモードの他にFF固定モード、4WD固定モードを備え、雪道などでも力強いトラクションを発揮してくれる。
このあたり、細かい制御の違いはあれど、基本的なメカニズムの考え方はCX-5もハリアー(ハリアーハイブリッドは後輪をモーターで駆動する4WDを採用)も同じ。
マツダ CX-5
通常はFF状態で走行、アクセル開度や舵角、ヨーレートなどをセンシングし、必要に応じて後輪にトルク配分をする。通常の雪道であれば、充分なトラクションと走破性を実感できる。
最低地上高は205mmあり、昨年12月のオフロード試乗会でも高い悪路走破性を実体験することができた。
とはいえ4WD性能で一歩以上抜きんでるのはフォレスター。CVT車はアクティブトルクスプリット4WDを採用するが、常に後輪にもトルク配分されているため、やはりトラクション、エンジンブレーキ時ともに路面をとらえる力強さがある。
また、MT車はセンターデフ方式フルタイム4WDなので、こちらは圧倒的なトラクションとスタビリティを得ることができ、本格派SUVの4WD性能。「もう一歩踏み込んだ」悪路走破性を求めるのなら、フォレスターが安心感がある。
4WD性能ではフォレスターがリードするフルタイム4WDを基本とするフォレスターの4WD性能はライバルを一歩も二歩もリードする
■エクストレイルだけの魅力は3列シートの7人乗り
このクラス唯一の3列シート
新型エクストレイルには3列シート、7人乗り仕様が設定されるのがポイント。実際にサードシートに座ってみたけれど、あくまでもエマージェンシー。身長176cmの編集部梅木が座ってみたが、「何とかギリギリ座れないことはないけれど、長距離はキツイな」というのが正直な感想。
3列シート車では2列目シートがスライドするので、1段前に出して何とか足が収まるスペース。ただ、意外だったのは、ヘッドクリアランスはしっかりと確保されていて、普通に座って頭が天井に当たることはなかった。
3列使用状態で2列目シートに座ってみたが、若干膝頭が前席に接触する程度で、充分に2列目のスペースは確保されている。このクラスのSUVに3列シート車はないので、これはエクストレイルの大きなアピールポイント。ちなみに、3列シートモデルは受注全体の約30%だという。
■普通に乗っての評価は!?
基本的にはフラットライドで快適な印象。SUVというと、最低地上高が高く、サスペンションストロークが大きく、タイヤが大きく重いこともあり、どうしてもバタバタした印象を持つ人もいるだろうが、特にそのようなネガはなく、普通の4ドアサルーンに乗っているかのような印象。
フォレスターは『バタバタ』はしないものの、やはりSUVライクな乗り味だし、CX-5はやや硬い乗り心地。乗り心地についてはハリアーとエクストレイルが一歩リードする。
■快適で上質なインテリアはどのクルマ!?
エクストレイル。最新のSUVはどれも洗練された都会的なインテリアデザインが特徴的。そんな中でも、エクストレイルは初代からの伝統となった撥水シート、防水パネルなどを使った室内を用意する。ハリアーは上級サルーンのような室内
CX-5
ハリアー
フォレスター
現代のSUVは「スタイリッシュで都会的な」クルマで、一昔前のようなSUV=アウトドア=無骨という印象はない。各車の室内をみてもそれは明らかで、いずれも機能的かつスタイリッシュにデザインされていることがわかる。特に豪華な印象をアピールするのはハリアー。木目調パネルやオプションの本革シートなどを用意し、ワンランク上級のイメージだ。
エクストレイルは新型にモデルチェンジしても従来からの撥水シート、防水パネルを使った荷室などは継承。グローバルでは上級SUVのポジションを担うエクストレイルだが、国内仕様では「タフで使い勝手のいい」従来からのエクストレイルを受け継ぎつつ、上級のエッセンスも盛り込んだ室内。
CX-5は昨年11月の一部改良時にシフトレバー周囲のデザインが変更され、全体的に上質な仕立てとなった印象だ。
■かくして結論! ミドルサイズSUVは魅力いっぱい!
最新SUVライバル4車種スペック比較&採点チェック ※採点チェックは10点満点で採点
新型エクストレイルはエマージェンシーブレーキ装着グレードが設定されるなど、先進安全装備も満載され、スバルのアイサイトやマツダのスマートシティブレーキサポートなどと肩を並べる。
ハリアーのプリクラッシュセーフティは完全停止までをサポートしておらず、一歩遅れている印象。さて、アナタはどれを選びますか!?
フロントオーバーライダーやアンダーカバーなどでよりタフなエクステリアを纏った「エクストリーマーX」も用意される。価格は264万9150円からとなる
■新型エクストレイルここがポイント!
エクストレイルはディーゼルを廃止して2Lガソリンのみの設定。白いボディはCX-5のディーゼルだ
・ミドルクラスSUV唯一の3列シート7人乗りを設定
・ハイブリッドは1年後に追加予定
・エマージェンシーブレーキを含めたセーフティパッケージを採用
・世界初のアクティブライドコントロール
■4WDメカニズム 各社の違いはどうなっている!?
2LNAと2.5Lハイブリッドをラインアップするハリアー。ハイブリッドの4WDは後輪をモーターで駆動する
本文でも触れているように、フォレスター以外の3車の4WDはいずれも「電子制御スタンバイ方式」となる。
スタンバイ式とはいえ、例えばコンパクトカーや軽自動車の「生活4WD」に分類されるビスカスカップリング(に代表される粘性継ぎ手)による受動的な4WDではなく、車速や舵角、さらにはヨーレートなどをセンシングし、アクティブに前後トルク配分をコントロールする4WDを採用。ただし、定速走行時や減速時は後輪へのトルク配分はいっさいないので、エンジンブレーキは前輪にしか効かない。その点、フォレスターは減速時にも前輪へトルクが伝わっていて、4WDとしては一歩リードする性能。
4WDのメカニズムと性能比較
【番外コラム】エクストレイルハイブリッド追加は今年の秋まで待て!
受注は1万6500台(1/20現在)
昨年12月16日より販売を開始した新型エクストレイル。本文でも触れているように、現状、ラインアップされるのは直4、2Lガソリンエンジンのみだが、今秋をメドにハイブリッドモデルが追加されることが明言されている。
ハイブリッドシステムは、直列4気筒2Lエンジンにエンジンとトランスミッション間に2つクラッチを介してモーターが組み合わされるタイプで、これはすでに北米向けアルティマに搭載されるシステムを改良する。
FF用横置きシステムとなるが、基本的なハイブリッドメカニズムの構成はフーガやスカイラインに搭載されるFR用3.5L、V6ハイブリッドと同様。エンジンとモーター間のクラッチを断続することで、モーターのみのEV走行も可能となるシステムだ。
北米仕様のアルティマ(=ティアナ)にはすでに2L、2クラッチ1モーターのハイブリッドがある。エクストレイルハイブリッドも、基本メカは同じ
ところで新型エクストレイルの販売状況だが、発売開始から約1ヶ月後の1月20日現在の受注台数は約1万6500台で月販目標の2500台を6.6倍上回るペース。
30歳代以下のユーザーが40%程度と最大比率で、以下40歳代が約24%、50歳代が約20%となる。4WDモデルが約85%を占め、3列シート車は約30%とのこと。意外と3列シート車が売れていると思いました。
新型エクストレイルの販売状況(1月20日現在)
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)
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