現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ガチライバルのようでキャラは真逆! 意外と知らない「エスハチ」と「ヨタハチ」のハナシ

ここから本文です

ガチライバルのようでキャラは真逆! 意外と知らない「エスハチ」と「ヨタハチ」のハナシ

掲載 更新 7
ガチライバルのようでキャラは真逆! 意外と知らない「エスハチ」と「ヨタハチ」のハナシ

手軽なスポーツカーが 時同じくしてふたつ到来

 1960年代といえば、日本のモータリゼーションが飛躍的に進歩した10年間で、1960年には車種も少なく実用車一辺倒だった自動車事情は、10年後の1969年には高級車あり、大衆車あり、スポーツカーありと様相を一変させていた。

いま見ても圧倒的な存在感! 60年代の国産スポーツモデルの名車っぷりが凄い

 なかでも、モータリゼーションの成熟化を感じさせたのはスポーツカーの台頭だった。スポーツカーは趣味のクルマであるだけに、生活環境にゆとりがなければ手を出せないカテゴリーである。このスポーツカーが、1960年代中盤から商品化されるようになってきた。

好対照のモデル ホンダSシリーズとトヨタ スポーツ800

 先鞭をつけたのは日産のフェアレディだったが、もっと手軽に乗れる小排気量のモデルとして、ホンダのSシリーズとトヨタスポーツ800が、ほぼ同時に立ち上がっていた。正確に言えば、動きだしはホンダのほうが若干早かった。 ホンダのスポーツカープロジェクトは、1962年の全日本自動車ショー(現・東京モーターショー)に、2シータースポーツカーのS360とS500を参考出品した時点で始まっていた。

  翌1963年、このうちS500だけが市販化され、1年後にはS600に発展、さらに1966年にはS800となってスポーツカーユーザーのニーズに応えていた。一方のトヨタスポーツ800は、1962年に開発が始まり、1965年(~1969年)から発売が始まっていた。 ここでは、ホンダは最終型のS800(1966~1970年)がテーマとなるが、この両車、同じ800ccのスポーツカーながら、徹頭徹尾、好対照のモデルとして存在した。両車の関係をひと口で言えば、ホンダは重厚長大、トヨタは軽快合理的、という表現が当てはまるだろう。

 まず、車体構造だが、ホンダは鋼板溶接の専用シャシーにボディを架装、トヨタは軽量なモノコックボディと正反対のアプローチ。

 デザインは、ホンダが伝統的な2シータースポーツカーのフォルムを踏襲したことに対し、トヨタは先進的な角のない流線形のフォルムを採用。

 車体、デザインで好対照の違いを見せた両車は、エンジンでもまったく同じ傾向を見せていた。水冷/直列4気筒/DOHCで70psのホンダS800に対し、トヨタスポーツ800は空冷/水平対向2気筒/OHVで45psの仕様。性能を最優先し複雑で高度なメカニズムを採用したホンダに対し、トヨタはパブリカのパワーユニット流用という前提条件もあったが、軽量コンパクトで高効率なエンジンが目指されていた。

クルマの構成スペックは対照的だが 動力性能は似通っていた不思議

 しかし、おもしろいのは、この両極端にある車体とエンジンの組み合わせが生み出す動力性能が、きわめて似通っていた(同レベルにあった)ことだ。最高速度はホンダS800が160km/h、トヨタスポーツ800が155km/hだったのである。 表現を変えれば、750kgの重い車体を70psの高出力エンジンで引っ張るホンダS800と、580kgの軽い車体を平凡な45psエンジンで走らせたトヨタスポーツ800の動力性能が近似していた、ということである。

 販売台数は、1万1000台強を販売したホンダS800に対しトヨタスポーツ800は3000台強と、売れ方は圧倒的にホンダが勝っていた。スポーツカーユーザーにとっては、メカニズムやパフォーマンに優れるホンダS800は魅力的と映っていた。一方のトヨタスポーツ800は、軽量コンパクト性が基本となる航空機設計の思想が如実に反映する車両だったが、この合理的な思想は、上昇志向がきわめて強かった1960年代、なかなか理解されにくかったと受け取ってよいだろう。

対決の場は市場がメインだが サーキットにもそれぞれ足跡を

 なお、この両車はサーキットレースでも使われたが、実は、真っ向から対決する機会はあまりなかった。ともに1300cc以下のGTカーとして、GT1クラスに区分される車両だったが、トヨタスポーツ800は、主にプライベーターよりトヨタのセミワークスチームが耐久レースで使った車両で、活動期間は1967年の前半期ぐらいまでだった。1967年の富士24時間レースでトヨタ2000GTと1~3フィニッシュ演じた場面(3台並んでのゴール写真は7位の蟹江光正/高橋利昭組。3位のトヨタスポーツ800ではない)は余りに有名だ。

 一方のホンダS800は、1966年からレースに投入されたが、プライベーターによるスプリントレース(クラブマンレース)への参戦が主体で、後にマツダワークスのロータリーを操りスカイラインGT-Rとやりあった武智俊憲も1968年にホンダS800で全日本ドライバー選手権のGT-1部門のタイトルを獲得している。

 また、パワフルなDOHCエンジンと独立したシャシーは、カスタムレーシングカー作りに最適で、マクランサ(林みのる設計)やコニリオを生み出す原動力にもなっていた。 日本を代表するライトウェイトスポーツとして生まれたホンダS800とトヨタスポーツ800は、いまも旧車ファンの間で絶大な人気を誇っている。

こんな記事も読まれています

悪天候でも好発進! EWCフル参戦の日本の新規チーム「チーム エトワール」がル・マンでの初テストを実施 レーシングライダー大久保光のレースレポート
悪天候でも好発進! EWCフル参戦の日本の新規チーム「チーム エトワール」がル・マンでの初テストを実施 レーシングライダー大久保光のレースレポート
バイクのニュース
トヨタ カムリ 新型、全車ハイブリッドに
トヨタ カムリ 新型、全車ハイブリッドに
レスポンス
フェルスタッペン、序盤トラブルもハミルトン下し圧勝。激しい3位争いをペレス制す|F1中国GPスプリント
フェルスタッペン、序盤トラブルもハミルトン下し圧勝。激しい3位争いをペレス制す|F1中国GPスプリント
motorsport.com 日本版
[新型ランドクルーザー250]KINTOなら納期は5~8カ月で月額5万710円から! モデリスタやJAOSパーツも装着可!! サブスクがスタート
[新型ランドクルーザー250]KINTOなら納期は5~8カ月で月額5万710円から! モデリスタやJAOSパーツも装着可!! サブスクがスタート
ベストカーWeb
マツダ 新型CX-80を欧州で発表。国内導入もあるミッドサイズSUV
マツダ 新型CX-80を欧州で発表。国内導入もあるミッドサイズSUV
Auto Prove
6年ぶり全面刷新! トヨタFF最大・最上級セダン「新型カムリ」約440万円から発売! 最新“トヨタ顔”採用の「9代目モデル」 米に投入
6年ぶり全面刷新! トヨタFF最大・最上級セダン「新型カムリ」約440万円から発売! 最新“トヨタ顔”採用の「9代目モデル」 米に投入
くるまのニュース
販売台数が少なくてもスーパースポーツでもMT車でも関係なし! 「衝突被害軽減ブレーキ」が付いていないクルマはいますぐ搭載すべき
販売台数が少なくてもスーパースポーツでもMT車でも関係なし! 「衝突被害軽減ブレーキ」が付いていないクルマはいますぐ搭載すべき
WEB CARTOP
フェルスタッペン追い上げ勝利、激しい3位争いはペレスに軍配。角田裕毅は16位|F1中国GPスプリント速報
フェルスタッペン追い上げ勝利、激しい3位争いはペレスに軍配。角田裕毅は16位|F1中国GPスプリント速報
motorsport.com 日本版
エンジン搭載はこれが最後!? ベントレー『コンチネンタルGT/GTC』PHEVモデルを初スクープ
エンジン搭載はこれが最後!? ベントレー『コンチネンタルGT/GTC』PHEVモデルを初スクープ
レスポンス
マツダ新型「3列シートSUV」世界初公開! 日本導入もある “最上級モデル”に「大本命!」と待望の声も! 新型「CX-80」欧州での発表に反響集まる
マツダ新型「3列シートSUV」世界初公開! 日本導入もある “最上級モデル”に「大本命!」と待望の声も! 新型「CX-80」欧州での発表に反響集まる
くるまのニュース
四日市→セントレアをスムーズに 東海JCTの工事進捗は 伊勢湾岸道のランプ橋
四日市→セントレアをスムーズに 東海JCTの工事進捗は 伊勢湾岸道のランプ橋
乗りものニュース
シトロエンの新デザイン採用、『C3エアクロス』新型を欧州発表
シトロエンの新デザイン採用、『C3エアクロス』新型を欧州発表
レスポンス
マツダが新しい「3列シート車」世界初公開! 直6エンジン&FRシャシーの新型「CX-80」は“全長5m級”のラージSUV!! 日本仕様もまもなく発表!?
マツダが新しい「3列シート車」世界初公開! 直6エンジン&FRシャシーの新型「CX-80」は“全長5m級”のラージSUV!! 日本仕様もまもなく発表!?
VAGUE
ホンダ新型「N-BOX SUV」今夏発売!? アウトドア風「ジョイ」待望の登場か 見た目はどうなる?
ホンダ新型「N-BOX SUV」今夏発売!? アウトドア風「ジョイ」待望の登場か 見た目はどうなる?
くるまのニュース
便利なだけじゃ嫌! ホンダ「ADV160」はカッコよさと走行性能も兼ね備えたビックスクーターの新たな選択肢
便利なだけじゃ嫌! ホンダ「ADV160」はカッコよさと走行性能も兼ね備えたビックスクーターの新たな選択肢
バイクのニュース
500万切りは夢だったか? ガソリンのGXは後出し? [新型ランドクルーザー250]の値付けを整理してみた!
500万切りは夢だったか? ガソリンのGXは後出し? [新型ランドクルーザー250]の値付けを整理してみた!
ベストカーWeb
農道のティレル! 軽トラ6輪車ホンダ「アクティ クローラ」は現在入手困難!? キャタピラを装着すればバツグンの悪路走破性に!
農道のティレル! 軽トラ6輪車ホンダ「アクティ クローラ」は現在入手困難!? キャタピラを装着すればバツグンの悪路走破性に!
Auto Messe Web
MK KASHIYAMAの「GP-588MK」ブレーキクリーナーがパッケージリニューアルで、ブランドカラー化!  
MK KASHIYAMAの「GP-588MK」ブレーキクリーナーがパッケージリニューアルで、ブランドカラー化!  
モーサイ

みんなのコメント

7件
  •  Sも好きだけど理想はやっぱりヨタハチ、大衆車コンポーネント流用で空力に優れたボディーで少ない馬力で走れるFR2シータークーペ、SFRはかなり意識してたと思うんだけどなぁ。Sは美術品だわ。
  • ヨタハチの競合はS800じゃなくてS600、というツッコミは置いといて、

    どこもかしこもスペシャルでハイパワーだけど重たいホンダ
    流用パーツばかりでパワーは無いけどとにかく軽いトヨタ
    という関係性はS2000とMR-Sで甦ってたりします。時代も人も世の中も変われど、意外と根底は変わってなかったりするのがスポーツカー文化の面白い所ですね。
    ホンダS600/800vsトヨタスポーツ800から40年弱でS2000vsMR-Sなので、同じような関係性のスポーツカーが次に生まれるのは2040年頃でしょうか?
    あまり歓迎したくはない電気自動車の時代になってるでしょうが、こういう妄想をしてみるとちょっとだけワクワクします。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村