5月11日、2025年MotoGP第6戦フランスGP MotoGPクラスの決勝レースがル・マン-ブガッティ・サーキットで行われた。雨が降ったこのレースでは母国グランプリのヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)が歴史的な優勝を飾った。
決勝レース前のウォームアップラップ中に白旗が提示され、グリッドに並ぶ全ライダーがスリックタイヤを装着したバイクからレインタイヤを履いたバイクに交換。赤旗が提示され、周回数が27ラップに26ラップに縮小。
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その後雨脚が強くなり、22人中12人が再度バイクを交換したが、ザルコはグリッドに留まったひとりだった。レース開始時は「スタートデバイスを使いたくなかったし、最初のコーナーでのブレーキング方法が分からなかったので、安全なブレーキングが良いと言い聞かせたからスタートでかなりタイムを失った」と11番グリッドから大きく出遅れる。
「最初のシケインではアウト側を狙っていた」とも語ったが、エネア・バスティアニーニ(レッドブルKTMテック3)とフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)の転倒を避けたジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)がザルコに接触してグラベルに押し出されてほぼ最後尾まで順位を下げた。
転倒は免れたが、1周目は17番手で帰ってきたザルコは「グラベルに直行したけど、その後は大丈夫だったよ。左のハンドルバーを失ってしまい、電子制御が少し使えなかったけど、走行には問題なかった。1周目は様子を見ようという状況だった」と振り返っている。
その後はスタート前にバイクをスワップしたライダーたちのダブルロングラップペナルティや濡れた路面による転倒、レース中もピットに入りバイク交換をしたライダーがいたことでザルコは2周目に14番手、4周目に13番手、6周目に9番手、7周目に5番手、そして8周目にはトップに浮上していた。
また、このレース中に最も速く走ることのできたのは3ラップ目だった。多くのライダーがその周に1分34秒台を刻んだが、ザルコは1分41秒854と遅かった。スタート時にレインタイヤのバイクに乗っていたザルコだが、この状況でもピットインせずに走り続けたことがポジションを挽回できた要因だ。
ザルコは「他のライダーがスリックタイヤで走っていたけど、雨が降るだろうと分かった。最初はトラックが少し乾いていたから、タイヤを温存しようとした。でも、雨粒が落ちてきて、他のライダーもスリックタイヤを履いていたから、何かが起こるだろうと分かっていた」と焦らずに自分のレースを進めていたのだ。
また、「ジャック・ミラーがこういうコンディションで強いことは分かっていた。ジャックがクラッシュした時、僕はレースに勝てると信じ始めた」とライバルの状況を冷静に見ていた。しかし、「マルク(・マルケス)がレインタイヤに履き替えた時は怖かったよ」と少しの焦りもあったようだ。
「最初は僕より彼が速かったけど、彼もレインタイヤの限界に達し、それ以上プッシュできなくなり、僕との差はコントロールできるほど開いていた」とレース中盤ではマルク・マルケスと10秒のギャップがあったが、マルク・マルケスでも1分47秒に入るなか、ザルコは常に1分46秒台で走り最終ラップでは20秒の差を開いて、最後は最終コーナーでスローダウンしたため19秒907秒差と縮まったが大差で優勝した。
レインタイヤからバイクを変更せずに26ラップを走り切ったのは、ザルコと中上貴晶(ホンダHRCテスト・チーム)のみ。中上も6位でレースを終えたが、ザルコの戦術とレインでの速さが際立つレースとなった。
ザルコにとってこのレースがMotoGPクラス150戦目。2023年10月の第16戦オーストラリアGP以来30戦ぶりに2度目の優勝を勝ち取った。さらに、フランス人としてフランスGPで優勝を挙げたのはピエール・モネレ以来71年ぶり2人目と、両親が見守るなかホームレースで最高のレースを届けた。
また、ホンダにはアレックス・リンスが成し遂げた2023年4月の第3戦アメリカズGP以来43戦ぶりとなる優勝をもたらし、ドゥカティが2024年4月の第4戦スペインGPから続けていた22連続優勝記録を阻止した。連勝記録はホンダも22の記録を持っているため、ホンダとドゥカティが1位タイとなる。
「とても特別な出来事で、とても誇りに思うよ。バイクの歴史が大好きだし、ビッグネームもよく知っているし、昔のレースも興味を持って観戦したことがある。そして、フランス人ライダーとしてフランスGPで優勝できて名を残せるなんて、本当にマジックのようだよ」とザルコはレース後の会見で語った。
「いつもレースに勝ったり表彰台に立ちたいと願って自分を奮い立たせ、常に成長の道を探し求めているよ。今日はレインタイヤでのレースだった。本当に素晴らしいね。今日は長くてラップが過ぎるのを待たなければならなかった。そして、勝利を手にすることができたので、とても特別な経験だよ」
「母親は一度もサーキットに来たことがなかった。17年間のキャリアで一度も来てほしいと頼んだことはなかった。家庭的な人だから。今回は『フランスGPを観に来てくれたら嬉しい。観客の盛り上がりは本当に素晴らしいから』と誘った。沢山のスポンサーがいるから、たとえピットボックスにいてもストレスやプレッシャー、騒音などで落ち着かないかもしれない。両親はどちらかというと落ち着いた人だから。ストレスを感じていたようだから、『スポンサーのVIPに行って、そこで楽しんで』と言った。週末に沢山のことを見たから、家族や友人たちに話したいことが沢山あると思う。ここに来てくれて本当に嬉しかった」
「このような形でレースを終えることができ、週末がどうなのか、レースがどうなるにせよ、観客の熱意がどうなのかを目の当たりにしてくれたことが本当に嬉しい。今日は最高の瞬間。これ以上の言葉はないよ」
[オートスポーツweb 2025年05月14日]
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感動したレースでした。