ポイント圏内でチームメイト同士が接近したレースをしているチームでは、時としてふたりのポジションを巡って、チーム内の緊張は高まるケースがある。2025年F1第6戦マイアミGPの決勝レースでのフェラーリは、まさにこの問題に直面した。
フェラーリはレース中盤に7番手のシャルル・ルクレールと8番手のルイス・ハミルトンが1秒以内の差となり、ルクレールよりもペースが速いと主張するハミルトンが「ポジションを入れ替えてほしい」という旨の無線を何度もチームに入れていた。チームは数周にわたって熟考した末にポジションの入れ替えを決断。ルクレールにチームオーダーを出して、ハミルトンを前に出した。
「いいチームワークじゃない」僚友とライバルと争うハミルトンと、悠長なピットウォール【F1第6戦無線レビュー(2)】
ハミルトンを前に出すことで、チームは6番手のアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)を攻略してほしかったが、その後ハミルトンのペースは停滞し、レース終盤に再びふたりのポジションを入れ替えた。
フェラーリはこの一連のレース戦略でふたつのミスを犯していた。ひとつはドライバーの意見を聞き入れすぎたことだ。ハミルトンがレース中盤にルクレールに接近したのはハミルトンのペースが速かったというよりも、状況が味方したことが多分にあった。
予選Q2で敗退したハミルトンは、12番手からスタートしたレースの序盤はエステバン・オコン(ハース)の後ろで11番手を走行した。一方、ルクレールは8番手からスタートし、8番手を維持していた。そのふたりがレース中盤に接近したのはバーチャルセーフティカー(VSC)が出たタイミングがハミルトンに有利に働いたからだった。VSC直後に最初にピットインしたハミルトンはピットストップロスを最小限にするという恩恵を受けたのに対して、すでにコントロールラインを通過し、翌周ピットインしたルクレールはピットストップ中にVSCが解除され、ピットストップロスを最小限にとどめることができなかった。
さらにピットストップで交換したタイヤが、ルクレールがハードで、ハミルトンがミディアムだったことも、ピットストップ直後にハミルトンがルクレールに接近できた要因となった。つまり、レースで主導権を握るべきはルクレールのほうで、チームはハミルトンにそのことを理解させるべきだった。
ふたつ目のミスは判断が遅すぎたことだ。ハミルトンが前に出してほしいと訴えた時点でアントネッリとは差は5秒以上あった。残りは約20周という状況と、マイアミGPの週末のフェラーリのペースを考えると、メルセデスに追いつき、追い越すにはできるだけ速く決断する必要があった。しかし、フェラーリは後手を踏んだ。
判断を先送りしても問題が解決することはない。決断して失敗しても、そこから学ぶことができれば、次につながるが、問題を先送りにすれば、その決断が正しかったのかどうかさえもわからなくなる。
結果的にフェラーリはメルセデスのアントネッリに追いつけたのかどうかがわからないまま、マイアミGPを終えることになった。それだけでなく、やっても意味のなかったチームオーダーを2度も出したことで、チーム内の雰囲気を悪くしてしまった。
フェラーリが今後浮上するにはマシンを速くする開発も重要だが、チーム代表のフレデリック・バスールはじめ、エンジニア陣の強いリーダーシップが必要だということを思い知らされた一戦だった。
https://twitter.com/F1/status/1919201717398253665?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1919201717398253665%7Ctwgr%5E97d5f6e7e41e8550375a95ed2dc86621e16bc36b%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.as-web.jp%2Ff1%2F1209451
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みんなのコメント
そこで最終的なバトル権をルクレールに与えようがハミルトンに与えようがチームとして1個上の結果を手に入れられたチャンスがあったのに単純に判断が遅かった故にチーム内で順位入れ替えただけの無駄なやりとりが発生しただけだった