6月21~22日にドイツ・ニュルブルクリンクで開催された2025年ニュルブルクリンク24時間レースに、TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing(TGRR)は109号車トヨタGRヤリスDATコンセプトと110号車トヨタGRスープラGT4エボ2で参戦し、両車とも完走を果たした。
2025年のニュル24時間レースはTOYOTA GAZOO Racing(TGR)にとって6年ぶりの復帰。2007年から志している『もっといいクルマづくり』の根底は今も変わらないが、今年はTGRとROOKIE Racing(RR)が融合した“TGRR”の新体制で参戦することになった。チームは2023年の秋からクルマづくりや国内外テスト、NLS参戦などの準備を進めてニュルに入った。
赤旗中断を招いた停電の原因/ファーフスが15年ぶりに/第3戦は今週末etc.【ニュル24時間決勝後Topics】
しかし予選1日目のナイトセッション、382号車GRヤリスDATコンセプトと110号車にジャンプした着地の衝撃によりトラブルが発生してしまう。TGRによると「どちらも致命的なトラブルではなかったが、ニュルでなければ出てこないトラブルだった」という。早速のニュルの洗礼に、エンジニア陣は気を引き締めた。
迎えた決勝日、朝の全体朝礼でモリゾウは「2025年、我々のニュルへの挑戦が始まります。今朝、私の部屋に新聞が届きました。そこにはGRヤリスの写真ともに『トヨタはニュルに帰ってきた』の見出し、とても嬉しかったです。今回、20年前の孤独なモリゾウではなく、仲間がたくさんいるモリゾウを参加させてくれたこと、感謝したいと思います。そのためにも、ぜひ完走してみんなとの成果物を取りに行きたいと思います、よろしくお願いします」とメンバーに語った。
決勝レースは現地16時にスタート。序盤はどのクラスも混戦模様だったが、TGRRの2台はアクシデントに巻き込まれることなく走行。停電による赤旗中断を挟み、開始から4時間が経過するころ、109号車はモリゾウにドライバーチェンジし、石浦宏明が先導する382号車とともに走行を行う。当初モリゾウの走行は3周の予定だったが、走り込むにつれて『もう1周』『もう1周』と6周を走行することに。これには石浦も「周回を重ねるにつれてどんどんとペースが上がり、逆に煽られるくらいでした」と苦笑いするシーンもあったという。
また、例年のニュル24時間は刻々と変わる天候に悩まされるが、今年は晴天で走行ペースが上がり気味だった。それが影響したか、日が暮れ始めるとクラッシュが続出した。しかし、TGRRの2台はアクシデントに巻き込まれることなく走行を続け、朝日が登り始めてもその状況は変わらかった。
現地10時にはモリゾウが5周予定で2回目の走行を実施するも、4周目に無線の不具合で緊急ピットインを強いられる。メカニックが即座に対応してコースに復帰させ、今年のニュル24時間ではこの酢分間が109号車が唯一走行を止めた時間になった。
モリゾウは周回を増やし9周を走行。1回目のスティントと合わせた計15周の走行は、歴代のニュル参戦で最多周回だ。2007年からニュルの活動を続けているトヨタ自動車凄腕技能養成部の平田泰男は「クルマの走らせ方や速いクルマの抜かれ方など、そのドライビングに成瀬さんを思い出し、感動した」とモリゾウのインカー映像を見ながら語る。
あまりの順調さに平田は「これまで何度もギリギリでトラブルが襲った経験があるので、ゴールラインを超えるまで答えられない」と気を引き締める。そして、その言葉のとおり、残り3時間で110号車がトラブルと2回のパンクに見舞われてしまった。
そして22日16時、スタートから24時間が経過し2025年のニュル24時間はチェッカーを迎えた。今年は134台中88台が完走となり、TGRRは109号車がSP2Tクラス1位の総合52位、110号車がSPクラス4位の総合29位で完走を果たした。
レース後にモリゾウは「ドライバーとしては自分が目標としていた15周を周回することができました。クラッシュや道が荒れている状況でも安心して走ることができましたが、かつて成瀬(弘)さんのテールランプを見て練習してきたことが、すごく役立ちました」と語った。
「走行中に成瀬さんと会話をしました。私が『成瀬さん、私運転うまくなりました?』と聞くと『これ以上に運転うまくなるなと言っただろお前、そうしないといいクルマは解らないよ』と言われました。でも私は『運転がうまくならないと、いいクルマの味見ができませんよ』と言い返しました」
「振り返ると、成瀬さんと一緒に2007年にGRを立ち上げたときは、誰からも応援してもらえなかったチームでしたが、今回はGRとRR……エンジニア、メカニック、ドライバーが融合したワンチームとして参戦できたこと、これは本当に嬉しく思っています」
「これが20年前にはやりたくてもできなかったことでしたので、ステアリングを握りながら、“孤独”だった『もっといいクルマづくり』にたくさんの“仲間”ができたことが実感できました。今回の完走は参加してくれたみんなで得たモノです。本当にありがとうございました、そしてご苦労さまでした」
また、TGRRの関谷利之ゼネラルマネージャーは「次に向けた課題はいくつかありましたが、走る・曲がる・止まるのトラブルはほぼゼロ。つまり、S耐で鍛えたGRヤリスの凄さがニュルで証明され、素直に凄いと感じました。逆を言うと、クルマにチームが負けてしまったかなと思うところもありますね」とコメントした。
「かつてのニュルの活動は一発勝負だったのでいろいろ壊れましたが、今回はそういうこともありませんでした。ただ、このプロジェクトは2023年の秋からスタート、その過程は“壊れては直し”の繰り返しだったので、やはりニュルは甘くないし一筋縄ではいかないですね」
そして、GRヤリスDATコンセプトの久富圭チーフエンジニアは「開発を含めるとかなり長い時間でしたが、とにかく妥協しないでやり切ろうと決めました」と挑戦を振り返る。
「レースでは、半分は今までやってきた背景があるので自信を持って進められましたが、時間が進むにつれて不安は重なり、最後の方は『早く終わって欲しい』と思うくらい辛かったです」
「マシンは量産スペックにこだわりましたが、しっかり走り切ったことで我々のクルマづくりは間違っていなかったと自負しています。ただ、この活動で得た知見は次の市販車に織り込むことが私の課題であり使命なので、まだまだ終われません」
[オートスポーツweb 2025年06月25日]
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