現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > “通せんぼ作戦”に業を煮やし、シケインショートカット! ラッセルにタイムペナではなくドライブスルーが言い渡された理由

ここから本文です

“通せんぼ作戦”に業を煮やし、シケインショートカット! ラッセルにタイムペナではなくドライブスルーが言い渡された理由

掲載 62
“通せんぼ作戦”に業を煮やし、シケインショートカット! ラッセルにタイムペナではなくドライブスルーが言い渡された理由

 FIAのスチュワードは、F1モナコGPでのジョージ・ラッセル(メルセデス)によるシケインカットに厳しく対処。アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)を攻略すべくコース外で追い抜いたその行為に対してドライブスルーペナルティを科した。ただ、このイレギュラーな措置は事前に予期され通達されていたという。

 レギュレーションにより2回のタイヤ交換が必須となった今回のモナコGPは、片方のドライバーが前を行くチームメイトにフリーストップを与えるべく、著しくペースを落として後続をブロックする作戦が横行するなど、異様なレースとなった。メルセデスもその術中にハマってしまったチームのひとつであり、ラッセルはカルロス・サインツJr.に逃げを打たせようとスロー走行するアルボンを抜けず、業を煮やす状況に陥った。

■ライバルを鬼ブロック! レーシングブルズ”ダブル入賞”の立役者ローソン「思ったより大変な仕事だった」

 しかし50周目、ラッセルはヌーベルシケイン(ターン10)をカットすることでアルボンの前に立った。無線では接触を避けるためにやむを得なかったと主張したラッセルだが、ポジションを返上することはせず、アルボンとの差を広げにかかった。例えそれにより10秒のタイムペナルティを受けたとしても、ライバルに引っ掛かり続けるよりは断然得な状況だったからだ。

 しかしFIAのスチュワードは、ラッセルの無線メッセージを根拠に、彼が意図的にコース外から追い越したと判断。結果として、通常の10秒加算ではなく、より厳しいドライブスルーペナルティを科す判断を下した。

 スチュワードの裁定文には、次のように記されている。

「カーナンバー63(ラッセル)はターン10でコースを外れてカーナンバー23(アルボン)を追い越した。彼はそのポジションを戻さず、そのまま順位を維持した」

「彼が無線で『ペナルティを受ける』と言ったことからも、この追い越しが意図的だったことは明らかである。彼はカーナンバー23の不安定な走行により、自分が抑え込まれていると感じていた」

「このような状況がモナコGPで起こることを予見し、レースディレクターのルイ・マルケスは事前にすべてのチームに対して、スロー走行のトレインから脱するためターン10で意図的にコースを離れて追い越しを行なった場合は厳しく審査されること、そしてガイドライン通りの10秒ペナルティでは不十分と判断されてそれ以上の罰則を受ける場合があることを通達していた」

「したがって、カーナンバー63の意図的な違反にはドライブスルーペナルティが妥当と判断し、これを科すこととした」

 ちなみに、ラッセルのショートカットに続いてその後ろを走っていたチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリもシケイン不通過によってアルボンを追い抜いたが、ラッセルにドライブスルーの裁定が下ったことを受け、エンジニアからポジションを戻すよう指示が入った。

 その後はメルセデス自体もアントネッリを壁にする作戦を採ったものの、戦略で後手に回ったことでラッセルは11位止まり。アントネッリはスロー走行の割を食って18位に終わり、ノーポイントでモナコを去ることになった。

 それもこれも、彼らが2台揃って予選トップ10に入れなかったことが元凶とも言える。アントネッリはQ1でクラッシュして15番手、ラッセルはQ2で電気系のトラブルがあり14番手に終わっていた。

 なお、コース外走行でアドバンテージを得た際のタイムペナルティが5秒から10秒に引き上げられたのは、昨年のマイアミGPがきっかけだった。当時ハースのケビン・マグヌッセンは3度の10秒ペナルティを受けたが、メルセデスのルイス・ハミルトンを抑え込んだことで、結果的にチームメイトのニコ・ヒュルケンベルグのポイント獲得をアシストした。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ル・マン24時間の勢力図、見えてくるのはこれから? BMW「駆け引きやタイムを意識していたチームはまだいない」
ル・マン24時間の勢力図、見えてくるのはこれから? BMW「駆け引きやタイムを意識していたチームはまだいない」
motorsport.com 日本版
悪しき”チームメイト同士の潰し合い”を、マクラーレンはどう避けるか? ステラ代表「それは難しい問題になるだろう」
悪しき”チームメイト同士の潰し合い”を、マクラーレンはどう避けるか? ステラ代表「それは難しい問題になるだろう」
motorsport.com 日本版
【MotoGP】マルク・マルケス、リスクを負いすぎた予選から修正「スプリントでは、常にコントロールできていた」
【MotoGP】マルク・マルケス、リスクを負いすぎた予選から修正「スプリントでは、常にコントロールできていた」
motorsport.com 日本版
今年のハースF1は低速コーナーに強い? オコン次戦カナダに自信「速くて長いコーナーがあるサーキットは苦戦するけど……」
今年のハースF1は低速コーナーに強い? オコン次戦カナダに自信「速くて長いコーナーがあるサーキットは苦戦するけど……」
motorsport.com 日本版
フェラーリに迫る決断の時。激戦のランキング2位争い真っ只中……今季マシンにさらなるリソースを割く意味はあるか?
フェラーリに迫る決断の時。激戦のランキング2位争い真っ只中……今季マシンにさらなるリソースを割く意味はあるか?
motorsport.com 日本版
この前までポールを争っていたのに……ヤマハのクアルタラロ、アラゴン初日大苦戦「解決策を見つけなければ」
この前までポールを争っていたのに……ヤマハのクアルタラロ、アラゴン初日大苦戦「解決策を見つけなければ」
motorsport.com 日本版
トヨタ7号車、ル・マンは不運もあり16番グリッドに沈む。昨年の驚異の追い上げ再現なるか「レースペース向上に全力」と小林可夢偉
トヨタ7号車、ル・マンは不運もあり16番グリッドに沈む。昨年の驚異の追い上げ再現なるか「レースペース向上に全力」と小林可夢偉
motorsport.com 日本版
ラストアタック失敗もセクター2最速で5番手タイム! SF富士テストで速さ見せた小林利徠斗「少し余裕が出てきた。自信になりました」
ラストアタック失敗もセクター2最速で5番手タイム! SF富士テストで速さ見せた小林利徠斗「少し余裕が出てきた。自信になりました」
motorsport.com 日本版
ランス・ストロール、古傷悪化の原因はガレージでの激怒? ”6週間前”からの経過観察には疑問の声
ランス・ストロール、古傷悪化の原因はガレージでの激怒? ”6週間前”からの経過観察には疑問の声
motorsport.com 日本版
【MotoGP】「バニャイヤは凄く紳士だった」アコスタ、3位表彰台争いでライバルのスポーツマンシップ称賛
【MotoGP】「バニャイヤは凄く紳士だった」アコスタ、3位表彰台争いでライバルのスポーツマンシップ称賛
motorsport.com 日本版
MotoGPアラゴン予選|マルク・マルケスが爆速レコード更新でポールポジション! クアルタラロ9番手で連続PP途切れる
MotoGPアラゴン予選|マルク・マルケスが爆速レコード更新でポールポジション! クアルタラロ9番手で連続PP途切れる
motorsport.com 日本版
走行経験とマシンアップデートを味方に、予選で僚友を上回り自己最高グリッド獲得のボルトレート【ルーキー・フォーカス】
走行経験とマシンアップデートを味方に、予選で僚友を上回り自己最高グリッド獲得のボルトレート【ルーキー・フォーカス】
AUTOSPORT web
ル・マン24時間レース、最初の予選はキャデラック最速。トヨタ7号車がまさかのノックアウト
ル・マン24時間レース、最初の予選はキャデラック最速。トヨタ7号車がまさかのノックアウト
motorsport.com 日本版
【コラム】苦戦続くハミルトン……フェラーリ加入は”終わりの始まり”なのか?
【コラム】苦戦続くハミルトン……フェラーリ加入は”終わりの始まり”なのか?
motorsport.com 日本版
フォーミュラEとハイパーカー、別物なのに感覚の切り替えは楽勝? ル・マン初参戦のウェーレインに理由を聞く
フォーミュラEとハイパーカー、別物なのに感覚の切り替えは楽勝? ル・マン初参戦のウェーレインに理由を聞く
motorsport.com 日本版
角田裕毅とリアム・ローソン、シーズン中の”シート交換”でふたりが直面した厳しい現実
角田裕毅とリアム・ローソン、シーズン中の”シート交換”でふたりが直面した厳しい現実
motorsport.com 日本版
復調バニャイヤ、テストでもブレーキディスク変更の効果確認。でも「次戦ムジェロで勝利争い断言は難しい」
復調バニャイヤ、テストでもブレーキディスク変更の効果確認。でも「次戦ムジェロで勝利争い断言は難しい」
motorsport.com 日本版
【MotoGP】アラゴン完全制覇のマルク・マルケス、決勝はさらなる独走も可能だった!? 「制御しないと速くなりすぎてしまう」
【MotoGP】アラゴン完全制覇のマルク・マルケス、決勝はさらなる独走も可能だった!? 「制御しないと速くなりすぎてしまう」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

62件
  • vzn********
    近年稀にも観ない程のクソレースだったのは間違いない
  • hv3********
    F-1で観てて1番つまらないのがモナコ、伝統なのか知らんが抜きつ抜かれつのレースの体を為してない。いっそのことカレンダーから外してパレードランにするか出走順くじ引きで1チーム何周と決めてタイムアタック制のスーパースプリントレースにしたほうが面白くなる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村