5月31日に開館した「直島新美術館」。安藤忠雄が手掛けた建築とともにアジアの作家によるユニークな作品も見どころだ。8月1日からは瀬戸内国際芸術祭の夏会期もスタートする。塩田千春の新作や、サラ・ハドソン、ホンマタカシの作品など今回も見逃せない展示が目白押し。この夏は瀬戸内へアートな旅に出よう。
直島新美術館と瀬戸内国際芸術祭
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2010年にスタートした瀬戸内国際芸術祭は、3年ごとに春・夏・秋の3会期で開催される現代アートの祭典。穏やかな内海に700を超える島々が点在する瀬戸内海は、古くから風光明媚の地として知られてきてきたが、この芸術祭とともに自然や歴史、文化とアートが融合する唯一無二の体験ができる地として世界的に認知され、今では国内外から年間100万人が訪れる現代アートの聖地となっている。
6回目の開催となる瀬戸内国際芸術祭2025の夏シーズンは8月1日~31日に予定されているが、会期スタートを前にぜひ押さえておきたいホットなニュースが、直島新美術館のオープンだろう。
多種多様な人々が出会う場・直島新美術館ベネッセハウス ミュージアム(直島)や犬島精錬所美術館(犬島)、集落内の古民家を活用した「家プロジェクト」など、瀬戸内のアートを代表するプロジェクトや美術館を企画・運営してきたベネッセアートサイト直島が、35年以上にわたる活動の集大成として2025年5月31日に開館した施設が、直島新美術館だ。
設計を担ったのは、日本を代表する建築家・安藤忠雄。1992年開館のベネッセハウス ミュージアムや、建物の大半が地下に埋設された地中美術館、草間彌生らの作品が展示されたヴァレーギャラリーなどにつづき、ベネッセアートサイト直島で手がけた10番目のアート施設になる。
ロケーションは、築約100年の古民家をリノベーションしたANDO MUSEUMや「家プロジェクト」を展開する直島の本村地区で、人々が暮らす集落に隣接した丘の上にある。丘の稜線をなぞる大きな屋根や焼杉のイメージに合わせた黒漆喰の外壁、小石積みの塀などの外観を構成する要素は、集落の景観との調和を図るために採用されたもの。直島の歴史や人々の営みが、美術館へのアプローチや建物へと緩やかに繋がるようデザインされているという。
そして、丘を登り美術館の中に足を踏み入れると、コンクリート壁と自然光が織りなすモノトーンの空間が来場者を包み、安藤建築ならではの美学を存分に味わうことができる。
建物は地下2階・地上1階の3層構造で、トップライトから自然光が降り注ぐ階段室が地上から地下まで直線的に貫き、その両側に4つのギャラリーが配置されている。また地上フロア北側にある多目的カフェスペース「&CAFE」も、この美術館ならではの体験ができる魅力的なスポットだ。室内からテラス席へと繋がる開放的な空間からは、島々を遠方に臨む瀬戸内海の景色を一望できる。
アジアをリードする作家たちの饗宴直島新美術館が展示・収集するのは、日本を含めたアジア地域のアーティストの作品たち。現在開催中の「開館記念展示―原点から未来へ」では、⽇本、中国、韓国、インドネシア等、アジア地域出⾝の12名/組のアーティストによる、直島新美術館にあわせて構想されたサイトスペシフィックな新作や代表作が展示されている。
例えば、第11回ベネッセ賞を受賞したパナパン・ヨドマニー(タイ)の《アフターマス》(2016/2025)は、タイの伝統的な仏教美術やデザインを用いながら、仏教的な宇宙観と近代科学、⽇常との関係や、開発・進展・破壊について考察を試みる壁画と彫刻のインスタレーションで、壮大な世界観を表現している。また、ソ・ドホ(韓国)は、ソウル、ニューヨーク、ロンドンなど自身が暮らした家の玄関や廊下を布で再現した代表作に、直島の民家の廊下も新たに加えた8連作のインスタレーション《Hub/s 直島、ソウル、ニューヨーク、ホーシャム、ロンドン、ベルリン》(2025)を展開し、カラフルで軽やかな作品空間を創出している。
そして、天井の高い空間を存分に活用して圧巻の展示を見せているのが、蔡國強(中国)の《ヘッド・オン》(2006)。精巧につくられた99体の狼が全⼒で⾛り、ベルリンの壁と同じ高さのガラス壁にぶつかっていく様をリアルに表現している。そのほか、日本からは村上隆による幅13メートルの大作《洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip》(2023-2025)をはじめ、Chim↑Pom from Smappa!Groupや会⽥誠、下道基⾏も参加し、直島新美術館だからこそ見ることができる充実した展示が展開されている。
瀬戸内国際芸術祭2025で唯一無二のアート体験を
瀬戸内国際芸術祭の根底にあるのは「海の復権」という理念だ。瀬戸内海は近代以降の工業開発による公害や産業廃棄物により環境上の衰退を余儀なくされてきたが、美しい自然と人間が交錯し交響してきた島々に活力を取り戻すため、自然環境と調和したアート体験を創出してきた。
そして、春・夏・秋の3会期をあわせ、合計107日間にわたって開催される瀬戸内国際芸術祭2025には、37の国と地域から216組のアーティストが参加、100以上の新作を含む254の作品が紹介され、加えて会期中にはおよそ20件のイベントが企画されている。
8月1日に始まる夏会期は、新エリア「志度・津田」「引田」が加わり、全11エリアで展開されるが、新エリアで紹介される作品はすべて新作で、歴史的町並みや沿岸部の特色を活かした展示になるという。もちろん、安藤忠雄が手がけた直島新美術館をはじめとする建築群や、アーティスト内藤礼と建築家・西沢立衛の協働により自然と建築とアートの一体化を実現させた豊島美術館、シンボル的存在となっている直島の宮浦港に設置された草間彌生の《赤かぼちゃ》等々の定番のスポットも、訪れる度に違った体験を得ることができるだろう。
そして数ある展示作品の中でも、ぜひ足を運びたい新作展示の一つが、日本を代表する現代アーティスト、塩田千春が芸術祭のために制作した《線の記憶》(豊島)だ。地元の人々が「もう使わないけれど捨てられない大切なもの」として見せてくれた製麺機3台を、古い一軒家の中に設置して赤い糸で空間ごと編み込んだ大規模インスタレーションで、豊島に受け継がれてきた生活や土地の記憶を、糸で紡ぐことで未来へと残す試みとなっている。
また、第60回ヴェネチア・ビエンナーレ(2024)で金獅子賞を受賞したマタホ・コレクティブ(Mataaho Collective)のメンバーとしても知られるサラ・ハドソンの作品も要注目と言えるだろう。ニュージーランドの先住民族マオリをルーツに持つ彼女は女木島に滞在し、自身の祖先が住んだモウトホラ島とも共通する地元の石垣から着想して新作を制作、旧小学校の一室を会場に、小石で作った彫刻ペンダントや、モウトホラの土と香川県の藍染めを使った水彩絵画、映像作品を展開している。
そして、海外との連携した試みとして注目されるのが、国連の難民支援機関であるUNHCRとの共催による写真展、ホンマタカシ「SONGSーものが語る難民の声」だ。世界では1 億2000万人以上いるとされる難民一人ひとりに光をあてるため、写真家・ホンマタカシがとらえたポートレートや彼らの“大切なもの”を記録した写真作品が展示されている。
また、イベントとしてぜひチェックしておきたいのが、台湾の世界的現代舞踊団・雲門舞集(クラウドゲート)の、日本で16年ぶりとなる公演。自然の音や光、人間と環境の関係をテーマにした代表作「Sounding Light(定光)」の特別バージョンを、四国村ミウゼアムで上演(8/23)するほか、ワークショップも予定しているという。
瀬戸内国際芸術祭の魅力は、安藤忠雄をはじめ有名建築家が手がけたアート施設での展示とともに、豊かな自然やこの地に暮らす人々の文化・歴史と現代アートが融合した、サイトスペシフィックな作品やインスタレーションが展開されることにある。穏やかな海や多島美に彩られた豊かな自然を背景にしたアート体験は、誰にとっても世界の地平を広げる糧となるだろう。
直島新美術館住所:香川県香川郡直島町 3299-73
電話番号:087-892-3754(福武財団)
開館時間:10:00~16:30(最終入館16:00)
休館日:月曜日(ただし、祝日の場合開館、翌日休館) ※不定休あり
鑑賞料金:オンライン購入(日にち指定) ¥1,500、窓口購入¥1,700、15歳以下無料
※瀬戶内国際芸術祭 作品鑑賞パスポート対象施設
https://benesse-artsite.jp/art/nnmoa.html
問合わせ先:info-newmuseum@fukutake-artmuseum.jp
チケット販売:ベネッセアートサイト直島 美術館予約サイトにて
https://benesse-artsite.jp/general-information.html
瀬戸内国際芸術祭2025夏会期:8月1日(金)~8月31日(日)
秋会期:10月3日 (金)~11月9日(日)
会場:瀬戸内の島々と沿岸部の全17エリア
詳細は下記URLよりご確認を。
https://setouchi-artfest.jp/
文・富田秋子
編集・遠藤加奈(GQ)
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