この記事をまとめると
■シビックタイプRは現在6代目までが販売されている人気モデルだ
EK9命の編集部員がFD2に乗ってみた! どっちのシビック タイプRがいい……ってFD2の魅力にやられてしまった
■初代モデルには専用エンジンが搭載されていた
■専用ゆえに中古エンジンが年々手に入りづらくなっている
じつは貴重な専用エンジン搭載車
ホンダのスポーツモデルの頂点にあるのが、タイプRシリーズだ。いまさら説明は不要だと思うが、このタイプRシリーズの祖となったのが、1992年11月に誕生した初代タイプRとも呼べる存在のNSX-R(NA1)だ。その後、1995年10月に初代インテグラタイプR(DC2)がデビュー。さらにそのあと、満を持して登場したタイプRシリーズの末っ子、初代シビックタイプR(以下:EK9)が1997年8月に発売された。なお、この末っ子のシビックタイプRが、いまでも6代目のシビックタイプRとして残っているのは多くの人が知るところである。
さて、そんなシビックタイプRであるが、歴代モデルに搭載されているエンジンにスポットを当ててみると、あることに気がつく。ちなみに搭載されるエンジンは以下のとおりだ。
初代:B16B
2代目~3代目(FN2含む):K20A
4~6代目:K20C
そう。EK9に搭載されていたB16Bだけ、独立した専用エンジンなのだ。よくホンダ系の話だと、S2000に搭載されたF20C/F22Cが車種専用エンジンとして取り上げられるが、EK9もじつは専用エンジンなのだ。なお、NSX-R(NA1)のC30A/C32BもNSX専用エンジンとして開発され、NSX-Rはさらにチューニングされているものの、エンジンの型式はノーマルモデルと同じ。これは、初代インテグラタイプRに搭載されていたB18Cにも同じことが言える(B18C自体はSiRなどにも搭載されていた)。それ以降のK20A、K20Cも各モデル毎に専用設計となってはいるが、型式はそのままである。
つまり、B16BだけはれっきとしたEK9専用エンジンなのだ。この記事では、少々マニアックだが、このB16Bの特徴について少し深掘りしたい。
まず、このB16Bでよくいわれるのが、シビックSiRなどに搭載されていたB16Aがベースとなっているというネタ。当時の書籍などにも書かれているが、これは間違い。B16BはインテグラタイプRに搭載されていたB18Cのブロックを流用して作られているのだ。このB18Cの「ピストン」「コンロッド」「クランクシャフト」などをはじめ、60点近くのパーツを専用品に再設計し、ショートストローク化したのが、B16Bというわけだ。そういった事情から、B18Cのパーツを流用した1.8リッター仕様がEK9に多くいるというわけだ。
なので、勘違いされやすいB16Aと比較して、B16Bのブロックは約8mm高い設計になっている(B16Aのデッキの高さは203.9mm・B16Bのデッキ高さは212mm)。これは、1.8リッターのB18Cの200cc分とイメージすればわかりやすいだろう。
よって、エキゾーストマニホールドなどのパーツは、同じシビックだからといって流用できない。B16BオーナーはB16AではなくB18C用を選ばなければならないのだ(一応足りない高さ分を延長するスペーサーも存在するが……)。
また、このB16Bは前期型と後期型で少々セッティングが異なるのも有名な話。その代表的なパーツはカムシャフトだ。EK9の前期型と後期型ではエンジンのカムシャフトのカムプロフィールが異なるといわれており、後期型のほうが若干低速トルクなども稼げるということで、競技で使う人には定番の流用パーツだったという。逆に前期はカムの山が高く、ハイカムに入るとなかなか刺激的だったそう。ただし、部品番号は最初のころは別々だったといわれているが、現在は統一されている(部品が出るころは頼むと後期型のカムが届いたとのこと)。
タマ数が少ないのがデメリット
なおこちらは都市伝説の域を出ないが、B16Bは最初期モデル(最初の100台前後といわれている)はレースエンジニアたちが組み立てたエンジンが積まれていたといわれている。その後もポート研磨などはされていたものの、機械による組み立て工程も多く含まれていたとのことだ。
さて、そんなB16Bのスペックだが、改めて見てみると1.6リッターのNAエンジンながら、最高出力185馬力/8200rpm・最大トルク160Nm/7500rpmという尋常ではないスペックを誇っており、リッターあたり116馬力という、当時世界最高水準のスペックを誇っていた。まさにテンロクのキングだ。
ただし、このB16Bには落とし穴もある。それが、専用エンジンであるという点だ。B16Bは前述したように、このエンジンだけの専用パーツも多数採用している。エンジンブロックにも当然”B16B”と刻印されているので、同じブロックといえどB18Cを搭載したら公認が必要になるし(現在公認申請については新たなルールを検討中なのでハードルが下がる可能性あり)、1.6リッターで排気量が同じという理由で、B16Aを搭載することもB18C同様に面倒。
そしてこのEK9、生産台数が1997年~2001年の間でおおよそ1.6万台前後といわれている。当然ながらいまこれだけの台数が残っているわけないし、パーツとしてエンジン単体が世に出たとて、数万基あるとは考えにくい。なので、ブロックに穴が開くような壊れ方をしたら、載せ替え用のエンジンを探すのに苦労する羽目になる。EK9そのものが値上がりしているのはもちろん、エンジン自体も数年前と比較してかなり高くなっている(当然中古)。しかも使えるかどうかもわからない、状態不明なものでもなかなかに高額だ。
なので、万が一を視野に入れつつもシビックが欲しいのであれば、B16Bにこだわらず、まだまだタマ数が多い、B16Aを搭載する車両(シビックSiRなど)を、現役オーナー的にはオススメしたい。純正パーツはかなり減ってきているが、ホンダのエンジンは海外でも人気なので、あの手この手でアフター品を利用すれば、まだまだ現役で活躍できるエンジンだ。B16Bもアフター品は多いので維持管理はできるが、ベースのブロックが少ないのが、やはり厄介なところ。
テンロクNAエンジンの最高傑作、B16BはEK9だけに搭載された専用エンジンであることを、現オーナーは誇りに思ってもいいのではないだろうか。
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みんなのコメント
EKが最後だと思ってる、それ以降はダメやわ