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古いクルマをこよなく愛する"You"たち、なんでそのクルマを選んだの?

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古いクルマをこよなく愛する"You"たち、なんでそのクルマを選んだの?

世の中にはいろいろなクルマがあるにも関わらず「なぜ"You"はそのクルマを選んだの?」と不思議に感じたことが1度か2度はあるはずだ。

モータージャーナリストと一般人には「圧倒的な知識や経験値の差」があるのだろうか?

電気で動くモーターもついていて、一昔前では考えられないほど燃費がいい最新型のクルマを選択すれば、購入時には補助金が出るし、税金も優遇される。にも関わらず、なぜかそうじゃないクルマを選ぶ"You"がある一定数存在しているのは皆さんもご存知の通りだ(クルマ以外でも昭和の家電全般、腕時計、自転車、古い電車/汽車、漫画、アニメなど・・・。最新のもので優れた製品や作品がいくらでもあるのにも拘らず、あえて古い方にシンパシーを抱く"You"たちがいる)。



そこで今回、「最新型のクルマがサイコー!」原理主義(?)の人たちからすれば理解不能な人種に違いない、古いクルマをこよなく愛する人たちを"You"と定義し、さまざまな角度から考察してみたい。



■"You"たちにも目覚めたきっかけがあるはずだ

筆者はこれまで"You"たちが最新型のクルマを選ばず、ちょっと古かったり、あるいはかなり古いモデルを選ぶにはそれなりの理由があるに違いない・・・と思われる2つの仮説を立てていた。



それにはわかりやすいきっかけや理由がある。具体的には「自分が幼少期の頃、両親や親戚が乗っていて、かっこいいと思っていたから」というのが1つめの仮説だ。また「近所にいつも停めてあって憧れていた・・・など、過去に触れたり、目にする機会があった」というケースだ。それが記憶の奥底に残り、運転免許の取得前後で再燃し、最新型のクルマではなく自分が幼少期にあこがれていたクルマを入手する・・・というのが2つめの仮説である。



幼少期ではなくても少年(少女期)や学生時代に観たテレビや映画が原体験となり、大人になって憧れていたクルマを入手するなどといったケースも考えられる。だが、アグネス・ラムが好きだったからオレンジ色のカルマン・ギアを入手した・・・という話は聞いたことがない。



アグネス・ラム?誰だそれ?と思ったそこの貴方、父親や親族、会社の上司など、アラフィフ世代以上の人に聞けば、アグネス・ラムがどんな存在で、なぜ当時脚光を浴びたのかを尋ねれば、嬉々として延々と彼女の魅力について説明してくれるに違いない。ただし、この質問を投げ掛ける際には注意が必要だ。大人のマナーとして時と場所を選ぼう。周囲の人たちが一斉にこちらに振り向くかもしれないからだ。たとえば、週末の正午過ぎ。場所はイ○ンのフードコート。こんな場所で好奇心旺盛な甥っ子(小学校2年生)から「おじさん、いま、人気のグラビアアイドルって誰なの?」と聞かれたら、あなたはきっと答えに窮してしまうだろう。そんな場面を想像していただければ概ね理解してもらえるはずだ。



閑話休題。話を戻そう。



■"You"たちのその選択に合理性はあるのか?

"You"たちが最新型ではないクルマを選択することにどんな合理性があるのだろうか。「クラシック」といわれ、プレミア価格がついてしまう車種・年式ではなく、いわゆる「型落ち」のクルマであれば、最新型よりも初期費用を安く抑えられるだろう。年式にもよるが、部品の供給に不安もなく、新品および中古の部品の入手ができればトラブルの解決にもさほどコストがかからない。



しかし、当然ながら、時間が経てば経つほど部品は経年劣化するし、故障する確率や頻度もあがる。また、新規登録から13年以上経ったクルマにかかる重課税を考えると、"You"の選択が合理的かどうかについては判断が難しい。そのため、最新型を選ばないことでの合理性はあまり主張はできないのでは?という結論にいたった。



■"You"(当事者)たちの意見も聞いてみた

筆者もメンバーの一員であり、"You"たちが集うグループ(空冷車好きが集まるグループ)で「"You"はなぜ、そのクルマを選び、愛し、乗り続けるのか?」を聞いてみた。当然、筆者としては、前述したわかりやすいきっかけ=親御さんや親戚が乗っていて身近だった、若い頃(子供の頃)からあこがれていた、というような理由が聞けるものと想像していた。たしかにそのテの回答は皆無ではなかったが、どちらかというと少数派であった。これはどういうことだ(笑)。



実際の"You"たちの声はこんな感じだ。



「他のクルマを選ぶなんていう選択肢はなかった」「ただ、好きなものを選んだらこれだった。それが理由だ」。



まじか。最初は素直に信じられず、「いやいやいや、そうはいっても、昔親戚が乗ってたり憧れたりしてたんちゃいますか?」と問いかけてみても答えはNo!だった。



そういうクルマに乗る人は、「わざわざ選んだ」のではなく「当たり前のことをしているだけ」なのだ。



もしかすると、他の車種では違う反応があるのかもしれない。仮に違いがあったとしても、ごく一般の人から見れば、ほぼその差はなく、同様に「変なヒトたち」という括りからは逸脱しない差でしかないのではないか、と思いはじめてきた。



「ワーゲンとアメ車とニッサンとマセラティとアルファ ロメオではまったく違う!」とそれぞれの"You"たちは答えるだろう。クルマ好きであれば言わずもがな、当人同士たちは超えられない壁があるわけだが・・・。しかし、一般のヒトから見れば「"You"たち=変な人たち」とひとくくりにされてしまうのが現実だ。



■筆者の仮説とは?

筆者はこれまで、半分冗談で「そういう人はDNAに刷り込まれているんですよ、そういうクルマに乗るって。だから運命なんです(笑)」と言ったことはあったが、それは冗談でもなんでもなく、限りなく真実ではないかと考えはじめた次第だ。



そのDNAは遺伝であるケースも確かにありそうだが、突然変異で「新しいクルマを選ばずに、ヘンテコだったりちょっと古いクルマを選ぶDNAを持つ"You"がいる」という仮説にたどりついた。しかし、そのDNAはクルマ好きの多くの人の体内(脳内か?)潜伏している可能性があり、何なら発症(失礼!)せずに運転免許を返納する時期を迎える人もいるだろう。



しかし、一度発症(失礼!)してしまうと、それを選ぶことが当たり前。選ばないことは「ありえない」という"You"が爆誕する。さらに、当事者である"You"は、1mmたりとも自分がおかしいと思っていない。だって「当たり前」でしかないんだから。



エアコンがなかったり、ブレーキアシストがなかったり、モーターがついてなかったりすることは何の苦にもならないし、うらやましいとも思わない。ないのが当然、それが自然なんだから。ただ、この病(あ、書いちゃった!)を発症する場合には、ガンでいうところの「発ガン物質」のように、素質があるものの変異を促し発症させるアイテムがある可能性がある。それがカーグラフィックなどの自動車雑誌や、ホットドックプレスやポパイなどのファッション雑誌だったのかもしれない。それらに触れてしまった例のDNA保持者は見事に発症し、めでたく「何の疑問もなく最新型を選ばない"You"」の誕生となるわけだ。



そして、もっとも重症なのはそういう触媒的なものの影響を受けなく、純粋培養で覚醒している層があり、実はそっちの方が多数派である可能性すらある。



■"You"たちは果たして少数派なのか?

たまに走るときにはちょっと効率悪くガソリンを燃やし、ちょっと気を抜くと途端に機嫌を損ねる。さらに、夏は暑く、冬も寒く、ちょっと臭ったり、道路の起伏にナーバスだったり、ステアリングが重かったりなどという事象はそれらのDNAを持つ"You"たちは意に介さない。すべて想定の範囲内だからだ。



そういう"You"たちは、本人と相棒であるクルマと「ちょうどいい速度」でヒトとクルマのがシンクロできるタイミングが年に数回あれば超ハッピーなのだろう。なかには数年に一度でもあればそれでもOKなヒトもいる。絶妙なシフトワーク、コーナリング、アクセルワークなどがこれに該当する。



しかしその至福のタイミングは最新型のクルマに乗っても巡って来ないことを、このビョーキの"You"たちはDNAに刷り込まれているので、本能的に知っているのかもしれない。



アクセルペダルやブレーキペダルを踏み、絶妙なタイミングでクラッチをつなぐ、その一連の行為を常にクルマ側が寄り添い、サポートしてくれる。最新型のクルマであればあるほど、ほとんどの場合はドライバーの操作ミスを可能な限りクルマ側がリカバリーしてくれる。さらにミスをしてもクルマがヘソを曲げることはない。一般的に、古いクルマであればあるほど、クルマとドライバーの主従関係は前者に主導権があるように思う。ラフな操作を許容せず、操作ミスはミスとして如実に挙動に現れる。これをドライバー側が悦楽と感じるか、苦痛と感じるかで受け止め方が180度変わってくるわけだ。



■果たして"You"たちに市民権はあるのか?

アイドリングストップするクルマが多い交差点において、エンジンをかけ続ける行為は正直いたたまれないかもしれない。エンジン音が大きかったり、多少なりとも燃費が悪いことで何か悪事をはたらいているかのようにいわれるかもしれない。しかし、これまで記してきた通り、彼らにとって最新型のクルマを選択することはDNAにないこと、ということをご理解いただきたい。



人間でもいろいろな肌の色、背の高さ、顔の形があるように、人それぞれなんだから。幸運なことに昨今では価値観の多様化に対するキャパシティが拡がっているようにも感じるので、"You"たちが不利益を被るようなことは皆無といえるかと思う。この記事を読んだ皆さんは、最新型を選ばない人々に対してぜひ、温かい対応をお願いしたい。みんな違ってみんないい、ってことですよ。そして、この記事を読んだ"You"たちへ。案ずることなくずっとそのままでいてください。



[ライター・撮影/ryoshr]

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