F1日本GPの直前、新宿・歌舞伎町のZepp Shinjukuで「FORMULA 1™ Honda & Red Bull Welcome Event in Tokyo」が開かれた。F1と大相撲の異色のコラボレーションとなったこのイベント。会場内には土俵や国技館にあるような幟が用意され、登場したレッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス、そしてアルファタウリの角田裕毅とリアム・ローソンが、シコを踏んだり、手押し相撲やラジコン相撲を楽しんだりした。これまでにはなかった雰囲気の中、イベントが進行していった。
このイベントに相撲界の代表として登場したのが、澤田賢澄(元・千代の眞)と田代良徳(元・東桜山勝徳)のふたりの元力士だ。澤田はNetflixで配信中の相撲界を描いたドラマ『サンクチュアリ -聖域-』で重要な役どころである“猿谷”を演じ、田代は最近公開されたばかりの映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』やハリボーのCMに出演中……いずれも今注目を集める力士俳優のふたりだ。
■世界よ見たか! これが”鈴鹿のF1ファン”だ。外国人記者が見た、日本のF1ファンの素晴らしさ「彼らにとってはF1ドライバーも、エンジニアもチーム代表も、全てがヒーローなんだ」
田代は以前はF1を観ていたというが、レーシングドライバーと共演するのは初めてだったという。
「学生時代など、夜中にテレビでF1を観ていたことはありました。アイルトン・セナやアラン・プロストの時代ですけどね。鈴鹿のシケインでふたりが絡んだシーンは、テレビでリアルタイムで観ていた覚えがあります」
そう田代は語る。
「ミハエル・シューマッハーが出てきた後からはあまり観ていなかったのですが、このお仕事をいただいて、最近興味を持ち始めました」
「でもなんかすごいですね。光栄ですし、お仕事でご一緒させていただくこともまずないですから」
一方の澤田は、三重県・伊賀市出身であるが、F1日本GPが鈴鹿で行なわれていることは知っていたものの、一度も観たことはなかったという。
「僕は三重県伊賀市出身なんですが、レースがある時には伊賀まで泊まりに来る人もいて、すごいなと思っていました。でも一度も観たことはないです。今回のお仕事でご一緒してすごく興味が高まっているので、観てみたいと思っています」
「モータースポーツは同じスポーツではあるものの、ジャンルが違いすぎるので”すごい”しか出てこないです。今日ご一緒したのは、すごい人たちなんですよね? 相撲界で言えば、横綱クラスの人……そんな人たちとご一緒させていただいて、緊張しました」
■モータースポーツの人気を高めるためには? すさまじいNetflixの効果
相撲と言えば、日本の国技であり、日本育ちであれば誰もが知っている。テレビでも連日のように、その取り組み結果が報じられる。しかしF1の結果がテレビなどで報じられる場面は少ないというのが正直なところだ。
日本でモータースポーツが盛り上がるためにはどうすればいいと思うか? そう尋ねると、澤田は自身が出演した『サンクチュアリ』が相撲界に与えた効果がものすごかったと明かしてくれた。
「『サンクチュアリ』を観た人からいただく感想で最も嬉しいのが、それまで相撲に全く興味がなかったのに、『サンクチュアリ』を観たらすごく面白くて、本物の相撲を今度観に行きます! というものなんです。そういう言葉をたくさんいただいているんですが、それが嬉しいです」
F1も、『サンクチュアリ』と同じNetflixのドキュメンタリー番組『Drive to Survive(邦題:栄光のグランプリ)』で人気に火がつき、今やアメリカを中心に大ブームとなっている。それほどNetflixの効果が大きいということなのだろう。
「僕の弟(佐ノ山親方/元・千代の国)も今、親方として相撲協会に残っていますが、そこで聞いても、『サンクチュアリ』の効果は間違いなくあると言っていました。その結果、5月場所も7月場所も、入場券は初日の前に売り切れになってしまうくらいだったといいます」
田代も、澤田を見ていて、Netflixの効果を実感していると明かす。
「『サンクチュアリ』の撮影が終わった後も、1年くらいは彼も普通の人だったんですよ。でも、(Netflixで配信が開始された)今年の5月4日から環境が一気に変わりました」
「以前はお店でご飯を食べていたりすると、僕の方が写真を撮らせて欲しいと言われることがあって、澤田さんはカメラマンに徹してくれていました。でも、今は立場が逆転して、僕の方が写真を撮ることが多いです」
『サンクチュアリ』では、ひとりの力士の成長を事細かに描いている。なかなか相撲に集中しきれない主人公が、圧倒的な強さのライバルに立ち向かうため、心身ともに成長していく……その日々が中心になっている。澤田は、モータースポーツの世界も同じように描くことができれば、広く注目を集められるのではないかと語った。
「F1ドライバーって、普段何をしているかって、分からないじゃないですか。めちゃくちゃいかつい時計を着けて、ファッショナブルで、めちゃくちゃお金持ってるんだろうな……そう思うけど、裏の努力って分からないと思います」
「それは相撲も同じで、好きな人は稽古の内容とか知っているけど、普通の方は知らないと思います。お相撲さんの厳しさとか。モータースポーツも、そういう部分を見せられたら、変わるんじゃないかと思います」
誤解を恐れずに言えば、力士は身体が大きく、太っているという印象を持たれがちだ。しかしそれには意味があり、その体格を得るためにも、並々ならぬ努力が行なわれている。それが『サンクチュアリ』を見るとよく分かる。
■モータースポーツも相撲も、命懸けの世界
なお田代の中学校と高校の後輩には、レーシングドライバーで現在はTEAM IMPULの監督を務める星野一樹がいて、今も仲が良いという。その星野の言葉からも、モータースポーツの凄さを感じているという。
「僕の中高の後輩に、星野一樹がいるんですよ。彼とは仲良くて、レーシングカーに乗っていて怖くないの? と尋ねたら『めちゃくちゃ怖いです』と言ってました。そんな気持ちで乗っているのか……そう思いました。僕らは土俵から落ちても、死ぬとか考えませんから……命を懸ける、すごい世界だなと思いましたよ」
ただ、相撲に命が懸かっていないわけではない。取り組みで勝つための体躯を得るのは、まさに命懸けなのだ。澤田は言う。
「大相撲も、身体を作るために命を懸けています。どう考えても、横綱で長生きする人なんていませんから。レーシングドライバーは、1戦1戦に命を懸けていますが、その命の懸け方が違うんだと思います」
「どれだけ懸けられるか……時間も、命も、全てじゃないですかね? その全てをどれだけ懸けられるか、それがプロなんだと思います。相撲でも、モータースポーツでも」
■きっかけが一番!
今回F1ドライバーと共演したことで、今までF1を見たことがなかった澤田は、日本GPを「絶対に観る」と断言した。
「絶対に観ますよね。リアルタイムで見られなくても、絶対に観ます。こういうきっかけというのが、大事なんだと思います。僕はまんまとハマりましたから。今回はテレビで観ますが、いつかぜひ現地で観てみたいですね」
一方で田代は、F1は敷居が高い気がすると語り、それを下げる努力が求められるのではないかと語った。
「相撲と一緒で、よく知らない人からすると、F1は敷居が高い気がします。高級な感じがするんですよね。そのイメージは、変えるべきかなと思います」
そう田代は言う。
「相撲も、よく『枡席は高いんでしょう?』と聞かれることがあります。でも、実は安い席なら2000円くらいから買えるんです。そういう敷居が高いというイメージは、先行してしまいやすいですからね」
「あとは、鈴鹿だとちょっと遠いので……東京のど真ん中でやってくれたりしませんかね?」
そう田代が言うと、三重県出身の澤田はすぐに反論した。
「いやいや、三重から取らないでくださいよ! F1は鈴鹿でやるからいいんです! 僕も三重県民として、鈴鹿のF1をもっと盛り上げたいです」
(敬称略)
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