現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > レクサスのオールラインナップをサーキットでテスト! 最良のレクサスとは?【Playback GENROQ 2017】

ここから本文です

レクサスのオールラインナップをサーキットでテスト! 最良のレクサスとは?【Playback GENROQ 2017】

掲載 更新 2
レクサスのオールラインナップをサーキットでテスト! 最良のレクサスとは?【Playback GENROQ 2017】

LEXUS RC F × GS F × GS200t × IS350

レクサス RC-F × GS F × GS200t × IS350

フェラーリ カリフォルニアTに与えられた「ハンドリング・スペチアーレ」の驚異的なコーナリング性能を試す 【Playback GENROQ 2017】

最良のレクサスを探せ!

ハッチバックからセダン、クーペ、SUVまで幅広い9モデルのラインナップを揃えるレクサス。まもなくブランドの象徴となりえるハイエンドクーペLCの導入を控えるなど、話題が尽きない。そんなレクサス車をサーキットと一般道を中心に大谷達也が乗り倒した。The Best of Lexusはどれだ?

「トヨタが目標とする『すっきりと奥深い走り』がおぼろげながら見えてきた」

静粛性は高いし、内装の質感も上がってきた。エクステリアには好き嫌いがあるだろうが、全般的なデザインの実力は確実に向上している。走りの性能もこれといって不自由することはない。ただし、ドライビング・フィールに明確な個性が認められないから、このブランドを選ぶ積極的な理由が見当たらないというのが、私のこれまでのレクサス評だ。

ところが今回、IS担当の小林直樹主査は「すっきりと奥深い走り」がレクサスの目指すところだと説明してくれた。なるほど“すっきり”というのはレクサスを表現するのに相応しい言葉だが、それは個性のないことの裏返しではないか。しかし、今回最新のレクサスに試乗してみて、彼らが目標とする「すっきりと奥深い走り」がおぼろげながら見えてきたのでここで報告しよう。

「レクサスの乗り味は、重い軽いでいえばメルセデスとアウディの中間」

それはメルセデスのようにドスッとした重厚感を感じさせる乗り味とも、アウディ特有の浮遊感を伴った軽快さとも微妙に異なる。レクサスの乗り味は、重い軽いでいえばメルセデスとアウディの中間だが、まるで澄み切った清流のような爽やかでクセがない味わい。といってもただ無味無臭なだけではない。フリクション感が軽いのに動き出しからしっとりとした減衰力を生み出すダンパーが料理でいうところの旨み成分として乗り味全体を下支えしているため、薄味ながらもしっかりとダシが効いた一品に仕上がっているのだ。

ただし、その味わいはまだほのかなもので、明確な個性というには物足りない。それでも、今後目指すべき目標が具体化したことは、レクサスが本当のプレミアム・ブランドとして自立するうえで重要な一歩を踏み出したと評価できるだろう。

一方で、ここまで乗り味がしっかり定まってくると、今度はボディ剛性が物足りなく感じられるようになったのは興味深い現象だった。というのも、良質なダンパーを得た足まわりが高級感を演出しているのに、ボディがそれをがっしりと受け止めきれず、部分的に上質さが損なわれているように思われたのだ。

「RC FとGS Fは優れた快適性とともに圧倒的なプレミアム感を見せつけた」

この点、5.0リッター V8エンジンを搭載するRC FとGS Fの2台は入念なボディ強化が施されているため、剛性不足を感じることはなかった。しかも歴代“F”の佳き伝統で、一般道でも滑らかな動き出しのサスペンションが快適な乗り心地をもたらしてくれる。今回“F”以外のレクサスにもとっかえひっかえ試乗してみたが、“ノーマル”レクサスが高速道路の路面のつなぎ目でボディ剛性不足から振動を素早く収束できない弱点を露呈したのに対し、RC FとGS Fは何事もなかったかのようにこれをやり過ごし、優れた快適性とともに圧倒的なプレミアム感を見せつけたのであった。

サーキットステージの袖ヶ浦フォレストレースウェイに舞台を移せば、当然のことながら“F”の優位性はさらに際立つ。自然吸気らしい素直なレスポンスのエンジンがいつでも十分なパワーを生み出してくれる一方、スポーツプラスモードではダンピングが高まってボディの無駄な動きを排除。ドライバーがステアリング操作だけに没頭できる環境を生み出してくれたのである。

「IS200tとGS200tの安定感は2台の“F”に次ぐものだった」

足まわりの完成度だけでいえば直噴2.0リッターターボを積んだIS200tとGS200tの感触もよかった。ソフトな足まわりが一般道での快適性を確保する一方で、強いブレーキを残したまま進入する袖ヶ浦の3コーナーから4コーナーにかけても、ボディをフラットに保つダンピング性能を発揮。その安定感は2台の“F”に次ぐものだったが、肝心のエンジンがサーキットではパワー不足、そして一般道ではレスポンス不足で、総合点では“F”に及ばなかった。

ISとGSの比較では、今回マイナーチェンジを受けてダンパーを一新したISのほうに“レクサス風味”をより強く感じた。とりわけIS350であればパワー感も十分だが、前述したボディの剛性感がプレミアム性をスポイルしている。ハイブリッドのIS300hはバッテリー保護のためにボディ強化がされているはずなのに、走行中に様々なパーツが振動している印象が拭えず、好感を抱けなかった。

というわけで今回はRC FとGS Fの2台に強く惹かれたが、ホイールベースが長いGS Fはタイトコーナーが続く袖ヶ浦ではやや持てあまし気味に感じられた。その点、RC Fであればレスポンスのいいハンドリングで袖ヶ浦を縦横無尽に駆け抜けることができる。実は、富士のような高速サーキットではGS Fのスタビリティの高さが光るのだが、袖ヶ浦とその周辺の一般道に試乗コースを限定するならば、ザ・ベスト・オブ・レクサスの称号はRC Fにこそ相応しい。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【SPECIFICATIONS】

レクサス RC F

ボディサイズ:全長4705 全幅1850 全高1390mm
ホイールベース:2730mm
車両重量:1790kg
エンジン:V型気8筒DOHC
総排気量:4968cc
最高出力:351kW(477ps)/7100rpm
最大トルク:530Nm(54.0kgm)/4800-5600rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前255/35ZR19(9J) 後275/35ZR19(10J)
環境性能(JC08モード)
燃料消費率:8.2km/L
車両本体価格:967万円

※GENROQ 2017年 3月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

関連タグ

こんな記事も読まれています

スズキ「新型スイフト“セダン”」!? 精悍顔「コンパクトセダン」は意外と現実的! 次期型「ディザイア」なCGがスゴイ
スズキ「新型スイフト“セダン”」!? 精悍顔「コンパクトセダン」は意外と現実的! 次期型「ディザイア」なCGがスゴイ
くるまのニュース
「Try, Hyundai EV試乗会 KONA&IONIQ 5」の追加開催決定! 5月11日(土)から4都府県で順次開催
「Try, Hyundai EV試乗会 KONA&IONIQ 5」の追加開催決定! 5月11日(土)から4都府県で順次開催
カー・アンド・ドライバー
スバル伝説のスタイリッシュクーペ「アルシオーネSVX」ってどんなクルマ? 32年前の“右ハンドル仕様”を米国で発見
スバル伝説のスタイリッシュクーペ「アルシオーネSVX」ってどんなクルマ? 32年前の“右ハンドル仕様”を米国で発見
VAGUE
ますます魅力的……ホンダ軽商用バンN-VANが一部改良 Nシリーズ10周年記念車はアウトドアテイスト満点!!!
ますます魅力的……ホンダ軽商用バンN-VANが一部改良 Nシリーズ10周年記念車はアウトドアテイスト満点!!!
ベストカーWeb
トヨタ新型「ランクル250 エアロ仕様」初公開! オシャ&タフな精悍スタイル!? リアスポイラーも設定
トヨタ新型「ランクル250 エアロ仕様」初公開! オシャ&タフな精悍スタイル!? リアスポイラーも設定
くるまのニュース
R34GT-Rはタービン交換に40万円!? 中古で激安の過走行車購入はアリなの? 10年/10万kmのメンテ費用はいくらかかるのか
R34GT-Rはタービン交換に40万円!? 中古で激安の過走行車購入はアリなの? 10年/10万kmのメンテ費用はいくらかかるのか
ベストカーWeb
うおおおお!!!!!!!! やっぱあったじゃん新型マツダ6セダン!!! 待望のFRで高級サルーン爆誕か!?!?
うおおおお!!!!!!!! やっぱあったじゃん新型マツダ6セダン!!! 待望のFRで高級サルーン爆誕か!?!?
ベストカーWeb
スズキ「Vストローム250SX」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
スズキ「Vストローム250SX」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
スズキ「スイフト」が英国で圧倒的支持を受ける理由 顧客満足度8度目の1位、信頼性ランキングも2位という揺るぎない実績
スズキ「スイフト」が英国で圧倒的支持を受ける理由 顧客満足度8度目の1位、信頼性ランキングも2位という揺るぎない実績
Merkmal
異次元のSTIモデルだ! 歴代Sシリーズで唯一SがつかないR205の走りがヤバすぎた!!!
異次元のSTIモデルだ! 歴代Sシリーズで唯一SがつかないR205の走りがヤバすぎた!!!
ベストカーWeb
最高のミニバンキャンパーはこれだ! 4人が寝られるトヨタ ノアがベースのキャンパー
最高のミニバンキャンパーはこれだ! 4人が寝られるトヨタ ノアがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
SFドライバーのテオ・プルシェールがインディカー参戦決定。第2戦ロングビーチでマクラーレンから代役出走へ
SFドライバーのテオ・プルシェールがインディカー参戦決定。第2戦ロングビーチでマクラーレンから代役出走へ
AUTOSPORT web
未来のWRC戦士は誰だ? 若武者激突! モリゾウチャレンジカップ第2戦レポート
未来のWRC戦士は誰だ? 若武者激突! モリゾウチャレンジカップ第2戦レポート
ベストカーWeb
プリウスもない! クラウンセダンにもない! 最近フォグランプのあるクルマ減ってない?
プリウスもない! クラウンセダンにもない! 最近フォグランプのあるクルマ減ってない?
ベストカーWeb
宮田莉朋が2度目のWEC出走へ。第3戦スパでレクサスRC F GT3を代役ドライブ
宮田莉朋が2度目のWEC出走へ。第3戦スパでレクサスRC F GT3を代役ドライブ
AUTOSPORT web
中央道の渋滞対策2ストライク、三振間近! なぜ愚策が繰り返されるのか?[清水草一の道路ニュース]
中央道の渋滞対策2ストライク、三振間近! なぜ愚策が繰り返されるのか?[清水草一の道路ニュース]
ベストカーWeb
大型連休でも大活躍! 6名以上乗れる手頃な価格の中古車4選
大型連休でも大活躍! 6名以上乗れる手頃な価格の中古車4選
グーネット
ハイブリッドなのにスポーツカー⁉️ C 63 Sに新世代のAMGを見た
ハイブリッドなのにスポーツカー⁉️ C 63 Sに新世代のAMGを見た
グーネット

みんなのコメント

2件
  • エセブランドのくせに、価格は欧州ブランド並み
  • ミュンヘンの石畳の走行にて、内装がミシミシ言ってるようでは売れないですね。
    ちなみにLSですらこれ。
    BMWも実はミシミシ音しますが少なめ、対してSクラスは音がしません。
    やはりベンツだなーと思い知らされました  

    僕は欧州車信者なんで、レクサスの記事に敏感に反応して批判するのが好きなんですよ~
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1058.01500.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

310.01350.0万円

中古車を検索
RC Fの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1058.01500.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

310.01350.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村