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2024年問題の対策が「置き配ポイント」って日本政府は正気か!? どう考えてもトラック業界にまるで無知としかいいようがない!

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2024年問題の対策が「置き配ポイント」って日本政府は正気か!? どう考えてもトラック業界にまるで無知としかいいようがない!

 この記事をまとめると

■2024年問題に対して、日本政府は「置き配によるポイント還元」をすることを決定した

規制しないのほうがマシとの声も上がるほど! 「物流業界」を悩ませる2024年問題の難しさ

■2024年問題は宅配ドライバーだけでなく長距離トラックドライバーの不足も問題のひとつ

■労働時間の制限をするよりも、まずは賃上げをするのが先だ

「置き配ポイント還元」だけでは2024年問題は解決しない

 少し前に、政府による物流業界における2024年問題(トラックドライバーの時間外労働に関する規制強化による問題)への緊急対策が決定したと報じられた。その対策が「置き配(荷物を届け先玄関前などに置いていくこと)にすることでのポイント還元」とのこと。通信販売などで商品を購入し、宅配してもらう際に、留守などによる再配達を減らし、ポイント還元により置き配を推奨していこうというものである。

 まずは、この国というか政府のポイント還元好きはかなりのものだなぁと感じてしまった。国民の多くもポイントを貯めることが好きなようで、政策を滞りなく進めようとすると、一般国民へ惜しみなくポイントをばら撒くということがすっかりクセになってしまっているようである。

 2024年問題により、トラックドライバーの労働時間の制限強化が行われることで、今後、運びきれない荷物が多発するのではないかといわれている。宅配トラックドライバーも深刻な働き手不足となっているのだが、物流業界における2024年問題がより深刻となるのは、長距離トラック輸送分野になると聞いたことがある。物流業界に限らず、日本では慢性的な働き手不足が続いており、日本で人手が余っている業界といえば、政治家ぐらいだろうか。

 確かに、個別配達をする宅配ドライバーも深刻な働き手不足となっているが、現状でも長距離トラックドライバーは働き手不足となっており、2024年に労働時間の制限強化となることで、稼げなくなったドライバーが離職するのではないかというのが、そもそもの物流業界の2024年問題だ。

 2024年問題に対しての「置き配ポイント還元対策」というのは、ドライバーの数が現状維持されると仮定したうえで再配達を減らして負担軽減しようというもののように見えるので、そもそも稼げなくなることによる離職という、根底にある問題がおざなりにされているようにも見える。

 長距離トラック輸送についても、船舶や鉄道輸送量を10年で倍増する目標を政府が打ち出していると報じられている。港や駅についた荷物をトラックが運ぶことでドライバーの労働時間短縮になるとしているが、長距離輸送をしていたころの稼ぎの水準が維持されればそれでもいいだろうが、当然輸送距離や拘束時間が減るわけだから稼ぎは減ることになるだろう。稼げなくなれば離職は増えるし、新たに入ってくる人材も期待できない。

 労働時間を減らすのは、現状でも十分ではないトラックドライバーの賃金を底上げしてからの話と考えるべきであり、2024年問題解決のカギを握るのもドライバーの賃金アップではないだろうか。

 労働時間を制限する前に賃金アップをすべきだ

 筆者が若いころには、某大手宅配会社の求人広告は「頑張ればフェラーリが買える」といった内容になっていた。つまり、稼げる仕事ということ。世の中で楽をして稼げる仕事は、前述した政治家といったものがイメージできるが、ほとんど存在しない。タイトな職場であっても稼げる仕事であれば、少なくとも現状よりは状況も良かったかもしれない。

 素直に業界に賃上げを行うように、政治の力で強くプッシュするのが最優先なのに、先に労働時間を減らそうというのは、問題が起きて当たり前のように思える。

 物流業界と同じく2024年問題が深刻化しそうなのが、バスやタクシーといった旅客運送業界。

 あるタクシードライバーは、定年退職を迎え嘱託乗務員となってそれまでの隔日勤務(連続20時間ほどの乗務)から、月曜日から金曜日の間の日勤(毎日乗務する)乗務に切り替えて乗務を続けたというが、すでに勤務体系が2024年問題を意識した乗務時間管理となっており、日々の乗務時間が少なすぎて想定していたレベルの売り上げにとても達しなかったという。その結果、やむなく日曜日も乗務するようになったとのこと。「なんのための労働時間制限強化なのかわからない」とそのドライバーは語っていた。

 日本の長時間労働をより深刻にしているのが、長時間拘束されるのに稼ぎが少ないという見返りの低さ。いまの労働環境を改善したいならば、まず賃金の底上げを行ってから、労働時間をどう短縮していくか考えるのが、流れとしては正しいように思える。

 いきなり労働時間の規制を強化したって、その分、新たな働き手を充足しなければ問題が発生するのは明らかなはず。構内作業では、それでもすでに自動化によってなんとかなっているようだが、物流や旅客輸送業界において自動運転が当たり前になる時代の到来はまだまだ先だし、そもそも日本ではそれに向けたインフラ整備が、アメリカなどに比べれば手つかずに近い状況のように見える。

 現状のまま、労働時間を減らせば稼ぎがさらに減るのは自然の流れ。なぜ賃上げという発想ができないのか。この傾向は物流業界だけでなく、日本のあるある的な話であり、世界的に乖離したガラパゴス的社会問題といってもいいだろう。

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みんなのコメント

31件
  • 2024年問題は通販の配達や宅配便だけのものではないし、この件に限らず、政府の考えることは理想論の押し付けや付け焼き刃的な対応に終始しているとしか思えない。
  • 政治家に限って生鮮・冷凍食品すべて置き配義務化してやれ。

    トラックドライバーは郵便局さんや宅配便屋さんだけじゃないんだからさ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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