メルセデス・ベンツの3列シートSUVの「GLBクラス」に小川フミオが試乗した。印象はいかに?
Gクラス風のデザイン
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メルセデス・ベンツ日本が6月25日に販売開始した「GLBクラス」の最大の特徴は、3列シートをそなえた7人乗りである点だ。2.0リッター直列4気筒エンジンはガソリンとディーゼルの2種類用意されるなかで、今回はパワフルな「GLB250 4MATICスポーツ」に試乗した。
クルマのデザインを評価するとき、流麗な、というのが一般的な肯定語かもしれない。でもことSUVでは、無骨な、と表現したくなるスタイルが、いまの気分に合っているような。
太い横バーを持った大型グリルとヘッドランプで構成されたフロントマスクは迫力があって魅力的である。いっぽう、全体の印象は、内側からデザインしたと思わせるほど、前後長の長いルーフに大きなサイドウィンドウ、さらに垂直にちかく見えるテールゲートなどが印象的だ。機能主義的なデザインで、いってみれば”道具的”。GLBはそこがいい。
じっさい、「Gクラスからインスピレーションを受けたスクエアなエクステリアデザイン」と、メーカーじしんが表現している。メルセデス・ベンツのSUVのラインナップは豊富で、たとえばGLCクーペのようなスタイリッシュなモデルにもそれなりに魅力があるものの、GLBの実直な印象のスタイルは、新鮮に思える。
走りもイイぞ!
3人がけのセカンドシートは前後にスライド可能で、さらにその後ろ、3列目シートには身長168cmまでのひとのためのシートが2つ備わる。
2829mmもあるロングホイールベースを活かしての3列シートSUVで、このジャンルは、このところ米国市場で人気が高い。日本でも、友人家族を乗せる機会があるなんていうひとは、いざというときの備えで、このパッケージに惹かれるようだ。
「Sクラスと同等」という運転支援システムと安全装備も、ファミリーで使うひとは注目すべき点だろう。先行車との車間距離のみならず周囲の交通状況(車両、車線、ガードレールなど)も常に監視する。
歩行者やほかの交通、それに自車を保護するため衝突回避を目的としたささまざまな機能が搭載されている。ブレーキやステアリング・ホイール、さらに不用意な加速を防止するためアクセルペダルにも場合に応じてコンピューターが介入するのだ。
東京都内から東名高速を走り、富士スピードウェイまで往復した。そこで得た私の印象では、GLBは、子どもたちを(おおぜい)乗せるひとか、2人で前席を使う機会が多いというひとに奨めたい。
GLB250 4MATICスポーツは、運転を楽しませてくれるモデルだ。2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンは、165kW(224ps)の最高出力と、350Nmの最大トルクを発生する。ターボチャージャーに加えて、可変バルブタイミング機構「カムトロニック」を持つ。
最大の特徴は、ボディの大きさ、重さをいっさい感じさせないところにある。スタート時のダッシュ力にすぐれ、追い越し加速でも、さらに速度の伸びでも、いっさいかったるさを感じさせない。エンジン内部の摩擦低減対策も徹底的にやったとうたわれるだけあって、回転マナーはスムーズで気持ちよいのだ。
市街地ではドライブモードで「コンフォート」か「スポーツ」を選んだ。私がとくに気に入ったのは後者だ。“いきいき”と、表現したいぐらい、8段オートマチック変速機はトルクがもっとも厚い回転域を、うまく使ってくれる。加減速時にあえてギアチェンジがわかるフィールを作り出しているのも、ドライバーの”やる気”をかきたてる。
足まわりはややスプリングがやわらかいので、慣れないうちは、応答性のいいステアリング・ホイールを左右に振ってしまうと、ボディの動きが意外に大きくなって、同乗者の不興を買うかもしれない。でもすぐ慣れるし、慣れれば、すこしふんわりした動きを気に入るはずだ。と、私は思う。
快適装備は満載だから意外と買い得?
ふたりで乗るのがいい、と、いうのは、このように運転が楽しめるモデルであることがひとつ。もうひとつは、前席の居心地のよさだ。シートも大きく快適。会話型ボイスコマンドも含めたMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザーエクスペリエンス)などによるインフォテインメントシステムが充実。さらにアンビエントライトによる演出がなかなか楽しい。
走行中の室内の静粛性の高さも特筆したい。風が”たたく”ウィンドウ面積もルーフ面積も大きいし、室内は音がこもりやすいはずである筒状の大きな空間であるのに、風切り音も、路面からの透過音も、驚くほど小さい。
GLBのラインナップは、「GLB250 4MATICスポーツ」(696万円)と、「GLB200d」(512万円)。ディーゼルエンジンの後者は前輪駆動になる。
おもしろいなぁ、と、思ったのは、どちらも、オプションがほとんど設定されていないことだ。ニーズが高いものは最初から組み込まれている。カタログで意外に買い得と思っても、じっさいに必要な装備をそろえると200万円ぐらい追加になってびっくり! ということがないのだ。
というわけで、512万円スタートの価格は案外買い得かもしれない。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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日本車でええわ
中国製のベンツも同じです.