実際に公道を走れる超小型EVはコムスのみ
超小型モビリティとして、二人乗りEVに各自動車メーカーは取り組んできた。そして、第46回東京モーターショーでは、トヨタが来年発売する予定として具体的な車両を出展している。
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一方で、これまで実際に公道を走行できる超小型EVは、トヨタ車体が製造するコムスのみといっていい。これは、一人乗りの超小型EVだ。最高時速60kmで、後輪駆動。価格は約80~90万円である。個人向けから、配達などの業務用の仕様も用意されているが、クルマ的なドアがなく、キャンバス地のドアのみとなるので、どちらかといえばバイク感覚に近い乗り方になるだろう。
トヨタがモーターショーに出展したのは、かつてトヨタが販売していたiQのように、あくまでクルマであることを基本としている。ドアがあり、衝突安全にも対応している。二人乗りの仕方は、左右に座るようにしている。こうなると、軽自動車の小型版の感じで、季節を問わず、また雨の日でも濡れずに移動でき、小さくてもクルマという利用の仕方になるだろう。
車両区分に超小型EVを認証する枠組みがない
一方、こうした超小型EVが実証実験だけで販売に至らなかった背景に、国土交通省のなかの車両区分に、超小型EVを認証する枠組みがなかったという現実問題もある。したがって、実証実験などで特例的にナンバーを交付する以外、一般の消費者が商品として購入し、公道を走行することができなかったのである。
そこで、国土交通省では、現在、トヨタの二人乗り超小型EVを公道で走れるようにするため、車両区分の枠組みの検討を行っている。たとえば、現行の軽自動車のさらに小型版としての位置づけとなるのか、超小型EVとして新たな枠組みが設定されるのか、検討中らしい。いずれにしても、トヨタは来年中に販売の意向をもっているし、同時にまた、高齢化社会や地方の過疎化など社会問題を含め、公共交通機関が乏しい地域で超小型EVが将来的に求められていくのは間違いなく、新たなモビリティが来年以降日本で動き出すことになるだろう。
これにあわせて、元日産リーフのチーフデザイナーを務めていた井上眞人さんがイタリアのIAADというデザイン学校で教授を務めながら開発したWeevilも、日本で走れるようになる可能性がある。前が2輪で後輪が2輪の3輪車で、後輪駆動の超小型EVだ。
もちろん、ドアもある。そして、駐車する際には、クルマから降り、車体後部に取り付けられたジョイスティックを使って、2輪車のように狭い隙間に止めることができる。運転感覚はクルマでありながら、止めるときは2輪車のように場所を取らない。
超小型EVでは、そんな新しい発想も生まれてくるのである。
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