パリ・メンズ・ファッションウィークでいちばんオシャレだったのは…… ファレルのボディガード?!

スタイリッシュな自身のボディガードについて、ファレル・ウィリアムスは「彼は別格です」と語る。

6月24日。パリはポンピドゥー・センターの地下、ルイ・ヴィトン 2026春夏メンズ・コレクションのショー開催直前。バックステージでは、一部メディア向けにメンズ クリエイティブ・ディレクターであるファレル・ウィリアムスがプレビューを行っていた。その横では、フットボールのラインバッカーのような体格をした男性が目を光らせていた。

この男性の名は、ダロンティー・エドガートン。元シークレットサービスで、ここ6年間はウィリアムスのパーソナル・ボディガードを務めている。エドガートンは今回のファッションウィークで、誰よりもスタイリッシュな存在として注目を集めた。

ファレルも認めるファッションセンス

この日エドガートンが着用していたのは、ルイ・ヴィトンのモノグラムをあしらった洗練されたトラックジャケットと、ファレルが日本ストリートウェア界の神、NIGOと最近コラボしたダミエ柄のジョーツ。戦略的な着こなしは圧巻だ。

カクタスプラント フリーマーケットの靴下に、ルイ・ヴィトンとティンバーランドのレアなコラボブーツを合わせている。歯にはゴールドのグリル。派手なスタイルだが、ファレル周辺のラグジュアリーなオーラに寄り添うことを思えば、エドガートンのコーディネートはファッションウィークの護衛として適切である。

「毎回、彼は最高です」というファレル。「彼は別格です。本物のセンスがあるんです」

私が最初にエドガートンに注目したのは、ウエスタンがテーマだった、ルイ・ヴィトン 2024-25秋服メンズ・コレクションのショーでのことだった。ショー後のレセプションにて、エントランス付近で周囲に気を配っていた様子から、もちろん彼がセキュリティであることはわかった。が、セキュリティにしてはオシャレすぎた。

彼以外のセキュリティがダークカラーのスーツを着用していた中、エドガートンだけはルイ・ヴィトンの最新コレクションに、ボロタイ、テンガロンハット、カウボーイブーツにフレアのパンツを合わせていたのだ。彼がもう少し細身なら、ランウェイのショーモデルだと思ってもおかしくないだろう。

ファレルのボディガードだけに、スタイリングはファレルがサポートしたものだろうと思ったが、そうではなかった。ファレルいわく「彼は自分でやっている」そうだ。

冷静で礼儀正しい人柄

エドガートンにコメントを求めたところ、丁重にお断りされた。彼を知る人たちいわく、ワシントンD.C.出身の彼は昔からファッション好きだったという。とはいえ、シークレットサービスとしてオバマ大統領の警備を務めていたころは、そのファッションセンスを披露するのは許されていなかった。

どんなときも冷静で礼儀正しい彼の姿勢は、シークレットサービス時代の経験で培われたものであり、彼自身のセンスのよさは常に彼とともにあった。ファレルのボディガードに採用された時は、すでにエドガートンはルイ・ヴィトンの顧客だった。最近では、ディオールのアクセサリーや、レアなファレルとアディダスのコラボスニーカーにも目を向けている。

エドガートンのファッションが、彼の仕事の邪魔になることはない。必要に応じて、より動きやすい、いわゆるボディガードらしい黒Tシャツを身につけるときもあるが、その黒TシャツもデザイナーTシャツなのだ。

ファッションショーという場では、“シンプルな服”の意味もまた変わってくる。1月に開催されたケンゾーのランウェイショーでは、エドガートンはNIGOとナイキのコラボTシャツに、フレアのダッドジーンズを着用していた。ファレルの隣に座る姿は、まるでフロントロウの招待客のようだった。

From: GQ.COM
By Samuel Hine
Translated and adapted by Soko