2024年F1第11戦オーストリアGP。決勝レースではスタート直後からバトルが展開されたが、中団ではハースが先の長いレースを見据えてタイヤマネージメントを選択。一方上位ではライバルのピットインを見ていたオスカー・ピアストリが違反を報告するなど、コース上での争い以外にも戦いがあった。オーストリアGP前半を無線とともに振り返る。
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ルクレール「1周目の接触が僕のレースを台無しにした」追い上げも得点ならず/F1オーストリアGP
オーストリアGP決勝レースはそこかしこで濃密なバトルが繰り広げられ、最後の最後まで目の離せない展開となった。
スタート直後には、10番グリッドのエステバン・オコン(アルピーヌ)がニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)をコース外に追いやり、9番手に上がる。
1周目
ヒュルケンベルグ:オコンがロケットみたいに、イン側に突っ込んできた!
しかしこれは、単なるレーシングインシデントとみなされた。
7周目には、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がセルジオ・ペレス(レッドブル)を抜く際に、2台が接触。ペレスはサイドポッドにダメージを負った。
7周目
ピアストリ:(ペレスが)押し出した。僕がエイペックスでは前にいたのに。
トム・スタラード:しっかり見ていたよ。
14周目
ペレス:ダメージはどうなんだ?
ヒュー・バード:サイドポッドが壊れている。
ハースの2台は、直近のライバルであるアルピーヌとは逆に、第1スティントをかなり短くする作戦に出た。アンダーカットで、前に出る目論見だ。その分、第2スティントのハードタイヤは、しっかりマネージメントしないといけない。しかしすぐ前のヒュルケンベルグを抜きたいケビン・マグヌッセンは、その指示にあからさまな不満を漏らした。
15周目
マーク・スレード(→マグヌッセン):タイヤを持たせるんだ。わかったか。
マグヌッセン:僕だけ? ニコも同じ?
スレイド:2台ともタイヤを持たせる。まだ先は長いからね。
マグヌッセン:xxxx!
一方ヒュルケンベルグは、ふたり一緒ならと、喜んで従った。
ギャリー・ギャノン:ニコ、タイヤを持たせていくぞ。アルピーヌはロングスティントで行く戦略だ。最後にタイヤがキツくなるはず。
ヒュルケンベルグ:ふたり揃って、ということだね?
17番グリッドから、何とか11番手まで上がっていたランス・ストロール(アストンマーティン)。17周目の1コーナー立ち上がりでバランスを乱したが、まったく予測不能の挙動だったようだ。
17周目
ストロール:コーナー出口の、あのスナップは何だったんだ? あんな怖い目にあったのは初めてだ!
21周目のターン3では、周冠宇(キック・ザウバー)がフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)に後ろから接触された。
周:あのXX、何やってる!! ダメージを受けた。ぶつかって来た。どれだけスペースを開けたら気が済むんだ!
これでアロンソは、10秒ペナルティを科されてしまう。
22周目
ピアストリ:ハミルトンがピット進入で、白線を跨いだと思う。
ピットに入ろうとしたルイス・ハミルトン(メルセデス)が、派手に4輪スライド。すぐ後ろのピアストリが、しっかり目撃していた。ハミルトンには5秒ペナルティの裁定が出た。
ピーター・ボニントン:5秒ペナルティを受けた。でも落ち着いていこう。
ハミルトン:申し訳なかった。
ボニントン:大丈夫だ。
一方、ジョージ・ラッセル(メルセデス)は3番手を維持。しかし首位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)との差は9秒、2番手ランド・ノリス(マクラーレン)との差も3秒まで広がっていた。
トト・ウォルフ代表(→ラッセル):まだノリスをやっつけられるぞ。
突然、無線に割り込んできたウォルフ代表。3秒程度なら挽回の可能性があると、励ましたかったのだろう。しかしペースはマクラーレンの方が優れ、差はジリジリと広がるばかりだった。
しかしシャルル・ルクレール(フェラーリ)に比べれば、ずっとマシだった。スタート直後のピアストリとの接触で緊急ピットインを強いられ、19番手に転落。30周目でも18番手と、その後もずっとペースが伸びなかった。しかし担当エンジニアのブライアン・ボッツィは、ルクレールを励まし続けた。
ボッツィ(ルクレールに):いい走りだ。このまま行けば、セフティカーなしでもポイントを獲れるぞ。
最終的には11位まで上がったのだから、まったく根拠のない励ましではなかったか。
この辺りから、アルピーヌのふたりがまたも揉め始めた。11番手のアロンソを抜きあぐねるオコンに、すぐ後ろにつけたピエール・ガスリーがプレッシャーをかけ始めた。
34周目
ガスリー:(オコンは)さっさとフェルナンドを抜かないと。タイムを失うばかりだ。
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F1第11戦無線レビュー(2)に続く
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