2019年4月、東京地区のメーカー資本店の4系列店販社が統合し、「トヨタモビリティ東京」が発足し、全国に先駆けて全店全トヨタ車併売がスタート。そして、2020年5月8日からは、これを全国規模に拡大された。
東京地区と同じように販社統合し「トヨタモビリティ」を発足させたのは当面神奈川地区だけ。他の地区は4系列店販社のまま、全販社全トヨタ車の併売態勢でスタートしている。
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各地域は2~3の有力地場資本が、4系列店販社を設立させているから企業統合をすぐに出来ない事情があるためだ。
つまり従来通りのトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の販社を継続させて、全トヨタ車の併売に踏み切っている地域がほとんどなのである。
これとは別にトヨタは2025年までに2017年時点で約60車種あった国内扱いモデルの車種数を30車種程度まで半分に削減する方針を打ち出している。
国内の新車市場が低成長下にあるなかで「需要規模は年間500万台で推移することが予想される。こうしたなかでトヨタは150万台程度の販売にとどまる時代が到来する。このためには生産販売する車種を半分の30車種程度に削減する必要がある」との決定をしたわけである。
では、具体的にどのトヨタ車が消滅、あるいは統合されることになるのか? 以下、遠藤徹氏が解説する。
文:遠藤徹
写真:TOYOTA、編集部
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人気ミニバンのアルファード&ノア兄弟は整理統合へ
人気上級ミニバンのアルファード(左)/ヴェルファイア(右)。現在の販売はアルファード優勢となっている
トヨタは、すでに具体的な(車種の)削減を行っており、2019年末にはマークXとエスティマが生産中止となった。
ただ、5月8日からの全トヨタ車併売時以降は、まだ廃止モデルは存在せず、従来モデルをそのまま全店併売に移行している。今後予想される車種削減はボディパネル&エンジンなど基本コンポーネントを共用した兄弟車の1本化であり、2021年あたりまでに順次実施される方向にある。
現在、兄弟車としてはアルファード/ヴェルファイア、ノア/ヴォクシー/エスクァイア、プレミオ/アリオン、ルーミー/タンク、ポルテ/スペイドが存在する。
ノア3兄弟は2021年4月頃、アルファード2兄弟は同年12月頃にフルモデルチェンジする方向で次期型の開発を進めている。その時点でそれぞれ「アルファード」と「ノア」に1本化する可能性が強い。
2021年にもモデルチェンジが見込まれる新型ノア。ヴォクシー/エスクァイアはグレード名として存続の見通しも(予想CG)
廃止するモデルは完全に姿を消すのではなく、デザイン的な特徴、コンセプトを統合する継続モデルのひとつのグレードとして引き継ぐ見込みとなっている。
具体的には「ヴェルファイア」は、若者ユーザー向けの個性的なフロントマスク、「ヴォクシー」は走りの良さを盛り込んだエアロバージョン、「エスクァイア」は上級志向のハイクオリティグレードといった仕立て方であるから、この考え方を次期アルファード、ノアのひとつのグレードに盛り込むものと思われる。
タンクやポルテは「消滅」へ! プレミオも統廃合にも噂
プチバンとして人気のルーミー/タンク。写真はカスタム仕様のタンク
プレミオ/アリオンは、両モデルとも廃止になるか、どちらかのモデルに統合、1本化される、あるいはまったく別の新型車に切り替えられるなどの様々の情報が流れている。新型車に引き継がれるとすれば、5ナンバーサイズのコンパクトセダンであろう。
カローラが2019年9月に実施したフルモデルチェンジで3ナンバーサイズに拡大したので、コンパクトクラスがオープンポイントになっている。
カローラアクシオ、プレミオ/アリオンの代わりに新型コンパクトセダンを投入すれば、すっきりとした新世代のフルラインアップが確立できるとの考え方も成り立つ。
コロナ、コロナプレミオを経て今に至っているプレミオ/アリオン。写真はアリオンだが、両車ともに廃止、あるいは別車種へ統合の可能性も
ルーミー/タンクは、ダイハツからOEM供給を受けているハイトワゴンである。これまで「ルーミー」はトヨタ店、カローラ店、「タンク」はトヨペット店、ネッツ店の各併売としていたが、全販社併売になったことで1本化する必要が生じて来た。
これまではルーミーの方が販売台数は多かったので、こちらに統合するのが自然とであろう。
ポルテ/スペイドは、ルーミー兄弟と同じハイトワゴンだが、助手席側がスライド開閉ドアという変則的なレイアウトを採用。ルーミー兄弟の登場で存在価値はなくなっているので、両モデルとも2020年中に廃止の見通しとなっている。
これら兄弟モデルの1本化で削減する車種数は6車種か8車種となるが、今後新しく加わるモデルもあるので、あと数車種減らす必要がある。
その他モデル廃止の可能性があるトヨタ車は?
7人乗り仕様もあるプリウスα。一時は台数を稼いだ人気車だったが、モデル末期となり廃止が濃厚に
この他、今後モデル廃止が検討されそうなのは「プリウスα」、「カローラフィールダー/アクシオ」、「パッソ」、「アクア」などが上げられる。
プリウスαは、プリウスのステーションワゴンバージョンで、モデルが古いせいもありほとんど売れない状況で、廃止が濃厚になっている。
カローラフィールダー&アクシオは、5ナンバーサイズであり法人向けとして1.5Lモデルのみが継続生産となっている。2019年9月時点で1年間の限定生産としていたので、予定通りとすれば2020年8月か9月にモデル廃止となる。
パッソは、ダイハツからOEM供給を受けているリッターカーだが、ヤリスが全系列店併売となったことで被るので、モデル廃止の検討候補となっている。
アクアも同様でヤリスの1.5Lハイブリッドと競合するので、存在価値がなくなっている。
ただ、パッソとアクアについては2021年の投入に向けて開発プロジェクトが動いているとの情報もあり、モデル廃止は確定になってはいないともいえる状況にある。
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