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贅を尽くした“S”の世界。走りも装備も価格も最高峰クラス/メルセデス・ベンツEQS SUV試乗

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贅を尽くした“S”の世界。走りも装備も価格も最高峰クラス/メルセデス・ベンツEQS SUV試乗

 モータースポーツや自動車のテクノロジー分野に精通するジャーナリスト、世良耕太がメルセデス・ベンツEQS SUVを試乗。上質で贅沢な空間と最新装備、そして高度な静粛性とともに力強く極上の走行性を実現した、新世代ラグジュアリーSUVの魅力を深掘りする。

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■メルセデスの本気が詰まった最高峰のEVモデル

メルセデス・ベンツ、航続距離593kmを誇る旗艦『EQS SUV』を導入。外部給電にも利用可能に

 メルセデス・ベンツ『EQS SUV』は電気自動車(BEV)のラグジュアリーSUVだ。2022年に国内で販売が始まった『EQS』が、メルセデス・ベンツの電気自動車専用プラットフォーム採用第1弾。第2弾は少し遅れて導入された『EQE』で、EQS SUVは第3弾ということになる。車名が示すように、EQSのSUV版の位置づけだ。

 BEV専用プラットフォームとすることで、エンジンとトランスミッションの搭載を前提とした旧来の搭載要件から解放され、BEVの特徴を生かしたパッケージングが可能になった。エンジンとトランスミッションを搭載する場合はフロントに相応の空間が必要だが、モーターははるかに小さいので、エンジンルームに相当するスペースをコンパクトにすることができる。

 『EQS』はその特徴を存分に生かし、フロントのコンパートメント(EQS 450+はリヤにのみモーターを搭載するので、フロントの空間をモータールームとも呼べない)を小さくした。小さくしたフロントのコンパートメントに合わせて、居住スペースであるキャビンを前進させ、フロントからリヤにかけてをアーチ状のラインで結んだ。

 こうして『EQS』は、BEV専用プラットフォームを採用したからこそ可能になった独特のシルエットを実現することができた。開口部を持たないブラックパネルを採用したフロントマスクと相まって、『EQS』は目を引く個性的なルックスを手に入れている。

 『EQS SUV』はSUVらしく背を高くし(『EQS』より205mm高い1705mm)、3列目シートを加えた。そのため、『EQS』の特徴であるキャビンフォワードのシルエットは失ったが、ブラックパネルは健在で、見る人が見ればBEVであることがひと目でわかる。ブラックパネルの中央には大きなスリーポインテッドスターが収まっており、メルセデス・ベンツであることも一目瞭然だ。

 3列目のスペースは1列目や2列目に比べるととくに足元が窮屈で、乗る人を選ぶ。だが、補助席的な扱いではない証拠に、専用のエアコン吹き出し口は付いているし、シートヒーターも装備。カップホルダーはもちろんのこと、USBポート(タイプC)も用意されている。快適性・利便性への配慮が行き届いているのが特徴だ。

 2列目シートの肩口にあるスイッチを操作すると1列目と2列目が連動して前方にスライドし、3列目へのアクセスを助けるイージーエントリー機能が付いており、乗り降りをスマートに行うことができる。

 5135mmの全長と短いフロントコンパートメントのおかげだろう。3列目シートを備えているのに、3列目を使った状態でも充分に実用的な荷室スペースが残る。カタログスペックを記せば容積は195リッターだ。3列目シートを倒すと、荷室スペースは最大800リッターに拡大する。奥に積み込んだ荷物を取り出すのに苦労しそうなほど、奥行きの深いスペースが現れる。

 試乗車の『EQS 450 4MATIC SUV』はオプション設定のデジタルインテリアパッケージ(121万円)を装着しており、メルセデス・ベンツのラグジュアリーBEVがウリとするMBUXハイパースクリーンが備わる。ステアリングホイールの奥に12.3インチの液晶ディスプレイが収まり、センターは17.7インチの有機ELディスプレイ、助手席側には12.3インチの有機ELディスプレイがあって、これらが1枚のガラスで覆われている。

 助手席ディスプレイは走行中も利用可能だ。EQSでは助手席の乗員がBluetoothヘッドフォンを使用し、車両のシステムと連携させた場合にディスプレイを起動させることが可能だった。『EQS SUV』では仕様変更となり、車両が助手席への乗車を検知すると助手席ディスプレイを起動させることが可能になった(Bluetoothヘッドフォンとの連携は不要)。助手席ディスプレイが起動している際は車内のカメラがドライバーの目線をモニターしており、ドライバーが助手席ディスプレイを注視していると判断した場合は助手席ディスプレイをシャットダウンする。

 『EQS 450 4MATIC SUV』は永久磁石同期モーターをフロントとリヤに搭載。2基のモーターを合わせたシステム最高出力は265kW(360ps)、システム最大トルクは800Nmだ。床下には総電力量107.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しており、WLTCモードによる航続可能距離は593kmとなる。充電は6kWまでの普通充電と150kWまでの急速充電に対応。日本仕様の特別な機能として、住宅など、車外へ電力を供給できるV2H機能を搭載しているのが特徴だ。■走行時の圧倒的な静粛性の高さに注目

 車重は2900kg。メルセデス・ベンツ『B180』の車重が1440kgなので、ほぼ2台分の重さということになる。そう考えると、いや、別に考えなくてもいいのだが、『EQS 450 4MATIC SUV』は重たそうな素振りは一切見せず、ドライバーのアクセル操作に応じて軽快に反応する。これこそ電気で動くモーターの威力で、反応がいい。急勾配での加速など、さまざまなシーンで走りを確かめたが、動力性能に関しては頼もしさを感じるばかりで、ストレスを感じるシーンはなかった。メルセデス・ベンツのラインアップの中で最上級を示す“S”を車名に含むだけあり、走行中はずっと、圧倒的に静かである。

 回生ブレーキによる減速度はステアリング裏のパドルを引くことで3段階に強弱を切り替えることが可能。パドル操作でD Autoを選択すると状況に応じて回生ブレーキ力を最適に調節する。前方が開けている場合は、アクセルペダルをオフにしても大きな減速度は発生させない。

 いっぽう、先行車を検知すると、必要に応じて自動的に回生ブレーキを介入させ、先行車との車間距離を維持する。先行車が停止すれば、自車もシステムの判断で止まる。実質的に追従走行の機能をオンにしたようなものだ。

 フロントとリヤに搭載するモーターの駆動力は走行状況に応じて連続可変で緻密に制御しており、ドライバーを含め、乗員の知らないところで前後の配分を最適化。エネルギー効率を高めたり(航続距離を少しでも延ばすため)、旋回性を高めたり、トラクションを高めたりしている。運転していて「気持ちいいなぁ」と感じたとしたら、そのうちの一定の割合は緻密な前後のトルク配分制御のおかげだ。

 前後モーターのトルク配分制御は恩恵を体感するのは難しいが、後輪を最大10度逆相に切るリア・アクスルステアリングは恩恵を体感しやすい。『EQS 450 4MATIC SUV』の最小回転半径は、ホイールベースが3210mmもあるのに5.1mでしかない。『EQS』の内燃エンジン版ともいえる3列目シートを備えた『GLS』(ホイールベース3135mm)の最小回転半径が5.8mだと記せば、取り回しの良さが実感できるだろうか。ちなみに、車重で引き合いに出したB180(ホイールベース2730mm)の最小回転半径は5.0mだ。

 走行中にステアリングを切り込んだ際は車速に応じてリア・アクスルステアリングを逆相(低中速)または同相(高速)に制御しているはずで、それが、巨体なのに意のままに動いてドライバーに快感を与える陰の功労者として機能している。寸法や重量の数字が示すように、『EQS 450 4MATIC SUV』は大きく重たいクルマには違いないが、そうは感じさせないところが技術の力だ。

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