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【クラウンやLSよりも……】トヨタ・ミライのコスパ バーゲンプライスといえるワケ

掲載 更新 8
【クラウンやLSよりも……】トヨタ・ミライのコスパ バーゲンプライスといえるワケ

全面刷新で2世代目となったミライ

text:Takahiro Kudo(工藤貴宏)

【画像】レクサスLS、クラウンがライバル?【ミライと比較する】 全220枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

トヨタ・ミライがフルモデルチェンジ。2世代目へ進化した。

トヨタ・ミライは水素をエネルギー源として走るクルマ。ただし、水素をそのままエンジンで燃やすのではなく、化学反応で電気を取り出し、その電気でモーターをまわして動力とする。だから加速フィーリングは電気自動車そのものだ。

世界をみても、量産され一般の人でも購入(リース販売も含む)できる燃料電池車は世界で4車種しか存在しない。ミライのほかホンダ・クラリティ・ヒューエル・セル、メルセデス・ベンツGLC Fセル、そしてヒュンダイ・ネクソである。

なかでもミライは2014年に世界ではじめて「誰でも購入できる量産燃料電池車」として発売された、市販燃料電池車のパイオニアといっていいだろう。

そんなミライのフルモデルチェンジは、まさに全面刷新だ。新型において初代と共通するのは、燃料電池車であることのほかには「セダンである」ということくらい。

プラットフォームや燃料電池ユニットが新しくなったほか、ボディサイズは全長が従来比でプラス85mmの4975mm、全幅もプラス70mmの1885mmと一回り拡大。

駆動方式も前輪駆動から後輪駆動となり、車格的にはクラスが1つあがった。

基本構造はレクサスLSに近い?

驚いたのは、価格だ。

ボトムグレードの「G」は710万円。最上級仕様の「Zエグゼクティブ・パッケージ」で805万円という価格は、驚異的なバーゲンプライスである。

参考までに、日本での販売価格はクラリティ・ヒューエル・セルが783万6400円。GLC Fセルが1050万円だ(ネクソは日本向けの正規販売なし)。

単純にスターティング・プライスだけをみてもミライは「安い」といえるのだが、もちろん理由はそれだけではない。

まず、新型ミライは基本骨格が贅沢だ。

「GA-L」と呼ばれるトヨタの後輪駆動車用プラットフォームを使うが、同プラットフォームには「ナロー版」と「ワイド版」がある。前者はクラウン、後者はレクサスLSやLCに使われているのだが、ミライは後者のワイド版を選んでいるのだ。

理由は大きな水素タンクを搭載するため(もしナロー版を使うと水素搭載量が現状の3分の2ほどになる)という機械的なアプローチではあるのだが、つまるところ基本構造はレクサスLSに近い。

ワイド版のほうがコストがかかっていて、開発責任者によると「より潜在能力が高い」という。サスペンションもLS向けをベースとした構成だ。つまり新型ミライは車体が贅沢な作りなのである。

もちろん、肝となる燃料電池ユニットも進化。第2世代のシステムは、水素から電気を取り出すユニットで先代比19ps、駆動用モーターは28psの出力アップを施した。

そのうえで、効率改善(約10%の燃費向上)とタンク貯蔵能力の向上により従来は約650kmだった航続距離が最大850kmまで伸び、東京~大阪間を余裕をもって走れるようになるなど進化が著しい。アクセルの操作に対するレスポンスがアップするなど、ドライバビリティも高まっている。

さらに装備水準も引き上げられた。

たとえば先代ではACCの停止保持機能もなかった先進運転支援システムは、新型では停止保持はもちろん、雨の日など白線が認識しづらい状況でもディープラーニングで車線維持を支援する機能やドライバーに異常が生じた時は自動停車したうえで救命要請まで支援する機構まで標準採用。

トヨタ最高水準のシステムが搭載されているのだ(さらに2021年内にはトヨタ・ブランド初のハンズオフ機能も追加設定される予定)。

タイヤ&ホイールは19インチもしくは20インチと高価なもの(先代は17インチ)だし、先代はでオプション設定だったナビも、新型では全車に12.3インチのタッチディスプレイ(スマホアプリのナビを利用できる)を標準搭載。加えて上位グレードは車載ナビも採用している。

つまり車体の基本構造から燃料電池ユニット、そして安全機能まで含めた装備類まで、新型は従来モデルよりもすべてがクラスアップしているのだ。

先代モデルと比較しても……

それを理解したうえで、あらためて新型の価格を先代と比較してみると、もはや驚くしかない。

先代の最終モデルは740万9600円だった。一方で新型のボトムグレードである「G」は710万円。なんと、値下げしているのである。

その背景に燃料電池ユニットのコストダウンがあるとはいえ、先代に比べると新型はバーゲンプライス以外の何物でもない。新型ミライは、中身を考えると激安なのだ。

さらに、燃料電池車には購入時に国からの補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)が支給され、新型ミライの場合は117万3000円。それを考慮した実質価格は「G」で592万7000円となる。

その金額がどれほどのものか?

ミライと同じプラットフォームを使うレクサスLSは、排気量3.5LのV6ターボエンジンを積むボトムグレードの「LS 500 Iパッケージ」が1073万円。

比べるまでもないが、それはミライの最上級グレードとなる「Zエグゼクティブ・パッケージ」の実質687万7000円(車両本体価格805万円から補助金117万3000円を差し引いた額)よりも大幅に高い。

「トヨタ」と「レクサス」というブランドの違いがあるとはいえ、燃料電池車が同じ車格のガソリン車よりも安いというのは衝撃的だ。

そのうえ、両車を比較するとヘッドレストまで電動で前に倒せる助手席を備え、後席センターアームレストに空調やオーディオなどのコントロールパネルを組み込むなど装備水準はミライ「Zエグゼクティブ・パッケージ」のほうが上ともいえる。

コスパ良し&走りも魅力

トヨタを代表するセダンの「クラウン」と比べたらどうか。

クラウンの後輪駆動車の価格帯は、2.0Lの4気筒ターボエンジンを積むガソリン車の価格帯が509万9000円~575万9000円。

2.5Lの4気筒もしくは3.5Lの6気筒エンジンにモーターを組み合わせるハイブリッドの価格は489万9000円から739万3000円だ。

つまり、ミライはクラウンのミドルグレードと同程度で、クラウンの上級グレードよりは安い価格帯。繰り返すが、車格的にはミライのほうが上である。

こうしてレクサスLSやクラウンと比べてみると、新型ミライは先代に比べて性能や車格をアップしつつ、コストパフォーマンスを大きく高めていることがよくわかる。

いまや時代は、価格まで含めて「クラウンを選ぶか、それともミライを選ぶか」というところまで来ているのだ。

もちろん、ミライは水素の充填を必要とする燃料電池車だから、購入のハードルが高いのは否めない。

個人ユーザーであれば、自宅の近くに水素ステーションがないと購入に踏み切れないだろう。

しかし、その条件を満たすのであれば、「未来のクルマ」を自分の手に収めることは、クルマ好きにとって大きな喜びとなるに違いない。

最後に、運転好きにお知らせしたいのは、新型ミライのドライバビリティは素晴らしくとても魅力的ということである。

サーキットで走らせたミライは、大柄で重い車体のセダンとは思えないほど生き生きと走り、ドライバーを楽しませてくれた。

味わったことのない多くの人は意外に感じると思うが、走りを堪能セダンとしても、ミライは魅力に満ち溢れている。

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みんなのコメント

8件
  • 夜中でもやってる水素ステーションどこに有るや
  • 同時に水素ステーションのインフラ整備もしないと
    結果、技術的宣伝車に過ぎないでしょう。
    にしても、現代の寝糞って...
    絶対日本じゃ売れんでしょう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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