国内軽自動車など、比較的小さなクルマで勝負してきたスズキ。つい先日にはクロスオーバーSUVスタイルの「スペーシア ギア」の発表などもあり、益々クルマ作りに磨きがかかってきていると強く感じる昨今。そんなスズキだが、今後の小型車市場において彼らが目指す次なるステップとはいったい何だろうか。今記事で分析してみることにした。
※本稿は2024年8月のものです
文:佃 義夫、国沢光宏、西村直人/写真:ベストカー編集部、スズキ ほか
初出:『ベストカー』2024年9月26日号
まだか[ジムニー 5ドア]の日本導入!! [スズキ]の将来に期待しかない件
【画像ギャラリー】これまでのスズキが育んだ大きな財産とこれからのスズキが創り出す未来への財産(20枚)
■現在の方針から見たスズキの5年後の経営状況
スズキの現社長である鈴木俊宏氏。今のところ鈴木氏のかじ取りは高評価といえ、5年後もさらに躍進するであろう
スズキは、「2030年成長技術戦略」を発表し、軽自動車とA・Bセグメントの小型車戦略で「スズキらしさとその存在感」を強めることで2030年代以降の生き残りへの決意を披露した。
その技術戦略は、車体の100kg軽量化への挑戦・バッテリーリーン(バッテリーが必要最小限)なBEV/HEVの開発・高効率エンジンとカーボンニュートラル(CN)燃料への対応・SDVライト(ちょうどいいSDV)の開発・リサイクルしやすい易分解設計への挑戦の5領域で、スズキらしい差別化を図っていくという。
スズキと言えば「浜松の中小企業のおやじ」を自称したカリスマ経営者の鈴木修氏が40年以上率いて、国内軽自動車を高め、インド・ハンガリー進出と独自の海外戦略を固めた。
その鈴木修氏も2021年6月に代表取締役会長を辞し、経営第一線から退いた。今やスズキを率いるのは、2015年に社長に就任した長男の俊宏氏で、鈴木俊宏スズキ体制も10年目に入った。「鈴木修流経営」を身近で学びながらカリスマ経営からチームスズキへ移行し業績も好調だ。
2030年代には中国を凌ぐであろうインドで圧倒的な生産・販売体制を築くスズキの飛躍が期待される。
(佃 義夫 佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆)
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■面白そうな市販車が出てくる期待値
スクープ班でも情報を掴むのに難儀するスズキ。将来的にシティコミューターサイズのBEVが出てきたら面白い
スズキの予想は難しい。というのも他の自動車メーカーと違い、情報がまったく出てこないからだ。しかもメイン市場をインドに絞っている。
スイフトスポーツのように安価で楽しいクルマを出してきたと思えば、アルトワークスをやめてしまうなど、日本での商品戦略はミステリーです。間もなく登場するフロンクスも事前情報なかった。
ということで文頭に戻る。スズキが面白いクルマを出すかどうかの情報なし。順当に考えると、クルマ好きとしちゃスイフトスポーツとアルトワークス、ジムニーですね。
この3モデルはスズキとしても残しておきたいようなので、次期型が存在すると考えたい。
また、先日リリースされた車重500kg台の軽自動車も開発中。軽い=安価ということになるだろうから、フレンドリーなクルマになると思う。
いずれにしろ直近の2~3年は、エンジン車ベースになることも間違いないだろう。5年スパンということを考えると個人的に期待したいのは初代アルトのような思い切り安価な電気自動車だ。ビックリするくらいの価格を付けた軽電気自動車が出てきたら面白い。
●期待値:60/100 スイスポ、アルトワークス、ジムニーを残しつつ、いずれ来る小型BEVに期待したい。
(国沢光宏)
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■将来的に気になる! 5年後に登場しそうな現在開発中の新技術
スズキが貫いてきた美学が今こそ光る時。5年後、さらに成長しているに違いない
2034年までを視野に入れた技術戦略を発表したスズキ。最たるは「小・少・軽・短・美」の進化。まずは次世代アルトで安全性能を高めながら車両重量500kg台(3代目同等)を実現。SDV化もスズキ流を徹底、より安価に。LCA換算でもっとも高効率な乗り物メーカーへ。
(西村直人)
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