たかが消しゴム、されどカー消し! 驚異の2億個ヒットの理由
1970年代後半のスーパーカーブームとともに爆発的な人気を集めたカプセルトイ「カー消し」。その誕生から進化、社会現象に至るまでを振り返ります。
【画像】「え…」あの頃、夢中になった“カー消し”たち! スーパーカー消しゴムの進化と懐かしの名作を写真で見る(16枚)
長く続いたように思えるスーパーカーブームですが、その全盛期は1976年から1977年までのわずか2年間でした。女性デュオ「ピンク・レディー」の人気絶頂期が1976年から1978年の3年間だったことを考えると、それよりも短かったのです。
その短期間に、子どもたちの身の回りにあるあらゆるモノがスーパーカー関連グッズへと変貌していきました。そんなムーブメントの中、玩具メーカーのコスモスは、駄菓子屋の店頭に設置された手動式のカプセルトイ自動販売機で、1回20円という価格でスーパーカーをモチーフにしたクルマ型の消しゴムを販売しました。これこそが「カー消し」でした。
何が入っているかわからないカプセルやブラインド・パッケージを開けてみるまで、中身の確認はできませんでした。実車の世界で不人気だったモデルが再現されたカー消し(いわゆる“ハズレ・アイテム”)を引き当てた少年たちは、駄菓子屋の前でひどく落ち込んでいたものです……。
漫画『サーキットの狼』が爆発的な人気を博していた影響もあり、スーパーカーに心を奪われていた男子小学生の間でカー消しは瞬く間に超人気商品となりました。価格の安さも追い風となり、社会現象といえるほどの一大ブームに発展していきました。
玩具メーカーのマルカは、5個から6個のカー消しに加えて発射台をセットにしたブラインド・パッケージ商品を販売し、大ヒットを記録しました。マルカだけでおよそ2億個のカー消しを販売したとされ、当時は「社員の給料袋が厚すぎて自立した」という都市伝説すら語られていたほどです。
カー消しの進化を振り返ると、初期モノ、精緻モノ、ペったんこモノといった変遷が見られます。初期モノは3つに分類され、『サーキットの狼』に登場する車両を一通り網羅していたものの、実車とはまったく似ていなかった“粗彫りシリーズ”、少しマシになったけれど「ナンダ、コレ?」とツッコミたくなる中期型、そしてようやくスーパーカーらしいカッコよさを手にした後期型という流れがありました。
教室がサーキットに! 魔改造とBOXYで競った少年たちの“聖戦”
この「初期モノ/後期型」のあとに登場し、カー消しブームを本格化させたのが、いわゆる“精緻モノ”と呼ばれるシリーズでした。
この精緻モノは「スーパーリアリズムシリーズ」とも呼ばれており、初期モノでの反省を踏まえたのかは定かではありませんが、スーパーカーらしい美しいプロポーションがしっかりと再現されていました。ポルシェやBMWを除けば、イタリア車をメインに展開され、子どもたちの間で一気に定番化していったのです。
その精緻モノが広く一般化したあと、さらなる進化を遂げたのが「ペったんこモノ(=フラットボディシリーズ)」です。前身の「精緻モノ/スーパーリアリズムシリーズ」でスーパーカーブームを代表するモデルが出揃ったこともあり、プロトタイプやショーモデルなど、よりマニアックな車種が題材に選ばれていきました。
このシリーズでは、透明素材を使ったカー消しも市民権を得て、通常バージョンと同じように著しく発展していきました。透明カー消しは材質が少しやわらかく、机上でのグリップ力が強かったため、速く走らせるための個性的な改造も増えていったのです。
その後、カー消しのモチーフは国産車、デコトラ、働くクルマ、戦車などにも広がり、全体像を誰も把握できないような状況になっていきました。
カー消しはスーパーカーをモチーフにしたクルマ型の消しゴムですが、成形ディテールを優先した結果、字を消すという本来の性能は犠牲になっていました。そういった意味では、カー消しはゴム製のミニカーだったのです。
ちなみに、1957年頃から塩化ビニル樹脂を主材料とするプラスチック字消しが文房具の主流になっていました。一般的なプラスチック消しゴムは、柔軟性を出すためにフタル酸系可塑剤を加えていますが、カー消しでは可塑剤を減らして強度を上げていたのです。実際に字を消せるカー消しも後年リリースされており、こちらは駄菓子屋ではなく、主に文房具店で販売されていました。
遊び方についても触れておくと、三菱鉛筆のボールペン、BOXYを使ったカー消し遊びが基本となっていました。主な遊び方は2つあり、土俵に見立てた机の上から相手のカー消しを押し出したら勝ちになる「カー消し相撲」と、決められたコースを走らせ、先にゴールしたほうが勝ちになる「カー消しレース」です。
さらに、BOXYのワンプッシュで誰が一番遠くまでカー消しを飛ばせるか?というシンプルな遊び方も存在していました。当時1本100円で販売されていたBOXYが子どもたちの間で定番となったのは、卓上に置いたときの安定感が抜群だったからです。
カー消しを弾き飛ばす力を強めるために、内部のバネを取り出し、グゥ~っと伸ばしてから戻すチューニングが盛んに行なわれていました。バネが細く、伸ばし過ぎてしまうとスプリングとしての機能を失ってしまうため、失敗&後悔する子どもたちが続出したのです。
バネを2本入れるチューニングも行なわれていましたが、実戦経験が豊富、つまり各部が擦り減っているBOXYにバネを2本入れると、縮められたスプリングの力を解放するオレンジ色のボタン部が壊れてしまうこともありました。この場面でも、往時の子どもたちは大いに後悔したのです。
カー消しは消しゴム、つまり文房具の一種という言い訳が通用したため、小学校の教室がカー消し遊びのメインステージとなっていました。成績が悪くても、スポーツが苦手でも、カー消し遊びで強ければクラスのヒーローになれたのです。
ヒーローになるために、子どもたちはBOXYの魔改造だけでなく、カー消し相撲やカー消しレースに出場させる愛車にも、勝つためのカスタマイズを当たり前のように施していました。
携帯電話やインターネットが存在しなかった時代にもかかわらず、全国各地で似たような改造が施されていたのは、駄菓子屋を基点としたクチコミ・ネットワークがフルに機能していたからにほかなりません。缶蹴り、ケイドロ、牛乳瓶のフタ集めと同じように完全なるアナログでしたが、創意工夫したことによる成果をすぐさま実感できる、かけがえのない楽しい時代でした。
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