日本に上陸した新型フォルクスワーゲン「ID. Buzz」のうち、ロングホイールベースバージョンの「Pro Long Wheelbase」に乗った! 『GQ JAPAN』ライフスタイルエディターのイナガキがリポートする。
新型フォルクスワーゲン ID. Buzz Pro Long Wheelbaseの特徴
人を笑顔にするミニバン──新型フォルクスワーゲン ID. Buzz Pro Long Wheelbase試乗記
1.概要2.アイコニックなデザイン3.実用的なインテリア1.概要
フォルクスワーゲンの原点であり、自由と独立、そしてエモーショナルなカルチャーの象徴として世界中で愛されてきたのが「タイプ2」、通称ワーゲンバスだ。
タイプ2が有する豊かなヘリテージを継承しつつ、現代のモビリティの在り方を問うフル電動ミニバン「ID. Buzz(アイディー バズ)」が日本市場にやってきた。
今回、ステアリングを握ったのは、ホイールベースを延長し、3列シート7人乗り仕様とした最上級グレード「ID. Buzz Pro Long Wheelbase(プロ ロングホイールベース)」。価格は¥9,979,000と、フォルクスワーゲンの日本におけるラインナップとしてはかなり高価だが、このクルマでしか得られない魅力が存分にあった。
2.アイコニックなデザイン
実車を前にしてまず圧倒されるのは、堂々たる体躯だ。ボディサイズは全長4965mm、全幅1985mm、全高1925mmに達する。特に全幅の広さは日本の一般的な道路環境においてはかなり大柄な部類に入り、圧倒的な存在感を放っている。
しかし、これほどのサイズ感でありながら、周囲を威圧せず溶け込むのがID. Buzzの真骨頂だ。極端に切り詰められたショートオーバーハングのプロポーションや、フロントフェイスの中央に鎮座する特大のVWロゴが、かつてのタイプ2が持っていた愛嬌を見事に現代へと翻訳している。
試乗車のボディカラーは、有償オプション(¥242,000)である「キャンディホワイト」と「スターライトブルーメタリック」のツートンカラー。LEDヘッドライトの間を結ぶV字型のフロントパネルのラインに沿って塗り分けられたカラーリングは、まさに時代を超えて愛されてきたワーゲンバスへのオマージュそのものだ。フロントバンパー下部にはひし形のメッシュグリルが広がり、EVならではのクリーンさとモダンな力強さを両立している。
驚異的な長さを持つホイールベース(3240mm)にも注目だ。日本の高級ミニバンの代名詞であるトヨタの「アルファード」や「ヴェルファイア」のホイールベースが3000mmであることを考えれば、それよりもさらに240mmも長い計算となる。長大なホイールベースが、後述する広大な室内空間と、高速域での矢のような直進安定性を生み出す源泉となっているのだ。
3.実用的なインテリア
両手に荷物を持っていても足のアクションで開閉可能な両側パワースライドドア(イージー・オープン&クローズ機能付き)を開け、室内へと足を踏み入れる。
そこには、“広大なリビング”と呼ぶにふさわしい空間が広がっていた。
ロングホイールベース版は2-3-2の7人乗りレイアウトを採用。2列目シートはベンチタイプとなっており、フラットなフロアと相まって驚異的な足元空間を実現している。シート表皮はグレーのキルティングファブリックと明るいベージュのツートン仕立てになっており、ISOFIX対応のチャイルドシート固定装置も視覚的に分かりやすく配置。アルファードのような独立したキャプテンシートこそ持たないものの、座面はたっぷりと厚く、長距離の移動でも疲労を感じさせない座り心地を提供してくれる。
フロントシートに座ると、視界の抜けの良さに驚かされる。ダッシュボードは直線的ですっきりと整理されており、ステアリングの奥に配置されたメーターパネルは非常にコンパクトにまとめられている。
小ぶりなメーターパネルのおかげで前方視界が大きく開け、開放感に溢れているのが気持ちイイ。これもまた、シンプルな計器類だったかつてのタイプ2の運転感覚を彷彿とさせる心憎い演出だ。
車内のホスピタリティも素晴らしい。センターコンソールには大型の小物入れが備わり、助手席や後席のドアライニングにはType-CのUSBポートがさりげなく配置されている。
さらに、試乗車には¥297,000の「ラグジュアリーパッケージ」を装着。後席の頭上をすっぽりと覆う巨大なパノラマガラスルーフは、ワンタッチで遮光状態を切り替えられるスマートガラスを採用しており、車内に溢れるばかりの自然光を取り込んでくれる。そして、総出力700W、16チャンネル・13スピーカーを誇る「Harman Kardonプレミアムサウンドシステム」が、巨大な車内を瞬時に高音質のコンサートホールへと変貌させる。
フォルクスワーゲンの商用車部門が開発を主導した成り立ちを聞くと、実用性一辺倒の車を想像するかもしれない。しかし、実際の仕立ての良さ、立て付けの剛性感、そして素材の選び方は、メルセデス・ベンツ「Vクラス」などの高級ミニバンと肩を並べる、いや、EVという新しいパッケージングを活かしている分、それ以上のプレミアム感すら漂わせていた。
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