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RX2e機採用のシリーズ再開戦は“絶対王者”に続きティモ・シャイダーが初勝利/WorldRX第7-8戦

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RX2e機採用のシリーズ再開戦は“絶対王者”に続きティモ・シャイダーが初勝利/WorldRX第7-8戦

 今季7月のイギリス・リデンヒルで発生した火災事故の原因究明を優先し、電動最高峰クラス“RX1e”の開催休止が続いてきた2023年のWorldRX世界ラリークロス選手権は、10月7~9日に南アフリカ・ケープタウンで開催のダブルヘッダー戦より「シリーズ再開」を宣言。使用される車両は電動ワンメイクのステップアップシリーズであるFIA RX2eチャンピオンシップ用の『ZEROID X1』とし、WorldRX史上初となる同一車種での勝負となった。

 その環境を逆手に取ったのがDTMドイツ・ツーリングカー選手権“2冠”の元王者ティモ・シャイダー(ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ)で、ここまでエキシビジョン的に実施されてきた第5戦ベルギーや第6戦ドイツでもゲスト出場せず。唯一「RX2e用モデルの走行経験がないチーム」に所属するベテランが、同一条件の好機を捉えてさすがのドライブを披露し、世界選手権での自身初優勝を手にしている。

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 約4年ぶりのシリーズ復帰となったキラーニー・インターナショナル・レースウェイの週末は、前述のアクシデントにより例外的な週末ダブルヘッダーが組まれることとなり、姿を見せた“RX1e”レギュラーの面々は口を揃えて「誰もが同じ機材、同じクルマをドライブすることで、選手権の潮流が変わるインパクトが生まれるはず」だと、立場によって期待や警戒感を露わにした。

 その“期待側”のテンションを存分に活かしたのがハンセン・ブラザーズの弟であるケビン(ハンセン・ワールドラリークロス・チーム)で、土曜第7戦のシングルラップ・シュートアウトとなる予選スーパーポールセッションでは、今季ここまで続いてきたWorldRX“5冠王者”ことヨハン・クリストファーソン(クリストファーソン・モータースポーツ)の無敗記録を打破するトップタイムを奪ってみせた。

「なんて素晴らしい気分! 僕はこの種の(ワンメイクの)クルマで多くの経験を持っているし、この『ZEROID X1』のドライブは本当に楽しい。とても気に入っているし、こうしてスーパーポールで自分たちの速さを示すことができて最高だよ」と“絶対王者”を100分の8差で撃破した25歳のフライングフィン。

 しかし、そのケビンと同じく約2カ月前のベルギーで『ZEROID X1』を経験済みの“警戒側”代表クリストファーソンは、続くヒート1で巻き返しの勝利を奪うと、ファイナルでも定位置からトップチェッカーを受け、自身6度目の戴冠に王手を掛ける公式なキャリア39勝目を挙げた。

「戻ってこられて本当にうれしいし、勝つのはいつも最高の気分だ」と初日第7戦を制したクリストファーソン。

「難しい1日だったが、幸運にもあまり渋滞に巻き込まれずにすんだ。この週末のクルマは僕らが運転し慣れているものとは少し異なり、フィールドは非常にタイトだ。決勝の最初のいくつかのコーナーはかなりエキサイティングで、実際ターン2ではスピンするかと思ったよ」

 しかし土曜最大のセンセーションは、これまで『ZEROID X1』での走行経験がなく、スタンドのファンや視聴者のみならず、パドックの仲間内までもが「おそらく、ドイツ人ドライバーと彼のチームは苦戦するだろう」と予測していたシャイダーの快走で、この日ぶっつけ本番のヒート2でRX1eレギュラー全員を打倒して勝利を飾ると、続く日曜の第8戦ではいよいよその高い適応力を見せつける。

■亡き父に捧げる感涙の勝利

 スーパーポールのシュートアウトこそ、リヤモーターの故障により5番手に甘んじた44歳だったが、パンクで落としたヒート1に続きヒート2、ヒート3と連勝を飾ると、そのままセミファイナル1、そして緊迫のファイナルでも経験者ケビンを打ち負かし、タイトル戦線でもランキング3位に急浮上する感涙のWorldRX初優勝を飾った。

「今これを説明するのはかなり難しいよ」と第一声を発したシャイダー。「かなり感情的になっている。僕はしばらくこの勝利を追いかけてきたし、必ずしも簡単なことではなかったが、戦い続けてきた。WorldRXの競争のレベルは非常に高く、ヨハン(・クリストファーソン)に勝つことがいかに難しいかは誰もが知っている。僕自身とチームを誇りに思うし、この勝利を昨年亡くなった父に捧げたい」

 通算45回の世界選手権出走を果たし、これまで3回の表彰台に留まってきたシャイダーだが、週末を前にした全員の予想が「間違っている」ことを証明したパフォーマンスに、自身も驚いていることを明かした。

「南アフリカに来て、こんなことになるとは予想していなかった(笑)」と正直に続けたシャイダー。

「でも僕らにとってチャンスになることを期待していた。なぜなら、競争力あるRX1eマシンを持っていない(従来はセアト・イビーザRX1eをドライブ)ことを知っていたからね」

「ただし『ZEROID X1』についてはまったく知らない状態で、僕らはそれを運転したことも、運転する機会もなかった唯一のチームだった。だからすべてを現場で解決する必要があったんだ……」

 そんなドイツ出身のニュルブルクリンク、スパの24時間レース“ダブル”ウイナーが、ケープタウンでフィニッシュラインを通過した際、最初に思い出したのは昨年11月、自身の誕生日の前日に亡くなった父親のヴォルフガング・シャイダーだったという。

「小さい頃から両親の強いサポートを受け、BMXレーサーから9歳でカートに乗った。両親は二輪より四輪の方が安全だと判断したんだ。お金があまりなかったし最初はかなり大変で、両親は懸命に働き僕のキャリアに全力を注いでくれた。だから、この週末は父が上から見ていたことも知っているんだ」

 そのシャイダーも、現在は長男のロリスが次世代を担ってくれることを楽しみにしている。

「彼はカートを始めてかなり速かったが『友人と過ごしたい』という正直な意思を尊重して、少しこの世界を離れていた。でも彼が16か17歳になり、免許を取得したとき『何かレースができるかだろうか』と尋ねてきたんだ! 彼は今スーパーモトに完全に夢中で、フリースタイルに挑戦している」

「僕の目標のひとつは、いつか耐久レースで彼とマシンをシェアするか、何かで互いに競い合うこと。それは本当にクールだろうね!」

 初優勝を挙げたシャイダーの存在により、クリストファーソンの王座確定に待ったが掛かったWorldRXは、引き続きダブルヘッダーとなる11月12~13日に、香港はセントラル・ハーバーでの初開催イベントで雌雄を決する。

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