IMSAのプレジデントを務めるジョン・ドゥーナンは、新型コロナウイルスの感染拡大が進行するなか、参戦チームの「プロ意識と作法」が新たなプロトコルのもとでのレース再開を可能にしたことに感銘を受けていると語った。
8月最初の週末にロードアメリカで行なわれたレースは、7月のIMSAウェザーテックスポーツカー選手権再開後、デイトナ、セブリングに続く3つ目のイベント(シーズン第4戦)となった。
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さらにはIMSAが主管するミシュラン・パイロット・チャレンジ、IMSAプロトタイプ・チャレンジ、ポルシェGT3カップ・チャレンジUSA by ヨコハマもシーズンがすでに再開。8月の6~8日にはIMSAが公認するランボルギーニ・スーパートロフェオ・ノースアメリカも再開される。
IMSAプレジデント就任初年度となるドゥーナンは、このチャレンジングな状況に対して常にポジティブなアプローチをとっている。
「IMSAには、私がこの職に就く前から働いていた基盤となるスタッフたちがおり、彼らは私が業務のスピードに慣れることを手助けしてくれている」とドゥーナンはSportscar365に対して語った。
「NASCARとのコラボレーション、そしてこの特殊な状況下でのイベント・オペレーション・プロトコル(手順)は素晴らしいものだった。我々は、これらのプロトコルをNASCARとともに策定してきた」
「NASCARがダーリントンとシャーロットのレースから得たいくつかの教訓を参考に、プロトコルを定めることができたのは幸いだった」
IMSAでは、再開後最初のふたつのイベント(デイトナとセブリング)を、IMSAまたはNASCARの所有するサーキットで行なうことにより、安全な方法でレースに戻ることが容易にできたという。
「もうひとつのポイントは、我々のコミュニティから賛同を得ることだった」とドゥーナンは言う。
「誰もが(プロトコルに)本当に賛同してくれている。GT3カップ、プロトタイプ・チャレンジ、ミシュラン・パイロット・チャレンジ、ウェザーテック選手権などコミュニティ全体がこれを受け入れていることを、非常に誇りに思う」
「我々のパドックを通り抜けるとき、マスクを口元からずらしている者を目にするのは、彼らが水分補給をしているときだけだ。それ以外の場面においては、誰もがプロトコルを遵守しながら素晴らしい仕事をしてくれている」
IMSAの再開に向けたもうひとつの大きなハードルは、アメリカ国外のドライバーやスタッフを入国させることだった。これについては、米国国土安全保障省との協力により達成することができた。
「国外の参加者たちを呼び戻すことは、少々トリッキーな道のりだった。国務省の人々が、国土安全保障省および入国管理局と円滑に連携してくれたことに感謝したい」とドゥーナン。
「入国や再入国については、何も問題は起きていない。これはポジティブなことだ」
米国到着後の14日間はCDC(アメリカ疾病対策予防センター)が推奨する自己隔離に従うことをIMSAはチームに勧めているが、多くのドライバーは欧州でも別のカテゴリーに参戦しているため、シーズンが進むにつれ外国人ドライバーの大多数は自己隔離を行なうことが難しいと見られている。
■「全員検査」と「接触追跡アプリ」は現段階で導入せず
IMSAや他の多くのスポーツに関わる組織が直面している課題は、コロナ禍において毎週、場合によっては毎日変化している、州および地域のプロトコルに忠実に従ってイベントを開催することである。
ドゥーナンによれば、「イベントに参加するすべての人にCOVID-19の検査を義務付ける」というニューヨーク州とコネティカット州からの命令があったことで、IMSAはウェザーテック・スポーツカー選手権のワトキンス・グレン戦とライムロック・パーク戦をキャンセルせざるを得なかった、という。F1やフォーミュラEとは異なり、IMSAでは現在、COVID-19の全員検査を実施していない。
NASCARおよびIMSAのエントラントは、地方行政から移動制限の免除を与えてられているとドゥーナンは明らかにした。現在、30の州からアメリカ北東地域に入る際には、到着後14日の隔離が実施されている。
「隔離だけでなく、パドック全員への検査が必要とされた」とドゥーナン。
「それに関連するコスト、かかる時間……我々は誰もリスクにさらしたくない。彼らの健康が一番だ。それに、チームは現在進行形で活動しており、彼らにも2020年の予算計画がある。それを尊重したい」
「これは、すべての企業パートナーにも当てはまる。我々は安全なレースを開催し、IMSAに期待されている価値を提供したい」
ドゥーナンによれば、陽性が疑われる人々に対するCOVID-19の検査は、すべてサーキットの外で行なわれるという。
「施設を清潔に保つことが重要だ。我々の医療担当スタッフは、すべて適切に訓練されている。彼らは緊急治療室を備えており、何十年にもわたって専門的な医療に携わってきたベテランたちだ」
「我々の医療スクリーニングプロセスは、多くのエントラントから絶賛されている。我々はできる限り効率的にそれを行なうよう努めている」
ドゥーナンはフェリペ・ナッセの例を挙げ、各エントラントはCOVID-19の陽性反応が出た場合に報告義務があること説明する。ナッセは7月の(シーズン再開イベントである)ウェザーテック240アット・デイトナに向かう道中に陽性反応を示した。このため彼はサーキットには入らず、チームメンバーらへの接触が避けられた。
SROアメリカなどのシリーズでは、接触追跡アプリなど感染拡大防止のための追加手段が用いられているが、ドゥーナンによればIMSAは現在の彼らのプロトコルに満足しているという。
「州ごとに何が起こっているのか、そしてそのような信頼できる類のアプリケーションに何ができるのか、我々は調査を行なっている」とドゥーナン。
「だが現時点では、我々のやり方に満足している」
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