11月12日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE第7戦『S耐ファイナル 富士4時間レース with フジニックフェス』の決勝レースで、ST-1クラスはポールポジションからスタートした織戸学/谷口信輝組D'station Vantage GT8Rが優勝を飾った。ふたりのコンビでの勝利は、以前組んでいた18年前の2005年以来となり、なんと“18年越しの8連勝”だという。
2023年のスーパー耐久最終戦に向け、織戸とD’station Racingの藤井誠暢マネージングディレクターが相談し「面白いことをやろう」と決めたのが谷口信輝の起用。今季からスーパー耐久ではST-Qクラス以外、本来いわゆるジェントルマンドライバーにあたるAドライバーを起用しなければならないが、調整は進めたものの調整がつかず、結果的に織戸がA、谷口がBというかたちでレースに臨んだ。
スーパー耐久富士で18年ぶり復活の織戸/谷口コンビのD’station Vantage GT8Rが走行開始
11月11日の公式予選ではスリッピーな路面もあり、織戸、谷口ともにライバルとなるシンティアム アップル KTMのタイムを上回り、D'station Vantage GT8Rが今シーズン初のポールポジションを獲得した。ただ、決勝レースではプロの織戸がAドライバーであることから、90秒ストップというハンデキャップを負わなければならなかった。
迎えた12日の決勝レースでは、スタートドライバーを務めた織戸が序盤からシンティアム アップル KTMの井田太陽に対しリードを築いていく。ただ、シンティアム アップル KTMは第2スティンントに吉本大樹を起用。逆に谷口に交代したD'station Vantage GT8Rは90秒ストップをこなしたこともあり、シンティアム アップル KTMの1分半ほどのリードに転じた。
シンティアム アップル KTMはその後吉本から高橋一穂、加藤寛規と繋いでいき、D'station Vantage GT8Rは谷口からふたたび織戸、さらに谷口と繋いでいきそのギャップを縮めていくものの、逆転までは厳しいかとも思われた。しかしまさかの展開となったのは、シンティアム アップル KTMがターボトラブルに見舞われてしまったことだ。これで2台の位置関係は逆転。D'station Vantage GT8Rはトップに浮上した。
今回、シンティアム アップル KTMは完走すればチャンピオンを獲得することができるが、もし再度コースインすることができなければ、D'station Vantage GT8Rに逆転王座を許してしまう。ただ、その時点でシンティアム アップル KTMはレース距離の70%をこなしており、エンジンはしっかりと動くことから、終盤加藤のドライブでシンティアム アップル KTMは再コースイン。D'station Vantage GT8Rが優勝、2位となったシンティアム アップル KTMが2023年のチャンピオンという結果で今季のST-1クラスはフィニッシュを迎えた。
レース後、谷口は「まあまあミラクルだったよね。もう少し2号車ともガチでやりたかったところもあるけど」とライバルのトラブルがあったとはいえ、ひさびさのスーパー耐久での優勝を喜んだ。また織戸も「優勝できなくても別にいいかな、と思っていたけど、嬉しいですよ」と語った。
あわや逆転チャンピオンも……という可能性もあったが、「オレたちが優勝で、あちらがチャンピオンというのがいちばん美しい感じかな。こういう“飛び道具”みたいな組み合わせで、こっちがチャンピオン獲ったらちょっとね。せめて優勝できたら、と思っていたから」と谷口は、“盛り上げ”に良いかたちで貢献できたのではないかと振り返った。
そして、今回の織戸学/谷口信輝コンビのスーパー耐久での優勝は、2005年第8戦もてぎ以来の優勝となった。この年はADVAN DENAG GT3をふたりがドライブし、第2戦から7連勝を飾っていた(十勝24時間ではドミニク・シュワガーも加入)。つまり、18年越しの“8連勝”という結果となったということだ。奇しくも同じST-1クラスというのも面白い(当時はST-1クラスが最上位クラスだった)。
この結果に、藤井マネージングディレクターも「企画は大成功ですね」と喜色満面の様子だった。シーズン最終戦で、大ベテランふたりによるファンにとっても楽しめるレースが展開されることになった。
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