2021年11月末に亡くなったサー・フランク・ウイリアムズ。”車椅子の闘将”として知られていた彼は、モータースポーツ界に多大な影響をもたらした。そして、サー・フランクはMotoGPのレジェンドであるウェイン・レイニーにも大きな影響を与えていた。
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2021年11月28日、ウイリアムズF1の創設者であるサー・フランク・ウイリアムズが、79歳でこの世を去った。
90年代にかけて黄金期を迎えたウイリアムズをゼロから築き上げ、コンストラクターズタイトル9回、ドライバーズタイトル7回、累計114勝と類まれなる結果を残した、F1史上に名を残す人物の逝去には、関係者から多くの哀悼のコメントが寄せられた。
ウイリアムズはモータースポーツ界に生きる多くの人にとって、無くてはならない存在となっていた。それはF1の世界だけではなく、ロードレース世界選手権500ccクラスで3度の王者に輝いたウェイン・レイニーにも多大な影響をもたらしていた。
レイニーは1980年代から1990年代前半にかけて最高峰の500ccクラスを席巻したスターのひとり。ヤマハで24勝、表彰台65回を記録し、1990~1992年にかけて3年連続でチャンピオンに輝いた。彼とケビン・シュワンツ(当時スズキ)の激しいライバル関係は、今も語り草となっている。
そしてもうひとつ、レイニーを語る上で避けて通れないモノが、1993年のイタリアGPにおけるクラッシュだ。
シュワンツとタイトルを争っていたレイニーは、イタリアGP決勝でハイサイドを喫して転倒。この際に頚椎を損傷してしまい、下半身不随となり、以後は車椅子での生活を余儀なくされた。
今月末逝去したウイリアムズ卿も、1986年に交通事故で半身不随となり、車椅子での生活を送っていた。しかし彼は半身不随となった後も、チーム運営に関わり続け、1992年と1993年にはナイジェル・マンセルとアラン・プロストが、1996年と1997年にはデーモン・ヒルとジャック・ビルヌーブがそれぞれタイトルを獲得している。
そしてウイリアムズ卿は、クラッシュ後にリハビリ施設で回復に向けた取り組みを始めていたレイニー本人へ会いに来ていた。レイニーはウイリアムズ卿との会話が、自身にとってどれほど重要なものだったのかを語ってくれた。
「事故で負傷した後、私は背中に(脊椎の安定のための)棒を入れなければならなかった」
レイニーはmotorsport.comにそう語った。
「そのため、基本的には病院で6週間、ギプスによって固定されていた。その後ギプスが外されると、リハビリ施設へと向かうことができた。本当の作業が始まる場所だ。そこは車椅子での生活や、食事や着替え、その他沢山の課題へ取り組む場所だった」
「最初の病院には6週間ほど入院していたと思うが、リハビリ施設では2ヵ月が必要だった。3週間ほどが経った頃、フランクから”そっちへ行く”というメッセージを受け取った。当時の私は、自分の人生がどうなっていくのか、それを混乱しつつ考えていた」
「フランクが来てくれた時、私は彼が自立していることを目の当たりにしたんだ。彼が部屋に入ってくると、自分に自信を持っている姿を見て、その瞬間に自分の人生が変わったと思った。彼は大まかに『ウェイン、君はそれはもう気落ちしているだろう。だが君にできるベストなコトは、立ち直って、好きなことをすることだ。そしてそれはレースだ』と言ってくれた」
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