トヨタは2025年11月14日、スーパー耐久最終戦で液体水素エンジンの将来技術を発表しました。
京都大学などと開発を進める「超電導モーター」を燃料ポンプに採用し、タンク内に内蔵。
これにより、車両のパッケージングが劇的に改善し、タンク容量を従来の1.3倍(220L→300L)に拡大できるとし、航続距離の大幅な延長に道筋をつけました。
トヨタは、カーボンニュートラル実現に向けた「マルチパスウェイ」の選択肢の一つとして、水素エンジンの可能性を追求し続けています。
その「走る実験室」となっているのがスーパー耐久シリーズです。2025年11月15日から16日に開催される最終戦「S耐 FINAL 大感謝祭」にも、液体水素を燃料とする「#32 TGRR GR Corolla H2 concept」で参戦します。
液体水素システムの開発は着実に進んでおり、5月の24時間レースでは、最大の課題であった液体水素ポンプを交換することなく完走するという耐久性を実証しました。
しかし、エンジンの高出力化に伴い、ポンプへの負荷も増大しています。今回の最終戦では、レース中に最大出力で連続走行を続け、「現在」のポンプが持つ昇圧性能と耐久性の限界を確認することがテーマとなっています。
トヨタが「現在」の技術を試す一方で、液体水素システムには、将来の市販化に向けて克服すべき大きな課題が2つありました。
一つは「パッケージング=航続距離」の問題です。
従来のシステムでは、液体水素タンクの「外」にポンプを動かすための常電動モーターを設置。このモーターや関連部品がスペースを占有するため、タンクの形状や搭載位置に制約がありました。
もう一つは「ボイルオフ(蒸発)」の問題です。
マイナス253度という極低温の液体水素を扱うため、タンクと外部を繋ぐ配管や、モーターの駆動軸が通るフランジ(継手)部分から熱が侵入し、貴重な液体水素が気化してしまうという弱点がありました。
これらの課題を根本から解決する切り札として、トヨタが京都大学などと共同で開発を進めているのが「超電導技術」です。
「超電導」とは、特定の物質を極低温まで冷やすと、電気抵抗がゼロになる現象です。
ここで鍵となるのが、液体水素が持つ「マイナス253度」という温度環境です。
通常、超電導技術を使うには大掛かりな「冷凍機」が必要になりますが、液体水素エンジン車は、特別な冷却装置なしで超電導が使える温度環境を“標準搭載”していることになります。
この特性を逆手に取り、トヨタは電気抵抗ゼロ(効率99%以上)で動作する、極めて小型で高効率な「超電導モーター」を開発。この小型モーターとポンプを一体化し、液体水素タンクの「中」にすべて内蔵する「インタンク式」システムに目処をつけました。
この超電導モーターによる「インタンク化」が実現すると、車両に3つの大きなメリットが生まれます。
第1にタンク上部にあった常電動モーター(補機)が不要になり、スペース効率が向上。 第2にモーター自体が超電導技術によって小型・軽量化。第3に、熱の侵入源となっていたタンク上部のフランジが不要になり、ボイルオフを大幅に低減できます。
これら3つのメリットにより、車両全体のパッケージング効率が飛躍的に向上。その結果、従来のシステムでは最大220Lだったタンク容量を、1.3倍以上となる300Lまで拡大することが可能になるといいます。
これは、液体水素エンジン車の最大の課題であった「航続距離」の大幅な延長を意味します。
もちろん、マイナス253度の液体水素という過酷な環境下で、潤滑油なしにギアやベアリングの耐久性を確保するといった新たな技術的課題も存在します。
トヨタは、スーパー耐久の現場で「現在」の技術を鍛え上げると同時に、液体水素と超電導技術という「親和性」の高い技術を組み合わせることで、「未来」の水素エンジンの可能性を大きく広げようとしています。(くるまのニュース編集部)
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みんなのコメント
テスラは短期的に成長して時価総額ではトヨタを上回ることもあるが、こうした投資はしていない。先があるのがどちらかは明らか。