この記事をまとめると
■全日本ラリー選手権第4戦「久万高原ラリー」が6月19~21日に開催された
1.2リッター&FFのプジョー208が格上の4WD相手に大暴れ! 軽量を武器に全日本ラリーで「ジャイアント・キリング」を成し遂げた
■若手ドライバーが数多く参戦していた
■JN-2クラスに参戦した石森聖生選手に注目が集まった
全日本ラリーでは若手ドライバーが活躍中
全日本ラリー選手権 第4戦「久万高原ラリー」が6月19~21日、愛媛県久万高原町を舞台に開催。20日のレグ1は曇りのち雨/ウエット、21日のレグ2は曇り/ハーフウエットという過酷なコンディションのなか、各クラスで激しいタイム争いが展開され、トヨタGRヤリスRally2を駆る勝田範彦選手がJN-1クラスで2連勝を達成した。
それにしても最近の全日本ラリー選手権は、トヨタの若手ドライバー育成カテゴリー「MORIZOチャレンジカップ」の導入により若手ドライバーが増えてきているが、同シリーズのほかにも若手ドライバーがエントリー。そのなかでもっとも注目を集めているドライバーが、Rally Team AICELLOの7号車「AICELLO 速心 DL208 Rally4」でJN-2クラスに参戦した石森聖生選手だと言えるだろう。
28歳の石森選手はもともとレース競技で活躍してきたドライバーで、2021年に富士フレッシュマンレースで公式戦にデビューしたほか、翌2022年には86/BRZレースのクラブマン、翌2023年には同レースのプロクラスで活躍。同時にスーパー耐久にも参戦するようになり、参戦2年目となる2024年にはST-3クラスでチャンピオンに輝いた。2025年もスーパー耐久で活躍するなど、遅咲きながらも着実にレーシングドライバーとして実績を残してきたが、2026年にラリー競技への転向を決意。
きっかけとなったのが、Rally Team AICELLOの若手育成プログラムのオーディションで、見事に合格した石森選手は、第3戦「ラリー飛鳥」でラリー競技にデビューした。
ちなみにRally Team AICELLOは、これまで元F1ドライバーのヘイッキ・コバライネン選手と全日本ラリー選手権のJN-1クラス、ラリー・ジャパンのWRC2クラスに参戦してきた名門チームで、2025年の全日本ラリー選手権ではコバライネン選手が自身3度目のタイトルを獲得した。
そんな強豪チームの若手ドライバーに抜擢された石森選手は、ラリー競技に転向した理由について、「23歳でレースにデビューしたんですけど、その前は峠を走っていたので、ラリー競技にも憧れがありました。スーパー耐久でチャンピオンを取ることができましたし、スーパーGTのGT300クラスへお声がけをいただいたこともあるんですけど、どうしても活動予算の問題があるので、レース競技でステップアップを目指すのは難しいだろうと感じていました。そんなときにRally Team AICELLOの若手ドライバー育成プログラムを知りまして、思い切ってラリー競技に挑戦することにしました」と語る。
こうしてレース競技を休止し、ラリー競技に専念することになった石森選手は、ラリーの魅力について「サーキットを走っていても、そんなにスリルを味わえなくなったんですけど、ラリーのスペシャルステージはスリリングで刺激になりますね。それに新しいことを学んでいくことは楽しいですね」と語る。
さらに石森選手がドライビングしている国際規定モデルのプジョー208 Rally4について、「初めて前輪駆動車で競技をやるんですけど、クセがなくて乗りやすいクルマです。軽さを感じるし、シーケンシャルなので楽しい。ステップアップのカテゴリーとしてはいいクルマだと思います」とインプレッションしている。
若手ドライバーの挑戦はまだまだ始まったばかり
とはいえ、その一方でラリー競技は難しく、石森選手によれば「レースでは順調にステップアップできましたし、どんなクルマに乗ってもタイムは出るんですけど、ラリーは経験がモノをいうカテゴリーで、ドライビングの限界の見極め方やペースノートの精度など、レースにはない難しさがありますね」とのことだ。
ちなみにJN-2クラスは参加台数がわずか1台で、不成立となったことから石森選手はJN-1クラスでエントリー。デビュー戦となった第3戦のラリー飛鳥ではJN-1クラスの7位で完走を果たしたが、今大会では苦戦の展開を強いられた。
「このクルマで初めてウエット路面を走るので、午前中はかなり抑えて探りながらドライビングをしていました。午後のSS3ではインカムのトラブルでペースノートがほぼ聞こえない状態でしたが、SS4では機材が直ったこともあり、いままでにないほどいいペースでリズムよく走れていました。前戦からセットアップを変更したことで、曲がりやすくなったし、安心して走れるようになってきたんですけどね。ギャラリーコーナーで失敗したのでタイムロスをしてしまいました」と語るように、石森選手はJN-1クラスの7番手で、レグ1をフィニッシュ。
しかし、「いままで午前中のループは抑えすぎていたので、今日は少し攻めていこうとしていました。霧が出ているなかでも、それなりに走れてはいたんですけどね。残り2kmぐらいのところでブレーキを踏んでも止まらない感覚があってオーバーラン。土手にフロントをぶつけて冷却関連を壊してしまいました」と語るように、レグ2のオープニングステージ、SS5でコースアウトを喫し、そのままリタイヤすることになったのである。
このように、石森選手にとって久万高原ラリーは悔しいリザルトに終わったが、「タイムを出せずに終わりましたが、ラリー飛鳥より攻められるようになってきたと思います」と手応えを語る。
さらに今後のプランについては「ラリー・カムイ、ラリー北海道のグラベル2連戦はスキップして、その間にトレーニングをおこなう予定です。後半のターマック戦は出場する予定なので、さらに進化できるように頑張りたいと思います」とのことだ。
WRCで活躍する勝田貴元選手を筆頭に、前述のコバライネン選手などレースからラリーに転向して成功を収めたドライバーも少なくないだけに、シリーズ後半でも新天地に挑む石森選手の動向に注目したい。
なお、久万高原ラリーでは、トヨタGRヤリスの山田啓介選手がJN-3クラスを制覇。さらにJN-4クラスではトヨタGR86を駆る山本悠太選手、JN-5クラスはニッサン・マーチのステアリングを握る阪口知洋選手、JN-Xクラスでは今大会よりトヨタRAV4 GRスポーツを投入した天野智之選手がそれぞれクラス優勝を獲得している。
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