■仮想世界でも分かる!? その走りの良さとは
2020年5月22日、マツダは1台のバーチャルモデルを世界初公開しました。「RX-VISION GT3 CONCEPT」と名付けられたモデルは、2015年の東京モーターショーでお披露目された「RX-VISION」をベースにFIA-GT3車両規則に則って開発されたモデルです。
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「バーチャルモデル=絵に描いた餅」と思われがちですが、共同開発をおこなった株式会社ポリフォニーデジタルはプレイステーション4用のドライビングシミュレーションゲーム「グランツーリスモSPORT」を生み出したメーカーです。
誰でも手軽にかつ韓単にプレイが可能にも関わらず、プロのレーシングドライバーがトレーニングで使用するほどのリアル感を備えることはクルマ好きであれば有名です。
その秘密は、1台のクルマを表現するためのシミュレーションモデルの複雑な「パラメーター」です。これはカタログに載っている寸法/車両重量などの諸元のみならず、サスペンションのバネレートやダンパーの減衰力、さらにはバンプラバーまでのストローク/硬さ/ダンピングなどをはじめとする細部のデータを自動車メーカーから提供してもらうことで、バーチャル上でリアルモデルを完全再現することが可能となっています。
ちなみにグランツーリスモが世代を重ねる毎にリアル度が増している要因のひとつは、パラメーターの進化(=増えている)が大きいそうです。
実車からバーチャルモデルが可能であるということは、逆もしかりでまだ世に出ていないモデルもバーチャル上で事前に再現可能を意味します。つまり、RX-VISION GT3 CONCEPTはまさにそんな経緯で生まれたモデルということになります。
今回は、RX-VISION GT3 CONCEPTをゲーム上で試乗。今回使用のステアリングコントローラーはThrustmasterのハイエンドモデルとなる「T-GT」、シミュレーターコクピットはNext Level Racingの「GTultimate V2」と最高の環境下での試乗となりました。
ちなみに筆者(山本シンヤ)は、古くからグランツーリスモシリーズをはじめとするドライビングシミュレーターの愛用者で、あるJAF公認レースに参戦する際に、事前に練習走行する時間がなくバーチャル走行のみで挑んだことがありますが、予選タイムはリアルとバーチャルでコンマ数表差、決勝は優勝という経験があります。
RX-VISION GT3 CONCEPTの外観デザインは、ロングノーズショートデッキのFRスポーツの王道ともいえるクーペフォルムはそのままに、ワイドフェンダー化や空力デバイスの追加し、さらに車高をギリギリまで下げられています。
ちなみに魂動デザインは無駄をそぎ落とす「引き算の美学」がポイントですが、筆者はGT3コンセプトを見て無駄をそぎ落としたうえであえて無駄を足すことでワクワク/ドキドキという高揚感を生む新たな“美しさ”がプラスされたと感じました。
視界をコクピットビューにすると内装が見えます。シンプルながらも力強さを追求したデザインはRX-VISION譲りですが、レース用メーター/ステアリング、バックモニターと操作系が集約されたセンターコンソールなど機能性を重視しています。
パワートレインは「SKYACTIV-R」。自然吸気4ローターで排気量は2600cc(654cc×4)、最高出力は570馬力/9000rpm、最大トルク540Nm/7500rpmと公表されています。
排気量から推測すると1991年のル・マン24時間で総合優勝した787Bに搭載の「R26B」をベースに、最新のスカイアクティブテクノロジーを盛り込んだユニットと考えていいと思います。トランスミッションはシーケンシャル式の6速を採用。
アイドリングはレーシングロータリーとは思えないくらい安定しています。実用域はさすがにトルクの薄さを感じるものの、5000rpmくらいを境に力強さを増す性格でレブリミットの9500rpmまでスムーズに一気に吹け上がります。
ほかのGT3マシンのように低速域からモリモリと湧き出るトルク感ではなく回転でパワーを搾り取る特性は、最近のレーシングマシンにはない新鮮さを覚えます。
■ロータリーサウンドも再現!? 実際のサーキットでの印象は?
サウンドは音量こそかつてのロータリーより控えめですが、金属音が混じった甲高いサウンドは爽快で心地よさを感じました。
レーシングスピードではデフォルトのギア比が絶妙なのも相まって、いくつかのサーキットを走ってみた限りはトルクバンドを外すことはほとんどありません。
最高速は未計測ですが、ニュルブルクリンク北コースのストレートで280km/hオーバー(6速で8500rpmから8700rpmくらい)を記録しました。
フットワーク系はノーマルに対して低重心化やワイドトレッド化(フロント・1720/リア・1760mm)がおこなわれ、前後重量配分はトランスアクスル化も相まって48:52を実現。
軽量化も頑張っており車両重量は1250kgに抑えられています。サスペンションはフロント・ダブルウィッシュボーン、リア・マルチリンク式を採用、タイヤは前後同サイズでミシュラン製310/700-18を履きます。
その走りは最終型のマツダ「RX-7(FD3S型)」をより“研ぎ澄ました”という印象を受けました。
ワイドトレッド化や大径タイヤは応答性の低下を招きがちですが、RX-VISION GT3 CONCEPTはステアリングを切る→ノーズの入りに遅れがないので、狙ったラインへのコントロールが非常に楽です。
また、軽量コンパクトなロータリーエンジンを車両中心にレイアウトするメリットも活きておりアンダーステアも最小限。
具体的にいうと、筑波サーキットのダンロップ先の80Rで他銘柄のGT3マシンはフロントの重さに耐えられず外に孕んでしまいますが、RX-VISION GT3 CONCEPTはオンザレールで曲がっていきます。タイヤの情報もステアリングを通じてシッカリ伝わってくるので、安心感も非常に高いです。
俊敏なフロントに対しリアのスタビリティは非常に高いレベルで、タイトコーナー脱出時でも確実にタイヤに駆動を伝えますが、低速コーナー進入時にリアの動きが若干ナーバスに感じたのがちょっと気になりました。
ちなみに空力が効く高速コーナーは気にならなったので、もう少しメカニカルグリップが欲しいなと思います。ただ、今回は購入したままの状態で走らせたので、セットアップ変更で改善できるレベルでしょう。
最後にタイムアタックをおこないましたが、筑波サーキット2000は54秒615を記録しました。今回は限られた時間の試乗だったため、もう少し走り込めればタイムが縮むかもしれません。
某自動車メーカーのエンジニアに話を聞くと「GT3マシンはノーマルモデルの延長線上にある」といいます。
つまり、ノーマルのRX-VISIONのポテンシャルも期待が高まります。そのキモとなるロータリーエンジンですが、開発自体は2012年に「RX-8」が生産中止となった以降も継続されています。
レンジエクステンダーとして復活の話は聞いていますが、やはり直接駆動するロータリーエンジンを待っている人は多いのではないでしょうか。
とはいっても、市販化までには非常に大きなハードルがあるのも事実です。しかし、マツダ自身「我々が存在する意義、挑戦する価値があるユニット」、「マツダの技術者は課題が大きければ大きいほど、高ければ高いほど挑戦する」、「高い目標がないと社員が迷ってしまうので」と語っていますが、そのときがやって来るまで筆者はバーチャルで運転訓練を続けていきたいと思っています。
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みんなのコメント
マツダがやってる事は、まさに、絵に描いた餅。
マツダに対して哀しい気持ちになるのは私だけかな?。
せめてベース車くらい市販させなさいよ。