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1台になぜ56時間も? ベントレー史上最も複雑な手作業塗装『オンブレ』の秘密に迫る

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1台になぜ56時間も? ベントレー史上最も複雑な手作業塗装『オンブレ』の秘密に迫る

56時間の手作業が生む究極の塗装

英国の高級自動車メーカーであるベントレーモーターズは2025年8月15日、同社のビスポーク部門である「マリナー」が手掛ける、これまでで最も複雑な塗装技術のひとつである「オンブレ・バイ・マリナー(Ombre by Mulliner)」を公開した。この新技術は、2色の塗料が車体全体で滑らかに変化する見事なグラデーションを実現するものであり、その製作には2人の熟練技術者をもってしても約56時間を要するという。最初のショーケースとして、この特別な塗装が施されたコンチネンタルGTスピードのパーソナルコミッションが、モントレー・カー・ウィークの一環である「The Quail, A Motorsports Gathering」で披露された。マリナーが厳選した3つのカラーコンビネーションは、すでに全世界の販売店ネットワークを通じて注文が可能となっている。

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【写真10枚】ベントレーの職人が56時間かけて作り上げた"走る芸術品"「オンブレ・バイ・マリナー」の詳細を見る

唯一無二のグラデーションを纏うコンチネンタルGTスピード

「オンブレ・バイ・マリナー」は、ベントレーが誇る英国クルーの生産拠点、通称「ドリームファクトリー」において、熟練の職人の手作業のみで生み出される特別なエクステリア仕上げである。その最大の特徴は、車体の全長にわたって2つの異なる塗装色がまるで溶け合うかのように、美しく移り変わる点にある。この驚異的な視覚効果を実現するための工程は、極めて緻密かつ時間を要するものだ。まず、車両のフロントとリアに、それぞれ対照的な色がスプレーされる。その後、伝統的な塗料混合技術によって特別に調色された塗料を用い、段階的にブレンドを施していくことで、あの独特なオンブレ効果が生み出されるのである。

この全体的なフェード効果を完璧に仕上げるためには、2人の塗装技術者が約56時間という長い時間を費やす必要がある。この時間は、塗料の特性を完璧に理解し、理想的なブレンドを実現するために不可欠なのだ。2つの塗料が複雑に組み合わさるため、使用できる色の選択肢は、均一で段階的な移行を保証できるようマリナーによって特別に厳選されている。さらに、塗料はそれぞれ塗装時の挙動が異なるため、技術者はその瞬間の状況に的確に反応しながら作業を進めなければならない。こうした理由から、生み出される車は1台1台が唯一無二の表情を持つユニークな存在となるが、その仕上がりは肉眼では寸分の狂いもない完璧なものとなるのだ。

この革新的なオンブレプロセスを初めて纏った栄誉ある1台は、モントレー・カー・ウィークで開催された「The Quail, A Motorsports Gathering」で衆目の前に姿を現したコンチネンタルGTスピードの特別なパーソナルコミッションである。このショーケースカーの類まれなエクステリアは、車体のフロントからリアにかけて、鮮やかな「トパーズ」から深みのある「ウィンザーブルー」へとドラマチックにフェードしていく。

このグラデーションは、特に車体の中央部分で最も顕著に見て取ることができ、フェードの流れる角度は、コンチネンタルGTの力強いリアのホーンチラインの角度に沿うように計算されている。この細やかなデザインへの配慮は細部にまで及び、足元を飾る22インチの10本スポークスイープホイールも、それが収まるボディパネルの色調と完璧に調和している。すなわち、フロントホイールはトパーズ、リアホイールはウィンザーブルーで塗装されているのだ。

インテリアにも同様のグラデーション

マリナーの美学は、エクステリアだけに留まらない。車全体としての調和を確実なものにするため、マリナーのビスポーク・スタジオは、内装にも外装と同様のグラデーションアプローチを巧みに取り入れている。キャビンに乗り込むと、まずフロントシート、ステアリングホイール、そしてインストルメントパネルに採用されたビスポークのトパーズカラーのハイド(革)が乗員を迎え、その色彩はセンターコンソールへと滑らかに流れていく。

そして視線を後方へ移すと、キャビンは落ち着いた「ベルーガ」のダークトーンへと次第にフェードしていくのである。さらに、シートやドアのディテールには、「ドラゴンフライ」と名付けられたアクセントカラーが用いられ、キャビン全体のパイピングとステッチを鮮やかに際立たせている。この車では色彩が主要なテーマとなっているが、キャビン内の他の表面には、より触感に訴えかけるアプローチが採用された。センターコンソール、インストルメントパネル、そしてドアを開けた際に目に飛び込んでくるトレッドプレートキャリアには、サテンベルーガで塗装された化粧板が用いられ、落ち着いた質感を演出している。また、装備面でも妥協はなく、第4世代コンチネンタルGTで導入されたベントレー・ローテーションディスプレイ、最高峰のオーディオシステムである「Naim for Bentley」、そしてダーククローム・インテリア・スペシフィケーションといった最新の装備が備わっている。

この特別な塗装はすでにオーダーが可能

モントレーでパーソナルコミッションとして公開されたこの特別な塗装は、もはやこの特別な1台のためだけのものではない。マリナーによって導入された3つのペイントフェードは、今や世界中のベントレー販売店ネットワークを通じてオーダーすることが可能となっている。この「オンブレ・バイ・マリナー」は、ラグジュアリーとパフォーマンスを絶え間なく追求するベントレーにおける、ひとつの技術の極致であり、その仕上がりはまさに”走る芸術品”と言えるだろう。

【写真10枚】ベントレーの職人が56時間かけて作り上げた"走る芸術品"「オンブレ・バイ・マリナー」の詳細を見る

文:LEVOLANT LE VOLANT web編集部
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みんなのコメント

5件
  • osi********
    技術が自慢なんでしょうけれど綺麗とは言えないわ。
  • エス
    オプションでいくらするの?ランボルギーニのレヴエルトで、マジョーラで800万って言われグラデーションで1000万超えと言われたけど!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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