■サビサビだった全体像から、ちょっとした中古エイプ並みくらいまでは復活した感じのエンジン。文中にはないですが、エキパイを留めるスタッドボルトもダイスを通し、ナットが気持ちよく回るよう整備しました。
エンジン、まずは外観の美化から
【 画像ギャラリー 38枚】「白粉吹くエンジンを美しい銀色に!」潮風に当たったエイプをメンテ&カスタム!━━5【プロカメラマンの作業記録】……の写真を見る!
こんにちは。カメラマンの小見です。
サビだらけだったエイプ、前回まで車体関連の細々とした作業が続いておりましたが、ほぼ同時にエンジンの再生作業にも着手しておりました。
少し触れる時間があれば寝食忘れて没頭するもんですから、家族の顰蹙を買うこと数知れず。どーにかしなくてはとは思うんですが(あんまり反省してない)。
さて、この白粉だらけのエイプエンジン。新車もよく撮影していたことも多々あって、オリジナルの状態からあまりにもかけ離れた惨状なので、分解に取りかかる前にひとまず美化作業をしておくことにしました。前号予告ではバルブ周りやヘッドの調整と申し上げておりましたが、その前にクランクケースも含めての作業と、上下ステム周辺の美化を先行させていただくのをご了承願いたい。
※以下「■~」は写真の説明文。写真は【画像ギャラリー】にまとめてあります。
■作業前のエンジン左下側。チェンジペダルの赤サビやドライブ部の腐食具合、もしかして猫のマーキング(オシッコ)による腐食も疑われるサビ方かも。
■当初、全体に手を付ける気がどうにも湧かず、カムカバーだけ外してみました。
■あまりにも化石っぽいので、尖った工具で引っ掻いてみたら、こんな剥がれ方。
■ものは試しに240番くらいのペーパーで“剥がし磨き”に取りかかりました。
■フィンの間や細部が甘い段階。頑張ってバフ仕上げにしても雨後の処置に気を遣うし、やっぱり塗っちゃおうかなあ?などと思案しながらも、ひたすら磨きます。
■作業中のカムカバーをシリンダーヘッドに載せて、全体を見てみます。これはもういったん、全体を塗装してしまおうと決心した時期。
剥がしに剥がし、地肌を露出
純正塗料がアルミのサビによって浮いてしまったケース左右のカバー類は、いかに磨こうとも復旧は不可能なので、スクレーパーで塗装を剥がしたりペーパーで処理を開始し、カムカバーも同様にサンディングで地肌を露出させてみました。
化石のように粉吹き状態のヘッドとシリンダーは、ワイヤーブラシとサンドペーパーの併用で“粉”をガシガシ落として、こちらも地肌をできるだけ出しておきました。
作業の際には、エキパイ取り付けのスタッドボルトのネジの状態を確認しておきました。ガスケットは新しいものに変えるため、ピックツールでヘッドから取り出し、座面の汚れを一掃。ワイヤーブラシの使いにくいフィンの隙間には3M製品のスコッチやスポンジ研磨材を力ずくで押し込んで、奥まで研磨してみました。
■外せるものは外したのに、取れないドライブスプロケ。右手でカメラを構えたらバーナーを少し近づけ過ぎました。でもスプロケは、外せました。
■加熱したものの、オイルシールは無事のようです。この付近はパーツクリーナーであるていど汚れを落とした後も、アセトンでブラシ洗いした部分。
■塗装の浮いた部分は剥がれやすいのに、浮いてないところは頑固で難儀します。コンプレッサーのエア容量が現状の3~4倍だったらブラストをじゃんじゃん……?
■光らせた部分だけ塗装後に本気のポリッシュしてみるかな?とテスト。
■ヘッドの白サビは深刻だが、カリカリやってみるとあるていどは落ちそう。できるだけ手作業で落としてから塗装にかかりたい。
■シリンダー背面のケース上面はどこか外国の廃墟のようでありました。ブラシでゴシゴシ。
■生産ラインでせっかく貼ってくれたオイル量のデカールも、これでは貼り替えるしかない。覚えてるから、まあいいか。
■クラッチカバーの上面も、この有様。浮いた部分はポロポロ。
■エキゾーストガスケットは新品にするとして、スタッドは新品をとったものの意外にネジが無事なので、タップで軽く修正。ダブルナットをかけて一度緩め、ヘッドから外せるかを確認しておきました。
■ヘッド左側の調整部分。外したプレート、元はどんな表面処理だったかわかりません。
■通称“スコッチ”を折り畳んでフィンの間に押し込み、ひたすらゴシゴシ。シリンダーはまだよくて、ヘッドのフィンの奥まで入れるのにはドライバーや割り箸などを使い、あの手この手でサビ落とし。ひどく時間がかかりました。よく考えたら以前の4気筒ヘッドほど複雑なパーツじゃないし、ブラストすればよかったと後悔。
サンドブラストは使わない方針
ヘッド周辺の奥まった部分に手を入れるのには苦労があります。ですが、昔サンドブラストを多用したころ、念入りにマスキングしたにもかかわらずナナハンクラスのヘッドでカムホルダー付近のオイル通路に研磨材が入り込み七転八倒したことから、以降特にヘッドにはブラストを使わないようになったのです。
ブラストキャビネットは手元にあるのですが……(ブラスト自体、他の作業では酸化アルミナとガラスビーズを使い分けて使うことが今でもあります)。研磨対象によってですが、昨今は埃のたちにくいウエットブラストの方が主流になってますかね?
カバー類は塗装前にいったん外して、ドライブシャフト部分もちゃんと塗りたい……それじゃあとドライブスプロケットを外しにかかってみると、サビで固着していて頑として外れてくれる気配がありません。2本のネジを使ってスプロケ固定部材を外した後がそんな調子だったため、浸透潤滑剤のCRC5-56を染み込ませて放置したうえで、スプラインをスッキリさせるためのサビ落としと、バーナーによる加熱作戦にうって出ました。
これが功を奏し、加熱後にバールで軽くスプロケ裏から力を入れたらスポッと外れてくれました。カバーのガスケットも交換前提なのでざっと剥がしておきました。
■とにもかくにも全体におおよそ足付けはできました。塗っちゃいましょう。
■入手しやすい耐熱塗料。通常のシルバーとする。
■横のカバーやシリンダーより上は、その気になれば塗り直しは出来る。クランクケースをやっつけるのが優先課題として塗ったところ。
■よく見るとお分かりになるでしょう。勢い余ってバーナーを近づけ過ぎています。塗膜が膨れてしまったため、この後やり直しました。
■塗装後数日放って置いたらホコリがついてしまったのですが、これでも随分見れるようになったと思われます。
■クラッチ側カバーをダメ押し塗装したものの、加熱ミスでシワがっ! ガッカリした瞬間です。
■この付近はキック始動で足が擦れそうだし厚塗り。やり直したエンジン右側カバー。
目に付く上下ブラケットやヘッドライトステーもキレイに!
ホイール編の写真に入り込んでいたかもしれませんが、車体を組み立てるにあたってフロントの足周りを付けるのに不可欠な上下ブラケットとヘッドライトステーのサビ落としと磨き作業もそのころに実施しました。
重量級バイクと違い、スチールの打ち抜きで作られたアッパーブラケットですが、ハンドル付近にあり、乗車時にはよく目に入る部品。汚いままでは嬉しくありませんので念入りに下地を出して、こことロワーブラケットをホイールと同色のゴールドに塗装しておきました。
アッパーは置き方に苦労はないけれど、ロワーはステムシャフト以外どこも塗料がたっぷりとのってます。針金で吊るすかな?と思ったのですが、シャフト部分を車庫の足場パイプに突っ込んでおけば良いじゃん!と気付き、ときどき回しながら乾燥させてみました。つやつや感を出すために一気塗りした際は、ヤマハの御家芸たるミラクリエイト塗装の超簡素版?を試みました。「回していればタレない」理論。
ところが、この努力も後日のタンク大改造で部分剥がしという悲劇が待っているとは、これっぽっちも予想していなかったのでした。
■ハンドルホルダーを分離して単体にしたアッパーブラケット。いい~感じでサビてますな。
■一応平面なハズの場所なので、ポリッシャーを使えばよかったと後で後悔。
■懲りずに手作業で塗装をほとんど落としたところ。
■頑張った甲斐あって、まあまあきれいにゴールドが塗れました。
■ロワーブラケットはたっぷり塗ったあと、こうして単管パイプにステムを突っ込み、ときどき回転させてタレの発生を防止。
■入り組んだ形状をした純正ヘッドライトステーは、サビ落としと足付けに苦心。
■ここの塗装に取りかかった日は雨だったため、自室にて段ボール使用でプシュー! 塗料の臭いが部屋から漏れ、家族からの猛烈なバッシングで“大炎上”。
■天候が回復すれば、少し暑いものの湿度は低く、状況は良い時期。
■ヘッドライトステー、上下ブラケットの乾燥後に付帯部品を取り付け。
耐熱塗料にガスバーナー……シワが!
エンジンの汚れ剥がしと地肌磨きが概ね終わり、シンナー&アセトンによる脱脂を済ませると、耐熱塗料による表面処理を実行。気温の低い時期でもないですが製品の指示にあるとおり、ガスバーナーの遠火で炙り、熱を加えて硬化を促進させておきました。
エンジン始動で加熱できる段階ではなかったためなのですが、クランクケースのクラッチ側カバーに少々熱を加え過ぎたためにシワが生じてしまいました!(発狂)
許し難いミスゆえ、翌日サンディングしなおして再塗装。今度はもっと遠火でじんわりと加熱して乾燥させておきました。今度はそこそこきれいになりました!(小踊り)
数日の間エンジンを放置して塗装を養生し、しっかり乾燥したのを確認したら、カバー類を外してタイミングマークを確認するところから、シリンダーヘッドの分解に取りかかりました。伝え聞く走行距離からは、ピストンを外さずとも良さそうなので、ピストン上面の清掃まで!と考えておこう!
(続く)
■ベアリングレースにボール痕がなかったので、フレーム塗装時に付いた塗料をアセトンで拭き取りました。
■ベアリングを並べる前にグリスをたっぷり塗布し、慈しむようにアッパーにベアリングを並べたところ。ロワー側も丁寧に。
■フロントフォークをブラケットに取り付けたあと、車体を浮かせたままボトムケースにアクスルを通し、スルスルと動くかを確認。フォークのインナーチューブの回転位置でフォーク作動の兼ね合いも見る。
■クランクケースがきれいになったし、じっくり養生する間にヘッドのオーバーホールだ!
レポート&撮影●小見哲彦
プロフィール●小見哲彦
無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーとしてバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を2021年より依頼されている。
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