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新型トヨタGR86/スバルBRZ 本当にクルマ好きが楽しめる? 試乗

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新型トヨタGR86/スバルBRZ 本当にクルマ好きが楽しめる? 試乗

トヨタGR86/スバルBRZのスペック

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)

【画像】意外? かなり違う新型トヨタGR86とスバルBRZ【ディテール比較】 全119枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

トヨタGR86とスバルBRZの主要諸元は以下の通り。いずれも開発目標値。

トヨタGR86(開発目標値)

価格:-
全長:4265mm
全幅:1775mm
全高:1310mm
ホイールベース:2575mm
車両重量:1270kg(6MT)
パワートレイン:水平対向4気筒2387cc
最高出力:235ps/7000rpm
最大トルク:25.5kg-m/3700rpm
ギアボックス:6速マニュアル/6速オートマティック

スバルBRZプロトタイプ(開発目標値)

価格:-
全長:4265mm
全幅:1775mm
全高:1310mm
ホイールベース:2575mm
車両重量:1260kg(6MT BRZ R)
パワートレイン:水平対向4気筒2387cc
最高出力:235ps/7000rpm
最大トルク:25.5kg-m/3700rpm
ギアボックス:6速マニュアル/6速オートマティック

どうぞご自由に、は自信アリの証か?

新型のトヨタGR86とスバルBRZの試乗会が袖ヶ浦FRWで開催された。

試乗会によく使用される袖ヶ浦だが、メーカーにより「先導車つき」、「トラコンOFF禁止」「ドリフト禁止」の但し書きが付くことが多い。以前GRスープラの時も「ドリフト禁止」だったが、今回は何のエクスキューズもなかった。相当自信があるということか?

本稿では新型GR86/BRZは走り甲斐のあるモデルに仕上がっているか? そして両者の感触の違いに的を絞ってみようと思う。

1台につき4ラップという今回の試乗は、クルマの停車位置も含め、まるでトヨタの工場の「ジャスト・イン・タイム」のように整然とプログラムが組まれていた。

最初は現行モデル(初代)のBRZ。その感触が残っている状態で、4台の新型(BRZのMTとAT、GR86のATとMTの順)を試乗する。

1台目の現行BRZは筆者にとって久々のドライブだった。

以前、袖ヶ浦で試乗した記憶があり、その時は少し柔らかめのアシで捉えどころのないシャシーと、レスパワーのエンジンのおかげで、短時間試乗では判然としない印象で終わっていた。

ところが今回は最終型に近い個体(?)だったのか、以前よりもはるかにクルマ全体が精確な感じで、FRらしいドライビングが楽しめた。

「BRZ、いーじゃないか!」となったところで新型に乗り替えた。

自然と上がるペース、優れた資質

新旧をさっと駆け足で乗り換えただけでは、コクピット環境の違いを見つけることはできない。

だがドライブフィールは別だ。

コースを半周する頃には新型BRZのリニアリティがよくわかった。ポテンシャルの大きさは、先代とは比べ物にならないほどだ。

2.4Lエンジンによる+28psには数値以上のパンチを感じたが、そもそも高回転型で4000rpm後半からの伸びがすばらしい。7500rpmのリミットに突き刺さるような勢いで回る。

アシは最初こそ柔らかく感じられたのだが、実際は両車に共通するミシュランPS4のキャラクターが立っていること、そしてボディがカチッとしてコシが強いことで、相対的にバネが柔らかく感じられたようだ。

ロードホールディングは非常にしなやかで、ペースを上げてもなかなか前輪のスリップアングルが増えて(アンダーステア方向になって)いかない。このためペースは自然と上がっていく。

ドライバーに十分なインフォメーションを与えることでハイペースへと導く。これはよくできたスポーツカーが必ず備えている性質だ。

トラコンを切りさらにスピードを高めると、スライドのコントロールは少し難しく感じられた。スロットルオンで滑り出しのタイミングは決められるのだが、スライドの収束が少し唐突で揺り戻しが残る。

とはいえ、新型BRZはサーキットレベルの大入力に負けない体幹の持ち主であり、操り甲斐がある。

ATモデルでもクッキリ、両者の違い

MTがかなり楽しめるクルマに仕上がっていることはある程度予測できたが、ATにはあまり期待していなかった。

ATモデルのみ両者ともアイサイトが標準装備されるらしいのだが、サーキット試乗には関係がない。

この手のATモデルはシフトダウンを命じてもなかなか首を縦に振らず、イライラさせられることが多いのだが、新型BRZのATはそんな期待をあっさりと裏切ってくれた。

電光石火とは言わないがシフトにダイレクト感があり、シフトダウン最中のバックトルクの変動も感じられなかった。

こうなると俄然「操ろう!」という気が沸き起こってくる。

今回の試乗で最も驚かされた瞬間は、BRZのATからGR86のATに乗り換えた時だった。

ピットアウトして1コーナーまでに感じたのは、ステアリングから伝わる角が取れた感触だった。

そしていくつかコーナーをやり過ごすとフロントのグリップ感覚が、BRZよりも感知しやすいこともわかってきた。

バネとダンパーの設定以外に、フロントのハブキャリアの材質(GR86は鋳鉄、BRZはアルミ)が違うという。

トヨタの開発陣に聞いてみると鉄の方が重いが、数値に表れない感触の良さがあり採用したという。

BRZで感じられたテールスライド収束の唐突な感じもGR86にはなかった。

一瞬でGR86に恋をして、次のMTモデルに期待が膨らんだ。

理想と現実? 迷ったときのお薦めは

最後に試乗したGR86のMTは思った通り、最も走り応えがあった。

スロットルの早開きのおかげでエンジンにメリハリがあり、一方アシはフロントはグリップ感たっぷり、リアはBRZよりしっかり感が強く、グリップの情報量が多い。だから低速コーナーでは自信をもって振り回せるし、中速コーナーでゼロカウンターを意図して保つことができた。

こういったサーキットにおける一見「荒っぽい」インプレッションは公道の走りの参考にならないと思われるかもしれないが、そうではないと思う。

知らず知らずのうちにドライバーにきめ細かく情報を伝えてくれるクルマは、ワインディングでも自信をもって操れるし、曖昧なクルマとの腹の探り合いもないので「操った!」という爽快感がある。

今回の両者のイメージをAUTOCAR的に輸入車に例えると、新造のアルミ製ハブキャリアやスタビのボディ直付でリニアリティを追求したBRZはポルシェ・ケイマン的理想主義。

一方敢えて鋳鉄ハブキャリアを継続し、土壇場になってスタビ取付位置を変更したGR86はアルピーヌA110的現実主義だと感じた。

上質なセッティングとスタビリティの妙を堪能したいドライバーにはBRZが正解。一方、リアがブレークする手前からその予兆を伝え、滑り出してからも穏やかに推移するGR86は「自分で操れる領域の広さ」を重視する人向けといえる。

もしどちらか迷ったらGR86の方がお薦めだ。気さくに対話ができる分だけ長く楽しめると思う。

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