現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「付き合ってはいけない3C男」 カメラマン・クリエイター・スパイスカレー男に「クルマ持ち」が加わる根本理由

ここから本文です

「付き合ってはいけない3C男」 カメラマン・クリエイター・スパイスカレー男に「クルマ持ち」が加わる根本理由

掲載 更新 34
「付き合ってはいけない3C男」 カメラマン・クリエイター・スパイスカレー男に「クルマ持ち」が加わる根本理由

4つ目の「C」が示す消費の転機

 2024年前半、「付き合ってはいけない3C男」というネタがネットで話題になった。3Cとは、

【画像】IQ高い人が選ぶ「自動車メーカー」が判明! 衝撃のランキングを見る!

・カメラマン(Cameraman)
・クリエイター(Creator)
・カレー(Curry)をスパイスから作る男

のことを指す。どれも、自分の趣味や表現にのめり込みすぎるタイプだ。そのせいで、恋人との関係では非効率で独りよがりなふるまいが目立つ。そうした傾向が、冗談まじりに揶揄された。だが今、その3Cに新しいCが加わる危険性がある。それが

「車(Car)を持っている男」

である。一見すると、車を持つことは自立や経済力の証のように見える。しかし、都市の構造や生活スタイル、買い物のしかたが大きく変わるなかで、車を持つことが必ずしも理にかなった選択ではなくなってきた。

 この背景には、都市と地方のちがい、自由に使えるお金の配分、そして人との関係でコストをどう考えるかといった変化が関わっている。それらが複雑に入り組んで、車を持つという選択を問い直す空気が生まれている。

車所有の非効率性

 2025年2月、KINTOが行った調査によると、東京都内に住むZ世代(18~25歳)の72.8%が「若者のクルマ離れ」を実感していた。これは前年から21.5ポイントの増加となる。また、同調査では92.0%(前年比11.3ポイント増)が車の「サブスク」を検討しており、サブスクリプション型の利用が都内では主流になりつつある。

 この数字は、都内での車所有の費用対効果が年々悪化していることを示している。

・駐車場代
・任意保険
・車検
・燃料費
・維持にかかる時間

これらはすべて固定費になりやすく、個人の月間支出の中で回収が難しい割合を占める。公共交通やカーシェア、サブスクといった代替手段と比べたとき、支出のバランスを保つのが難しくなる。

 都市に暮らす人間にとって、車を所有すること自体が、もはやコスト的に持続可能とはいえない。そんな状況下であえて「持つ」ことを選ぶ人は、非効率であるだけでなく、旧世代的価値観へのこだわりや、他者との協調における柔軟性のなさを表してしまうことになる。

車に「愛」を語る者の盲点

「車は男のロマン」とよくいわれる。だが、そのロマンは、すでに市場で正当に評価されていない。車がステータスの象徴だったのは、高度経済成長期から1990年代までだ。今では、移動の合理化が最優先される市場において、車という嗜好品は投資対象としての魅力を失っている。

 サブスクリプションやカーシェアは、ユーザーにとって目的地に着くまでのプロセスを効率化する。一方、所有という形態は、

・メンテナンス費用
・資産価値の目減り
・事故リスク

といった要素を抱え、常にリスク資産として扱われる。そこに愛着を語ることは、個人の内面においては意味があるかもしれない。だが、パートナーとの生活設計においては、冷静な予算配分を妨げる要因になりかねない。

 現代的な人間関係は、共通のビジョンと支出戦略の共有から始まる。経済的な基盤を共有できないパートナーとは、長期的な協働が難しくなる。車という感情的資産は、そうした価値観の断絶を引き起こす象徴になりうる。

地方なら車が必要」は免罪符にならない

 この議論に対して、必ず返ってくる反論がある。

「地方では車がないと生活できない」

という意見だ。しかし、KINTOの同調査によると、政令指定都市のない地方県に住むZ世代でさえ、69.4%が車のサブスクを検討している。つまり、地方であっても所有が唯一の選択肢ではなくなっている。

 ここで本質的に問うべきは、そもそもなぜその立地を選んだのかという点だ。生活の拠点を地方に置き、なおかつ車を所有し続けるライフスタイルには、たしかに住宅費の安さや環境面での利点もある。しかし、雇用の流動性や都市機能へのアクセスという面では、極めて非効率だ。

 現代の経済圏は、集中型ではなく、分散型であり機動性が重視される。そのような環境変化に適応できない居住選択は、将来の経済的な選択肢を狭めることになる。

 つまり車が必要だから地方にいるのではなく、車が必要な場所に自らを固定してしまっていることが、現代における経済的自由を阻む原因になっている。

「4C男」化が意味するもの

 カメラマン、クリエイター、カレーをスパイスから作る男――これらが3C男と呼ばれたのは、いずれも

「個人主義の象徴」

だからだろう。他者の時間コストを軽視する傾向を持つ点でも共通している。そして今、車を持つことも同じ意味を帯び始めている。趣味や移動のスタイルを最優先するあまり、生活の構造的な見直しや、他者との最適な協働を拒む姿勢につながっている。

 車の所有自体が悪いわけではない。しかしそれが、

・現代の社会構造
・都市設計
・可処分所得の流動性
・家庭内の経済戦略

と整合しないまま維持されるなら、パートナーの選択肢から外されるのは当然の結果だ。

 いうまでもなく、「車を持っているからモテる」時代はすでに終わった。いまや車を持っていないからこそ賢いといえる時代に入っているかもしれない。見直すべきは移動手段そのものではなく、生活全体の設計である。その変化に適応できる人間こそ、未来において人間関係でも経済的にも信頼される存在になるのではないか。

「4C男」にならないために必要なのは、移動の戦略的最適化である。

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

新型車が出ると、「やっぱり前のほうが良かった」と必ず言われる理由
新型車が出ると、「やっぱり前のほうが良かった」と必ず言われる理由
Merkmal
石破総理! コメ不足対策もいいけど、高すぎる「自動車税」を何とかしてくれ!
石破総理! コメ不足対策もいいけど、高すぎる「自動車税」を何とかしてくれ!
Merkmal
なぜEVは「日本で嫌われる」のか? 充電インフラ・航続距離だけじゃない「アンチ」の根深さ! 語られない不安の正体とは
なぜEVは「日本で嫌われる」のか? 充電インフラ・航続距離だけじゃない「アンチ」の根深さ! 語られない不安の正体とは
Merkmal
ランクルもびっくり!? 最近「軽トラック」もパクられまくる根本理由
ランクルもびっくり!? 最近「軽トラック」もパクられまくる根本理由
Merkmal
欧州が「日本の軽自動車」にひれ伏す日! 1.5万ユーロ以下が絶滅寸前、市場を壊した“制度疲労”の正体とは
欧州が「日本の軽自動車」にひれ伏す日! 1.5万ユーロ以下が絶滅寸前、市場を壊した“制度疲労”の正体とは
Merkmal
トラックはなぜ“無料で待たされる”のか? 「物流タダ働き」の限界が浮き彫りにした時間搾取、荷主の「待たせ得」を考える
トラックはなぜ“無料で待たされる”のか? 「物流タダ働き」の限界が浮き彫りにした時間搾取、荷主の「待たせ得」を考える
Merkmal
自動車の「脱出用ハンマー」が標準装備されない根本理由――水没時で命を救えるのに、なぜ?
自動車の「脱出用ハンマー」が標準装備されない根本理由――水没時で命を救えるのに、なぜ?
Merkmal
東京の地下鉄が「クネクネ曲がっている」根本理由――都市の隙間を縫う100年の歴史とは
東京の地下鉄が「クネクネ曲がっている」根本理由――都市の隙間を縫う100年の歴史とは
Merkmal
なぜ自動車ディーラーは「自爆営業」に追い込まれるのか? 上司に相談すれば「お前が悪い」と叱責、過酷な無償労働の実態を考える
なぜ自動車ディーラーは「自爆営業」に追い込まれるのか? 上司に相談すれば「お前が悪い」と叱責、過酷な無償労働の実態を考える
Merkmal
「自動車のタイヤ」って、洗う意味あるの? JAF出動45万件が示す「見えない劣化」の恐怖とは
「自動車のタイヤ」って、洗う意味あるの? JAF出動45万件が示す「見えない劣化」の恐怖とは
Merkmal
自転車用「電動改造キット」急増? 設置わずか60秒で時速32km──天使か悪魔か? 事故リスクの現実を考える
自転車用「電動改造キット」急増? 設置わずか60秒で時速32km──天使か悪魔か? 事故リスクの現実を考える
Merkmal
都心「巨大再開発」もういらない? 新宿駅南口プロジェクト「工期未定」の大波紋――建設費1.4倍が示す“都市開発モデル”の限界
都心「巨大再開発」もういらない? 新宿駅南口プロジェクト「工期未定」の大波紋――建設費1.4倍が示す“都市開発モデル”の限界
Merkmal
もはや「郵便」はオワコン? 日本郵便「赤字383億円」の現実――デンマークはもうすぐ事業撤退、今後どうなる?
もはや「郵便」はオワコン? 日本郵便「赤字383億円」の現実――デンマークはもうすぐ事業撤退、今後どうなる?
Merkmal
丸ノ内線「不整脈ダイヤ」による混雑はいつ改善されるのか? 中野坂上“11分待ち”の大現実
丸ノ内線「不整脈ダイヤ」による混雑はいつ改善されるのか? 中野坂上“11分待ち”の大現実
Merkmal
新型リーフは「BYD」に勝てるのか? 累計70万台の重みと600km超の性能――それでも揺らぐ“再建の突破口”の本質
新型リーフは「BYD」に勝てるのか? 累計70万台の重みと600km超の性能――それでも揺らぐ“再建の突破口”の本質
Merkmal
日野×三菱ふそう統合の裏に「トヨタの損切り」? 弱者連合か、それとも再生の機会か――国内市場の明暗を読み解く
日野×三菱ふそう統合の裏に「トヨタの損切り」? 弱者連合か、それとも再生の機会か――国内市場の明暗を読み解く
Merkmal
「インバウンドに入国税3万円」は名案?愚策? 京都市民7割超が困惑「オーバーツーリズム」の現実、地域経済への影響を考える
「インバウンドに入国税3万円」は名案?愚策? 京都市民7割超が困惑「オーバーツーリズム」の現実、地域経済への影響を考える
Merkmal
北陸新幹線延伸を阻む「JR7社体制」という制度疲労──米原か、小浜か、湖西か? 利便性・費用・スピードを巡る三つ巴の迷走
北陸新幹線延伸を阻む「JR7社体制」という制度疲労──米原か、小浜か、湖西か? 利便性・費用・スピードを巡る三つ巴の迷走
Merkmal

みんなのコメント

34件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村