V12自然吸気エンジンに6速MT、軽量ボディのスーパーカー
1992年に発売された伝説のスーパーカー「マクラーレンF1」の精神的後継車と呼ばれるのが、2020年に世界初公開されたゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)の「T.50」です。
【画像】超カッコいい! ゴードン・マレー「T.50」を写真で見る(21枚)
そんな、2024年式GMA「T.50」が2026年9月に開催されるオークションに出品されます。
わずか100台しか生産されないT.50の47台目にあたる個体で、走行距離はわずか62マイル(約100km)。未登録のまま保管されてきた、ほぼ新車状態の1台です。
T.50を生み出したのは、マクラーレンF1の設計者として知られるゴードン・マレー氏です。F1で追求した「軽さこそ性能」という思想を、現代のスーパーカーとして再び形にしたのがT.50です。
現在のスーパーカーは、大排気量エンジンにターボやハイブリッドシステムを組み合わせ、巨大なボディと大量の電子制御によって性能を引き上げる方向へ進んでいます。
それに対してT.50は、驚くほどシンプルです。車重はわずか997kg。現代のポルシェ・ボクスターとほぼ同等のフットプリントを持ちながら、その心臓部にはコスワースが専用開発した4リッターV12自然吸気エンジンを搭載しています。最高出力は661bhp(約670馬力)、最高回転数は1万2100rpm。しかも、後輪を駆動するのは6速MTです。
さらにT.50を象徴するのが、リアに設けられた巨大なファンです。これはマクラーレンF1や、F1マシンのブラバムBT46Bで知られるグラウンドエフェクトの思想を発展させたもの。車体下面だけでなく、ファンによって空気を積極的に吸い出すことで、空気抵抗を12.5%低減しながらダウンフォースを生み出します。これで大きなリアウイングに頼らず、美しいボディラインを維持できるのも特徴です。
そして、T.50を特別な存在にしているのが「3人乗り」というパッケージです。
ドライバーを中央に配置し、その左右後方に2人が座るレイアウトは、もちろんマクラーレンF1から受け継いだもの。軽量化、自然吸気V12、MT、3ペダル、3シーターという要素は、現代のハイパーカーとは正反対ともいえる方向性です。
その希少性も特筆すべき点です、生産台数は100台のみで、一般公開される前から多くの顧客が購入を決め、世界初公開からわずか2日足らずで完売したといいます。つまり、単なる限定車ではなく、ゴードン・マレーという自動車エンジニアの思想そのものを買うようなクルマなのです。
今回出品されるシャシナンバー047は、2024年に完成した個体です。ボディは専用色のハリアーで、内装にはラフィールド・タンのレザーとチャコールのアルカンターラを組み合わせています。さらにサテン仕上げのPPFによって、マットな雰囲気に仕上げられています。工場でのテスト以外は走行しておらず、ほぼ新車同様の状態です。
マクラーレンF1が1990年代を代表する究極のロードカーだったとすれば、T.50は「21世紀にも、こんなクルマを作れる」ということを証明した存在です。
電動化や自動化が進む時代だからこそ、V12自然吸気、6速MT、軽量ボディ、そして中央シートという純粋なドライバーズカーの価値が、より際立って見えます。
落札予想価格は420万ポンドから460万ポンド。1英ポンド=約216円で換算すると、約9億700万円から9億9400万円という価格になります。(VAGUE編集部)
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