F1の2021年シーズンに向けた移籍市場は、既に大きな動きを見せている。セバスチャン・ベッテルは今季限りでフェラーリを離脱することが決定しており、彼の後任はマクラーレンのカルロス・サインツJr.となっている。そのサインツJr.の後任となるのはルノーのダニエル・リカルド。そして空いたルノーのシートを埋めるため、フェルナンド・アロンソがF1復帰を果たす……というのが現在のシナリオだ。
ベッテルは開幕戦オーストリアGPでは接触によりスピンを喫するなど精彩を欠き10位。第2戦シュタイアーマルクGPでは、スタート直後にチームメイトのシャルル・ルクレールにヒットされ、まさかの同士討ちによりリタイア。ここまでわずか1ポイントの獲得にとどまっている。そんな彼が今シーズンの途中でフェラーリを離脱するようなことがあれば、ドミノ倒しのようにこれら全てのチームのラインアップが変わることも考えられる。しかしながら、ベッテルはフェラーリでやり残したことがあるとして、シーズン途中でチームを離れるようなことはないと主張した。
■「自分に失望している」ルクレール、ベッテルとの接触で謝罪。楽観的すぎたと認める
「いや、そうはならないと思う」
シュタイアーマルクGP開幕を前にして、早期離脱の可能性について尋ねられたベッテルは、そう語っていた。
「僕はここから逃げ出そうとしている訳ではない。僕には証明しなければいけないことがあると思っている。だからここにいるんだ」
「ここ数年、チームのみんなが僕にたくさんのものを与えてくれたのは言うまでもない。そのサポートに敬意を表して、恩返しをしたいと思っているから、逃げ出すことは全く考えていない」
ベッテルが「フェラーリにタイトルをもたらす」という自身の目標を達成するには、今年がラストチャンスということになるが、彼は今季が挑戦的なシーズンになるだろうと認めていた。
「僕たちは素晴らしい時間を共に過ごしてきたけど、難しい時期もあった。でも僕たちは皆、今シーズンに出来る限りのことをするために、現実的に物事を見ていると思っている」とベッテルは言う。
「明らかに、僕たちにはチャレンジングなシーズンが待ち構えている。でも僕は自分にできることをやろうとしているし、チームも同じことをしてくれていると思う」
またマクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表は、シーズン途中にリカルドを招き入れるような事態になることは想定していないと語った。
「それに関しては全く考えていない」とザイドルは言う。
「私は今のラインアップに満足しているし、カルロスとランド(ノリス)はコース内外で目を見張る仕事をしてくれている」
「シーズンを完走することが大切だし、同時に来季の準備に向けてダニエルと十分な時間を過ごすこともまた重要だ」
来季の去就について繰り返し質問が飛んでいるベッテルだが、彼は来季何をするのかまだ考えていないことを改めて強調した。
「分からない。これが今の正直な答えなんだ」とベッテル。
「つまり僕は来年に向けてどことも契約していないんだ。だからF1に残ることも、休養することも、引退することも、全てが選択肢としてあるんだ」
「それは自問自答するような非常に大きな話題だし、大きな決断になる。前にも言ったように、もし適切なパッケージが出てきたら、僕は非常に興味を持つだろう」
「もしそうでなれれば、僕はただ参加したりお金を稼ぐためだけにF1にいるような人間はない。だからそは僕の意図するところではない」
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