流行りそうで流行らないからこその“非日常感”も魅力のピックアップ。遊び心も満載だ。F150の弟分となる“ミッドレンジ”のレンジャーを借り出し、使い勝手や乗り心地を京都で試した。
見た目は武骨な雰囲気でも、中身は最新モード
流行りそうでなかなか流行らないカテゴリーのひとつにピックアップトラックのような“デッキ”(=荷台)付きモデルがある。アメリカやオーストラリアでは若者を中心にいまも大人気だと言うのに。日本と同様にヨーロッパでもそれほど見かけないから、テロワール(環境や文化)の違いがその大きな要因だと思われる。
とはいえ、否、だからこそ実践すれば面白いことになりそうだ。非常や異常であればあるほど刺激は強く、日常を壊す原動力にもなりうる。さしずめ日本でアメリカン・ピックアップあたりを乗りこなすことができたなら、即座に周りから「アイツは変わった」と認められることだろう。普段をいっきに変える力がピックアップトラックにはある。
今流行りのSUVにしたところで、元来はピックアップトラックの荷台を覆ってワゴンタイプとしたモデルが始まりだった。アメリカでもその昔のピックアップトラックは農業や事業のための硬派なツールだったけれども、SUVが流行り出すとともにピックアップの乗用化も同時に進んで、ついに“アメリカで最も売れるカテゴリー”という現在の地位を手に入れるに至っている。なるほどピックアップトラックは“非常”な存在ではあるけれど、そう遠く離れた存在でもなかった。
京都の元フォードディーラーで老舗の輸入車販売店である日光社は、2019年に北米市場で復活したミッドレンジのピックアップモデル、フォードレンジャーを独自に輸入し販売している。フォードのトラックといえばフルサイズのFシリーズが有名で、なかでも最新のF150はアメリカで最も売れているモデルのひとつ。満を持して復活した4代目レンジャーはその弟分にあたる。
弟分とはいっても全長は5.4m弱、全幅も2m近いからロールスロイスゴースト級で日本では十二分にビッグサイズ。日光社が輸入するのはラリアット・スーパークルーと呼ばれる4ドアキャビンのトップグレードで、FX4オフロードパッケージ(4WD)やバング&オルフセンのサウンドシステムなどを備えた豪華仕様である。
アメリカン・ピックアップトラックというとV8エンジンを積んでデロデロと地響きのようなサウンドを響かせて走るイメージだが、レンジャーは違う。なんと本国仕様でもパワートレーンは2.3リッター直4ターボのエコブースト+10ATに限られているのだ。もちろん最新モデルゆえ自動緊急ブレーキや車線維持といった運転支援システムも備わっている。
見た目にはいかにもアメリカンで武骨な雰囲気のピックアップトラックなのだが、そのナカミはというとまったくもって最新モードであった。
普段使いで気になるのは駐車場くらい
そんなレンジャーを一日預かって京都の街をクルーズしてみることに。日光社のショールームでうすらでかいF150を見たすぐあとに、屋外のパーキングスペースに鎮座するレンジャーと対面したためか、数字ほど大きく見えないな、というのが第一印象だった。これならさほど気を遣うことなく使えるかもと思ったが、のちのちそれは半分正解で半分間違いだったと気づくことになる。
乗り込んでみるとさすがに見晴らしがいい。周りを見下ろす感覚はSUVに慣れているはずの筆者にも新鮮。ちょっと前の日本車のような奇をてらわないダッシュボードまわりのデザインのおかげで妙な緊張感も生じない。豪華さはさほどないけれど安心できる空間だ。
エコブーストに火を入れた。猛々しいV8ノートが聞こえてこないせいか、アメ車に乗っているぞ! という気分にはまるでならない。けれどももはやそんな風な気分が許されそうにない時代であることも確か。いまどき見慣れない大きなクルマが爆音を立てて喜ばれることなど皆無と言ってよく、蔑んだ目で見られるのがオチ。常識的なエンジンサウンドで目覚めたエコブースト仕様のピックアップトラックに、街中であったゆえまずは安心した。
10段変速機がエコブーストの美味しいところを上手く引き出してレンジャーを想像以上にきびきびと走らせた。実はこのレンジャー、高張力鋼フルボックスフレーム構造で見掛けより軽く仕上がっている。車重にして2.1tだから大型SUVと同じか軽いくらい。高フラットトルク性に定評のあるエコブーストエンジンならラクラク引っ張れて当然というわけだ。予想外の軽快さもあって、走っていても大きさを感じなくてすむ。
とはいえ周りを走るクルマとは大きさの格が違うから、市バスでも並んでこない限り大きさを思い出すことになる。それと注意すべきはリアデッキの長さで、特に一般の駐車場でバックするときは要注意だ。思ったよりも後ろが長いため、距離感が摘みづらい。そして普通のコインパーキングに停めてみて改めてその大きさに驚かされた。なるほど借り出した場所のスペースはよほど広かったのだろう!
逆に言うと普段使いで気になったのはその程度のこと。そんなことよりも高い視界と意外に力強い加速、きめ細やかな変速、そしてタッパのあるタイヤが生み出す独特の心地よさが、“人とは違うクルマを運転するワタシ”気分をいっそう盛り上げる。
“トラックみたいな乗り心地”という表現をいつもは悪口として使ってきたけれど、最新モデルであるレンジャーの乗り味を知った今となっては“ひと昔前の”という形容詞を入れなければいけなくなったようだ。
そんなことを考えながら京の街をドライブし、いよいよ撮影を終えて店に返すという段になって急に、そのまま山か海へと出掛けたくなってしまった。どこかへ遊びに行きたいと思わせてくれることもまたデッキ付きモデルの魅力じゃないか。デッキにあるのは道具や荷物に限らない。遊び心も載っている。
文・西川 淳 写真・田中秀宏 編集・iconic
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マツダのETC取り付け位置に唖然……色々あってフツーの場所なったけど戻した方がよくね??
みんなのコメント
アウトドアな趣味が多いので僕の生活スタイルにあってたんで、13年ほど乗りましたが・・・大きな故障したのと、家族が増え走行距離も相当だったのでミニバンに買い換えましたが・・・今でも後悔してます。
車内の狭さと小回りがきかなかったのはマイナスポイントでしたが、何でもラフに使えるのが良かったです。
今、ハイラックスが復活してのは嬉しいですが・・・出来ればMT車が欲しいのですが・・・。
ヒュンダイ
あっ、自分は結構ですぅ。