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悪しき正月の風物詩は今どこに!? 初日の出暴走族がいなくなった日本 ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.29~

■「初日の出暴走族」のニュースを見なくなった

 新年明けましておめでとうございます。

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 年末年始を義理の両親がすむ長野県のとある村で過ごすようになって数年になる。かつてはハワイだモルディブだと、西洋風カウントダウンで年越しに浮かれたものだが、加齢するにしたがって、日本で年の瀬と新年を祝うのが習わしになってきた。

 といっても大したことをするわけではない。除夜の鐘を聞きながら年越しそばをくらい、夜が開ければ御来光を拝みお屠蘇で頬を赤くする。初詣に出かけて、金運狙のあさましさでダルマを賈う。おみくじが悪ければ二度買いして、中吉以上を必ず手にして帰る。無理やり手にした幸運を肴に、ダラダラと酒浸りの日々を過ごすのである。いわば、典型的な日本人の正月気分に浸っているのである。

 今年の初詣も、なかなかの混み具合であった。景気が悪化し災害や飢饉が続くと、参拝者が増えるという。人間の力ではどうにもならない力の存在を感じると、神にすがりたくなるのだろう。混沌とした世情を反映したのか、いつにも増して賽銭箱に並ぶ人の列が長かったように思う。

 かくいう僕も自分の努力不足を棚にあげて、こんな時だけ都合よく、両手を合わせ、心の中で唱える。

「僕だけ、金持ちになれますように……」

 そうして今年もいつもの正月を楽しんでいるのである。

 だが今年は、ちょっと消化不良である。というのも、元旦恒例の「初日の出暴走族」がニュースになっていなかったらである。

 暴走族全盛期は1970年代だったと思う。あの頃からなぜか不思議に暴走族は、初日の出を拝みに富士山の麓に集合する。そこに警察が加わり、壮絶な逮捕劇が報道されるのだ。

 その風習はしばらく続いたけれど、最近では存在感がない。平和ボケの成人が着るにしては滑稽な特攻服や、子供の図画工作レベル以下の改造車がいかに恥ずかしいかに気がついたのだろうか。警察の取り締まりが効果を発揮したのだろうか。いや、あんなに肝の座った青年がいなくなったのが理由のような気がするけれど、ともかく、悪しき正月の風物詩が見られなくなったことで、なんだか正月気分が盛り上がらなかったのである。

 お屠蘇で舌を湿らせながら、間抜けな暴走族を見て笑うのがひとつの楽しみだった。シャチホコのように反り返ったシートや、不自然に迫り出した風防や、満艦飾のカラーリングはただ単純に、笑えたのに、そのへんちくりんな姿を拝めなくなったのは、社会的にはいいことなのだろうが、なんだか寂しいのである。

 こう書くと、暴走族を推奨するのかとクレーマーの対象になりそうだけれどね、決してそのような気持ちではありませんからね。ただ、少し酔っているだけです。

 今年もよろしくお願いします。

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