インテリア中心のマイナーチェンジ
text:Tom Morgan(トム・モーガン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
アルファ・ロメオが計画していた2本柱、SUVのステルヴィオに先駆けて登場した4ドアサルーンのジュリア。アルファ・ロメオはドライビングファンなブランドだという、イメージの再形成に大きく貢献した。
しかし意図していたほど販売面での成功は得られていない。ダイナミクス性能で劣っていても、装備面で勝るライバルに並ぶことはできていないのが実情。
今回マイナーチェンジを受けたジュリアだが、報道用資料の筆頭に挙げられていたのがインフォテインメント・システムの改善。顧客や自動車評論家の意見がどんなものだったのか、伺い知れる。
モデル中期として必要となった技術面でのアップデートが施され、インテリアの組み立て品質や質感も高められている。すでに綺羅星の如く素晴らしい、ドライビングに関しては基本的に手が加えられていない。
ボディ回りでの変更は、大幅に選択できるオプションが増えているものの、デザイン的にはトリムグレードの見直し程度。シルバーのレタリングの大きさが変更され、ブラックトリムがスポーティな仕様のクルマに与えられている。
トリムグレード自体も、スーパー、スプリント、ルッソTiにベローチェと、4種類に簡素化。一部の市場向けに、社用車登録に特化したビジネス仕様が追加されている。
インフォテインメントをアップデート
エンジンのラインナップにも変更がない。2.0Lガソリンターボと2.2Lディーゼルターボが、数段階の馬力設定で用意される。今回の試乗車はベローチェTiで、最高出力280ps。リフレッシュされるジュリア・クアドリフォリオが2020年の夏に登場するまでは、最も強力なジュリアだ。
数多くの変更は、ほぼすべてがインテリアに施されている。特にセンターコンソール回りの変化が大きい。安っぽいプラスティック製パネルは強い光沢のあるものになり、インフォテインメント・システム用のロータリースイッチの質感もぐっと向上している。
プラスティック感が強かったシフトノブは、レザー巻きのものに交換。手のひらの中でプレミアム感が伝わってくる。ノブの付け根には赤・白・緑のイタリアン・トリコロールがあしらわれ、ブランドの伝統を静かに語る。
スマートフォンのワイヤレス充電機能もアームレスト下に用意された。センターコンソールの小物入れの容量自体も大きくなっている。
ダッシュボード中央の8.8インチモニターの大きさ自体は変わりないが、グラフィックスは新しくなり、テキスト自体も読みやすくなった。インターフェイス・デザインが見直され、モニターの面積を有効に活かしている。
メイン画面はウィジェット機能を選んでカスタマイズも可能。物理ボタンも残されているが、タッチ操作も可能となっている。一方でメーターパネルの変更点は少ない。
最もシャープなコンパクトサルーンの1台
中央の7.0インチモニターの表示は、追加された運転支援システムを中心に表示内容は改められている。アダプティブ・クルーズコントロールや、ブラインドスポット・モニター、レーンキープ・アシスト、交通標識認識機能などが含まれる。
しかし、大型のアナログメーターは残されたまま。完全にモニターによるデジタルメーターが用意されているBMW 3シリーズやアウディA4などとは異なる雰囲気だ。
ジュリアの一般道での走りは、相変わらず元気いっぱい。低速トルクも充分に太いうえに、レッドゾーン目がけてターボ過給によるパワーの高まりを実感できる。
アイドリング時のエンジンは上質さに欠けてはいるが、4気筒エンジンにムチを入れれば、心地よいサウンドが響いてくる。防音対策にも改良を受けており、高速道路でのクルージング時の車内は、落ち着いた雰囲気に変わる。
8速ATはアクセルペダルの動きに即座に反応。トランスミッション任せでも、ステアリングホイールに取り付けられたシフトパドルを弾いても、小気味よく変速する。ステアリングコラムに取り付けられたパドルより遥かに操作しやすく、スーパーカー側にいるクルマだと思える。
アルファ・ロメオ・ジュリアは、現在新車で購入できる中で、最もシャープな性格を持ったコンパクトサルーンの1台だといえる。
走りに拘るなら検討したい1台
ダイレクトで反応に優れたステアリングと、ドライバーを楽しませてくれる後輪駆動の個性は、アルファ・ロメオ・ジュリアらしい魅力。うっかり熱くなりすぎても、危険にさらされる可能性も少ない。スタビリティ・コントロールは基本的に常時オンのままとなっている。
ダイナミック・ドライビングモードでダンパーのセッティングをスポーティなものにすると、一般道ではやや過剰な硬さに感じられる。しかしシャープな変速設定とスロットル・レスポンスを活かしたまま、任意で柔らかいサスペンション設定を選ぶことも可能だ。
このクラスの高級サルーンの進化の度合いを考えると、アップデートを受けたジュリアが装備面で先頭に並ぶことは難しいだろう。インフォテインメント・システムも含めて、ライバルの歩みは速い。
だが、アルファ・ロメオ・ジュリアのドライビング体験は魅力的なまま。BMW 3シリーズやジャガーXEと並んで、検討候補に加えて欲しいクルマだ。
アルファ・ロメオ・ジュリア・ベローチェTi 280のスペック
価格:4万7000ポンド(658万円)
全長:4643mm
全幅:1860mm
全高:1436mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:1429kg
パワートレイン:直列4気筒1995ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:280ps/5250rpm
最大トルク:40.7kg-m/2250rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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